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東京で最高気温33℃を記録した8月6日、日産自動車は「自動車用自己放射冷却塗装」の実証実験を公開するイベントを開催しました。なんだか難しい名前ですが、実用化すると夏の暑い屋外で高温になるクルマの車体表面や車内の温度を下げてくれる夢の塗装が開発中なのです。
自動車用自己放射冷却塗装は、日産と放射冷却製品の開発を専門とするラディクール社が共同開発した塗料を使用するもの。
この塗装を施した自動車で計測した結果、ルーフパネルは通常塗装と比べてマイナス12℃、運転席の頭部空間はマイナス5℃、温度を下げる効果が確認できたとのこと。
開発中の塗料は、自然界に存在しない物理特性を人工的に実現する“メタマテリアル”を採用。晴れた冬の夜から早朝にかけて起こる放射冷却を人工的に引き起こす“熱のメタマテリアル”を塗料に混ぜています。これにより、物体の温度を上昇させる近赤外線の太陽光を反射する効果と、太陽光の熱を人体や電子機器に影響を与えない波長8~12マイクロメートルの電磁波として放射する効果が得られるそうです。放射するエネルギーは塗装膜の温度に比例するため、温度が低い冬の間は温度を下げる効果が少なく、車内が冷えてしまうことはないそうです。
実証実験では、塗装後の温熱評価、自動車としての耐久性の評価、自動車を塗装するクリアコートを上から塗装しても温熱効果や塗膜が変化しないことの確認を行い、今後はトラックや救急車など炎天下で走行することが多いクルマを対象に、特装車として実用化を検討しています。こちらの塗装は厚みがあることから、今のところ量産車に使用するのは難しいとのこと。
イベント会場では、照明で加熱した通常の塗装と自己放射冷却塗装を比較できる展示があり、実際に触ってその効果を確認することができました。
通常塗装は表面温度が42℃以上に加熱されているのに対して、自己放射冷却塗装の表面温度は35.5℃。体温程度なので、通常塗装を触った後では冷たく感じるほどでした。これはスゴい……。
屋外に駐車したクルマで体験することもできました。通常塗装では車体表面が43℃まで熱くなっているのに対して、自己放射冷却塗装の表面温度は36℃。運転席に乗り込んでも、ムワっと来る暑さがやわらいでいる印象でした。今後塗料の開発が進んで、量産車向けの実用化が実現することに期待したいところです。