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東海大学付属高輪台高等学校にて10月30日(水)に、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)クラスの2年生を対象とした、起業アイデア創出の体験をサポートするワークショップが実施された。当日は、文部科学省アントレプレナーシップ推進大使であり、株式会社カナミックネットワーク・代表取締役社長の山本拓真さんが登壇し、講義やプレゼンの講評を行った。
山本さんは10月16日(水)に、同高校の2年生に向けて「起業を通じた社会課題の解決」と題された講演を行った。今回のワークショップでは、山本さんによる前回の講演の振り返りや補足として、起業の意義や価値、起業はイノベーション(革新)、資金調達方法、投資家が集まるピッチイベントについてなどが話された。
講義の中の「ピッチイベントで何をプレゼンテーションするのか?」というテーマで、山本さんは「起業に至った『原体験』」と「事業への『参入障壁』をどう構築するのか」が特に重要だと説明。「原体験」については、「どういう自分の体験で、それをどう改善したいと思ったからこれを始めるという動機がない方は、内容が薄いことが多く比較的すぐに落とされてしまいます。問題の解決に対する原体験がある人は情熱があり強い」と伝えた。
「参入障壁」については、「どうやって他の会社の参入が難しくなるようにブロックできるのか。例えば特許を取る。自社しかできない参入障壁をどのように作り上げるのか、が大事になります」と解説。今回のワークショップでは、学生たちがこれらの山本さんの講義をもとに起業アイデアやプレゼン資料を作りピッチを行った。
この日は4班がプレゼンをし、それぞれ「スキマ時間の介護バイト」「バイリンガルキッズシッター」「シニア向けeスポーツ事業」「植物由来の人工肉事業について」といった内容を発表した。どの発表も内容がわかりやすく、参入市場規模やビジネスモデルなども取り入れた資料と説明になっていて、真剣に取り組んできた様がうかがえる仕上がりとなっていた。
学生たちのプレゼン後に行われた講評にて、山本さんは「優勝チームを決めてくださいと言われていましたが、非常に難しいです。内容は甲乙つけがたいです」と述べた。また、投資家にどうやったら選ばれるかという話題の際には「前回の講演で伝えたかったポイントは、学歴だけで人生は決まらない、ということ。勉強ができるのと仕事ができるのは全く違うんです」と言い、では何が一番重要かというと「魅力」だと説明した。
上場起業社長たちに共通しているのは「魅力」がある人だとし、魅力のある人とは「『与える人(Giver)』です。『欲する人(Taker)』ではありません」と伝えた。顧客や投資家目線で言うと、「お金が儲かる」という「得」、「感動!世界が変わる」という「夢」、「便利!生活が良くなる」という「楽」などを与えられる人、与えてくれると思える人が魅力のある人だと話した。
魅力が大切という話を踏まえた上で、今回の4班のプレゼンについて「私がもしどの班を1位にしますかと言われたら、内容で言うと甲乙つけがたいので、内容ではチャンピオンを選びにくい。プレゼンだけで言うと『シニア向けeスポーツ事業』を発表した女性の方はすごく良いなと思います。身振り手振りを加えながら、先ほど話した『原体験』も資料に入れてくれて、プレゼンの資料が凝っていて動きもあり、みんなに注目してもらえるよう大きな声で発表している、明るさを出すことでみんなの目を引く、というところが重要になってくる」と評価した。そして、中身の正しさだけで投資する人は少なく、社会インパクトや社長の魅力がないと投資家の目を引くことはできないと語った。
ワークショップ後にインタビューを受けた学生たちは「将来の夢で、起業家という選択肢もあると気づかされました」「プレゼンをするスキルとしてとても良い学びになりました。起業家もいいかなと思いました」「魅力がある人が投資してもらえる、という部分が授業で一番印象に残りました。起業家は資金を集めるためには欲するのではなく、与えることが大事というのは腑に落ちました」などと、講義やプレゼンの感想を答えていた。