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トンカツはおいしい。そして奥が深い。追求すればするほど、何が正解なのか、わからなくなるときがある。そして到達した結論。それは、肉質、厚み、衣、油、それらがリッチだからといって、決しておいしいトンカツというわけではないということ。500円のトンカツも、3000円のトンカツも同列。「うまい」と感じたらそれが正解。
今回は、実際に食べておいしさに感動したトンカツ屋を5店舗厳選し、皆さんにお伝えしたいと思う。おそらく大多数の人が「おいしい」と感じるであろうお店をピックアップしたが、人によって好みはそれぞれ。実際に食べて、皆さんが「おいしい」と思ってくれれば幸いである。
また、ここに掲載していないトンカツ屋でも絶品なる店は多数ある。さまざまなタイプのトンカツ屋をできるだけまんべんなく伝える為、今回の5店舗となった。「あの店が載ってない! おかしい」と感じたのであれば申し訳ないが、ご了承いただきたい。
1. とんかつ檍(あおき)
本当においしいトンカツは、ソースも、塩も、マスタードも、レモンもいらない。『とんかつ檍』のトンカツはまさにそれ。
極めてジューシーで脂身に濃い旨味があるトンカツは林SPF豚を使用。食べた瞬間、ザクッと衣が崩壊すると同時にとめどなく溢れる肉汁を堪能せよ。
店名: とんかつ檍 銀座店
住所: 東京都中央区銀座8-8-7 第3ソワレドビルB1
2. 吉平
もともと『丸山吉平』という名称だったが、『吉平』に改名してからもそのおいしさは健在であり、唯一無二ともいえる感動がそこにある。
豚肉にピッタリとくっついて離れない褐色の衣が食感と「豚肉との融合による旨味の昇華」という点で良い仕事をしている。肉厚で柔らかく、豚肉自体が旨味の宝庫なので、まずは調味料なしで食べて欲しい。
店名: 吉平
住所: 東京都千代田区神田富山町29
3. とんかつ やまいち
豚肉から溢れる肉汁はほんのり甘く、上質な旨味を含んでいることがわかる。ここでトンカツを食べるなら塩を強くオススメするが、本当ならば調味料ナシで衣と豚肉と油の旨味だけでザクザクガツガツ食べ進めたい。
トンカツの肝である衣の食感はピカイチ。トンカツの主役は豚肉かもしれないが衣も主人公。しっかり豚肉の旨味エキスをとらえた衣は、それ自体がご馳走。
店名: とんかつ やまいち
住所: 東京都千代田区神田須田町1-8-4
4. 燕楽
じっくりと、丁寧に、時間をかけて厚切りトンカツを揚げる『燕楽』。オーダーからやや時間がかかるものの、時間をかけたからこそのおいしさが楽しめる。肉汁があまり蒸発していないからか、極めてジューシーで肉汁たっぷり。
肉質が柔らかすぎず、だからといって硬くもなく「心地良い食感を感じられるやわらかさ」が保たれているのが素晴らしい。ちなみに調味料をかけるなら、ここはソース。しっかりとソースをとらえる良い衣だ。
店名: 燕楽
住所: 東京都港区新橋6-22-7
5. のもと家
とことん豚肉が食べたい、とことんトンカツを楽しみたいと思ったら『のもと屋』。オススメは特選厚切りロースかつ。驚くほど極厚な豚肉をガブリと食べ、その食べ応えを満喫。塩でもソースでもいいが、やはり最初は調味料ゼロで豚肉本来の旨味濃度を楽しむ。
可能ならソースをかけるのは終盤にし、塩やワサビで豚肉を楽しみたい。ソースをはじめにかけると、それ以降の豚肉がすべてソーステイストに包まれてしまい、一辺倒なテイストになりがちだからだ。もちろん、ソース一色で最初から最後まで食べても美味ではあるのだが。
店名: のもと家
住所: 東京都港区芝公園2-3-7
ここに掲載しているトンカツ屋はすべて、実際に食べ、そのおいしさに感動したお店だ。厚切りでおいしい、薄切りでおいしい、衣がおいしい、豚肉がおいしい、それぞれ店によって突出した魅力は違うが、どこも妥協なきトンカツを求めて追及している職人がいると感じた。ごちそうさまでした。
残念ながら閉店してしまった『とんかつ三太』(東京都新宿区新宿3-33-10)、『とん加”亭』(東京都新宿区若松町32-13)、『とんかつ冨貴』(東京都千代田区外神田3-11-11)にも、今までおいしいトンカツをありがとうと言いたい。そして一時休業との情報が出てから時間が経過している『勝漫』(東京都千代田区神田須田町1-6-1)の早期復活にも期待したい。
(執筆者: クドウ@食べ歩き)