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今回は、そんなeスポーツイベントの最前線を支える、RAGEのパートナー企業で技術サポートの「コーユーイノテックス株式会社」(以下、イノテックス)常務執行役員の坂本政弘さん、そしてRAGEの総合プロデューサーである大友真吾さんに『RAGE VALORANT 2022 Spring』の舞台裏や今後の展望などを伺いました。
「RAGE(レイジ)」は、「株式会社Cyberize」、「エイベックス・エンタテインメント株式会社」、「株式会社テレビ朝日」の3社が協業し、eスポーツイベントおよびeスポーツエンターテインメントの企画運営を行っています。
「Apex Legends」、「VALORANT」、「Shadowverse」、「グランブルーファンタジー ヴァーサス」といった人気タイトルの【公式大会】をはじめ、オフラインやオンラインでの【一般参加型イベント】、プロチームの頂点を決める【プロリーグ】という3つのプロジェクトを実施しており、その技術サポートを担当しているのが、ICT機器のレンタルやインフラ工事など、ICTに纏わるビジネスを広く展開する「コーユーイノテックス株式会社」です。
『RAGE VALORANT 2022 Spring』は、RAGE において2020年1月25日~26日に「幕張メッセ」で開催された『RAGE Shadowverse 2020 Spring バトルフェスティバル powered by SHARP』以来のオフライン開催となります。
プロデューサーである大友真吾さんは、『RAGE VALORANT 2022 Spring』を振り返り、成功の鍵は「コロナ禍の期間にオンライン配信が普及したことで、eスポーツ参加者の裾野が広がりファンやプレーヤーが増え、長引く巣ごもり生活のなかで、彼らのオフラインイベントを待ち焦がれる気持ち(期待)が爆発した結果だ」と話します。
実は『RAGE VALORANT 2022 Spring』の開催が決定したのは2022年の3月であり、大会規模からすれば2ヶ月という準備期間は異例ともいえる短さでした。
坂本「僕の経験上、大きなeスポーツのイベントは半年~1年かけて入念に準備するものですが、5月のGW中に有観客で有料のイベントを開きたいと相談されたときは、なんて無謀なことを言うんだろって(笑)。それに、6,000人を集めたいと聞いたときには絶対に無理だと思った。野球でいうところの甲子園のような大会をeスポーツで無料開催しても、日本では1,000人くらいしか集まらないんです」
それでも坂本さんは、大友さんの「eスポーツ業界におけるエポックメイキング的なイベントを、今、『VALORANT』で仕掛けたい」という挑戦を聞き、大きな魅力を感じたといいます。
一方、大友さんには集客数に関してある程度の勝算があり、もし成功すれば業界の新しい基準になると感じていました。
大友「前回の『2022 VALORANT Champions Tour Challengers Japan Stage1』の視聴が順調に拡大していったので※、コロナ前の有観客イベントの実績と視聴数を比較して今なら6,000人×2daysでいけるかなという算段はありました。ユーザー視点をもったRAGEのメンバーからの要望もあり、ならばリスクをとってでもチャレンジしてみようと。この際、チケットの値段にしても、今後の業界の基準値なりうることを考えて、それ相応の価値のある金額を設定しました」(※2022年3月に配信。41万人が同時視聴)
新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いてきているとはいえ、まだまだ予断を許さないなか慎重に事を進めつつも、どうしてもこのタイミングでの開催は外せないという大友さんの想いが、結果、前例のない観客動員数へと繋がります。
このように急ピッチで準備が進められた『RAGE VALORANT 2022 Spring』ですが、イノテックスは大会運営のキーとなるネットワークサポートを担当しました。
eスポーツにおいてネットワーク回線の重要さは想像に難くありません。配信用とゲーム用など、回線数を通常のイベントよりもかなり多く確保する必要があり、臨時で回線を引くための手配やNTTとの調整、トラブルや変更の予想とそれに伴う人と機材の確保など、さまざまな責任をおいます。
