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幾度となく映像化されてきたヨハンナ・シュピリの児童書『アルプスの少女ハイジ』。高畑勲と宮崎駿による1974年のTVアニメは、日本やヨーロッパを含む世界各地であらゆる世代を超えて愛され続けています。このスイスが誇る名作を、同国出身の監督とプロデューサーがB級エログロバイオレンスバージョンにアレンジした、〝スイス映画史上初のエクスプロイテーション映画”が誕生! 映画『マッド・ハイジ』が7月14日より公開中です。
配給会社は、R15になるよう修正を入れようと試みたが、過激なシーンが画面一杯に本編で随所に繰り広げられているために、修正を断念。世界19か国538人の映画ファンによるクラウドファンディングで、約2億9千万円もの資金集めも話題を呼びました。アニメ版のおなじみのシーンの数々を再現するなど、日本へのリスペクトも随所に感じられる仕上がりとなっています。
【ストーリー】チーズ製造会社のワンマン社長にしてスイス大統領でもある強欲なマイリは、自社製品以外のすべてのチーズを禁止する法律を制定。スイス全土を掌握し、恐怖の独裁者として君臨した。それから20年後。アルプスに暮らす年頃のハイジだったが、恋人のペーターが禁制のヤギのチーズを闇で売りさばき、見せしめにハイジの眼前で処刑されてしまう。さらに唯一の身寄りであるおじいさんまでもマイリの手下に山小屋ごと包囲されて爆死。愛するペーターと家族を失ったハイジは、邪悪な独裁者を血祭りにあげ、母国を開放することができるのか!?
本作の監督を務めた、ヨハネス・ハートマンさん、サンドロ・クロプシュタインさんにお話を伺いました!
――本作とても楽しく拝見させていただきました!お2人は幼馴染ということですが、やはり映画の好みがバッチリ合うからこういった楽しい作品を作れるのですか?
ヨハネス:2人とも昔から映画がとても好きで色々な実験をしている中で、MVを作ったりしていたんだ。その後に、やはり真剣に映画作りに取り組もうと思って会社を作ったんだ。
サンドロ:僕たち2人は映画学校を出ているわけではなくて、グラフィックデザインを勉強してきたんだ。そんな僕らに映画作りを教えてくれたのは、何百本という映画たち。まさに映画オタクなんですよね。なので「映画が好きな人が観たい絵を撮りたいな」と思ってこの作品を作っているよ。
――日本には「アルプスの少女ハイジ」が大好きな人がたくさんいるのですが、お2人にとってこの作品はどの様な存在だったのですか?
ヨハネス:ハイジのことはもちろん知っていて、スイス=ハイジというイメージだった。日本のアニメを通して知っている人が多いんじゃないかな?
サンドロ:ありがちなスイスのイメージ、美しくて、秩序だっていて、自然豊かで理想的な国という印象をみんなが持っているからこそ、そんなスイスを恐ろしい独裁国家にして、可愛らしいハイジを恐ろしい復讐者にするという面白みが際立つんだよね。
ヨハネス:そんな話を何度も会議でしながら、100稿くらい脚本を重ねていったよ。納得いく脚本にするまでに、1年半から2年かけているよ。
――ということは、いくつものボツ設定があったかと思うのですが、少し教えていただけますか…?
ヨハネス:最初に書いていた脚本はもう予算度外視で、可能な限りベストな作品を書いていました。予算とスケジュールの関係があるのでそこから精査していくわけですけれど、実はカットした大きなシーンって無いんです。撮影数日前にカーチェイスをカットしたくらいで、やりたいことをそのまま出来て良かったよ。
サンドロ:残り物なし!って感じだね。
――ハイジが山々をバックにトレーニングするシーンが、『ベスト・キッド』や『スター・ウォーズ』のレイの様で好きです。
サンドロ:80年代の映画のモンタージュを使ったシーンのオマージュになっています。風光明媚な山のエリアで、(ハイジ役の)アリス・ルーシーのトレーニング風景をそのまま撮っている感じです。アリス・ルーシーはテコンドーで黒帯所持者なので、とてもカッコ良いシーンになったよ。予算的にスタントダブルが用意できなくて、アクションが自分で出来る人というのを条件にアリスに出てもらっているんだ。なんと二週間半で全てのアクションを習得してくれたんだよ。
ヨハネス:モンタージュというのは、藤本さんが挙げてくださったタイトルや『ロッキー』の様な昔の名作に多く使われているものだよね。映画を盛り上げてくれるだけではなく、最小限のスタッフで撮影をすることが出来ることがありがたいんだ。実際にプロデューサーには「カメラテストをするね」と言って時間を稼いで撮影したんだよ(笑)。
──ハイジが対峙する独裁者・マイリ大統領は、強烈な悪役キャラクターでした。このキャラクターには制作陣の“愛”を感じたのですが、いかがですか?
ヨハネス:おっしゃっるとおり、マイリ大統領はとても好きなキャラクターだよ。彼はナルシストだよね。人々から崇拝されたい人でもあって、自分を愛しすぎてしまった人だと思う。
サンドロ:マイリはチーズビジネスの経営者として「乳糖不耐症」の人々をターゲットにしているけど、現実世界でも何らかの理由でマイノリティの人が迫害を受けているという悲しいことがあるよね。『マッド・ハイジ』はこういうスタイルの映画だから、一見気付かなかもしれないけれど、そういったよくない側面を表現している部分もあるんだ。
─素晴らしいですね、その通りだと思います。最後の最後のシーンが本当に胸熱でしたが、続編も構想にありますか…?
サンドロ:もうそれは、たくさんの日本の皆さんがこの『マッド・ハイジ』を観てくれることにかかっていますね(笑)。アイデア、やりたいことはたくさんあるので、ぜひ作ることが出来たら嬉しいな!
『マッド・ハイジ』
監督: ヨハネス・ハートマン、サンドロ・クロプシュタイン
製作:ヴァレンティン・グルタート エグゼクティブ・プロデューサー:テロ・カウコマー『アイアン・スカイ』
出演:アリス・ルーシー、マックス・ルドリンガー、キャスパー・ヴァン・ディーン、デヴィッド・スコフィールド、アルマル・G・佐藤
2022|スイス|92分|スコープサイズ|5.1chデジタル|MAD HEIDI(英題)|配給:ハーク/S・D・P| R18
HP:hark3.com/madheidi マッド・ハイジ公式 Twitter:@madheidi_jp「#18禁ハイジ」
公開表記:7月14日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館、池袋シネマ・ロサほか全国ロードショー!
(C)SWISSPLOITATION FILMS/MADHEIDI.COM