イノテックスの強みは、「コーユーレンティアグループ」として大規模な国家行事や世界的なスポーツイベント、音楽フェス、全国のマラソンなどを担当している豊富な経験力と細やかな対応力にあり、特に、イベント開催中のネットワークの監視体制について評価が高くクライアントからの信頼が厚いところです。
大友「YouTubeだけでなく配信先が3つ4つと増えると、使用する配信の強度が変わったりしますよね。さまざまなプラットフォームに高画質な動画を遅延なく届けるためには、どれだけの容量を引けば良いのか計算できる経験と対応力が必要です。僕も最初は自分たちでできると思っていました(笑)。でも実際に回線が落ちるというトラブルや事故を起こして、はじめてその大変さがわかるんですよ。たいていのイベンターはサーバー落ちの経験があるので、その大切さは知っている。でも、監視をふくめてちゃんとやるところは少ないです。その点、イノテックスにはリアルタイムで監視いただいているので、配信が重くなったときなどの調整や対応ができるんです」
そんなRAGEとイノテックスの初タッグは2020年5月に開催された『RAGE Shadowverse 2020 Summer』のプレイオフから。互いの「eスポーツ産業を一緒に盛り上げていこう、新しく創っていこう」というビジョンが重なり、受発注の関係を越えたパートナー関係を築いています。
坂本「eスポーツって人間関係的に希薄なイメージがあるかも知れません。でも、まったくそんなことはなくて。僕らは大友さんという人物に出会ってその人間性の凄さに惹かれたというのが大きいんです」
ちなみに、大友さんの凄さとは“みんなを巻き込んで絶対に成功させるところ”だそう。とてつもないアイデイアをさらりと言ってのけるなど驚くこともあるようですが、そのアイデアを成功させてみたい!と思える熱意と信頼がそこにはあるのです。
坂本さんは、今回の『RAGE VALORANT 2022 Spring』を通してオンラインでできることを、オフラインでやるプレミアム感は別格と感じたそうです。それは、日本のeスポーツ選手を育成するうえでも大きな意義があるといいます。
坂本「これだけの人数のリアルな観客の前で、平常心を保ちながらプレーできるのはよほどの精神力です。なかには初めてこういう大会に出た参加者もいたと思う。舞いあがって自分のプレーができなかった人もいたと思うし、後半慣れて、少しは自分のプレーができるようなったかもしれない。今、日本でもっとも足りていないのは、こういうオフラインのイベントであり、選手にとって観客の前で100%のパフォーマンスができるか否か知る大事な舞台だった思います」
今後、大友さんは今回の成功体験をもとに『VALORANT』のイベントの規模を拡大し、将来的に地方都市での開催や来場者参加型のフェスのようなイベントにも挑戦していきたいと考えています。
坂本「イノテックスでは、大友さんはじめ日本でeスポーツイベントを盛り上げたいと思う方から相談されたときに「それはできない」と言わない会社を目指したいです。VRとかARなどとの組み合わせや参加の仕方など、今後のeスポーツに期待されている部分もあります。そこでディスカッションを重ねながら、お客様やファンの方、参加する選手らが、毎回最高だったと言ってくれるイベントになるようにサポートし、この業界の熱い思いをカタチにできるように気を配りたいですね」
大友「コーユーイノテックスは、eスポーツといえば“RAGE”というブランドをつくりあげるのに欠かせない大切なパートナーなんです。引き続きお力添えいただき、eスポーツ業界を盛り上げていければと思っています」
現在、コーユーイノテックスでは社内にeスポーツチームをつくる予定があるそう。今後、eスポーツ業界に携わって生きていきたいと思う人達がイノテックスで働きたいと思ってもらえる会社を目指し、自分達も楽しみながら業界全体をサポートしていけたらと嬉しいとしています。
また、RAGEでは『RAGE Shadowverse 2022 Summer』GRAND FINALSの開催が2022年6月19日に「ベルサール秋葉原」にて決定している他、『2022 VALORANT Champions Tour Challengers Japan Stage2』 Playoff Finalsが2022年6月25日~26日の2日間「さいたまスーパーアリーナ」で開催されます。さらに『RAGE VALORANT 2022』も今秋開催が決定しており、より一層、白熱した戦いが期待できそうです。詳細は https://rage-esports.jp/ まで。