2003年に妻夫木聡さん、池脇千鶴さん主演で実写映画化され高評価を得た、芥川賞作家・田辺聖子さんの代表作『ジョゼと虎と魚たち』(角川文庫刊)が“劇場アニメ”として12月25日(金)に公開することを記念し、メインキャストの中川大志さん、清原果耶さん登壇の公開直前クリスマスイベントが行われました。

本作は、『おおかみこどもの雨と雪』、『ノラガミ』シリーズのタムラコータロー氏が満を持してアニメ映画初監督を務め、『ストロボ・エッジ』の桑村さや香さんが脚本を、『妖狐×僕 SS』『クジラの子らは砂上に歌う』の飯塚晴子さんがキャラクターデザインを手掛け、アニメーション制作は『鋼の錬金術師』や『僕のヒーローアカデミア』など数々の人気作を手掛けるボンズが担当。

そして、留学する夢のためにアルバイトに勤しむ大学生・恒夫の声を担当したのは、中川大志さん。可愛らしい見た目とは裏腹に口が悪い、車椅子のヒロイン・ジョゼにはNHK連続テレビ小説「あさが来た」(15~16)で女優デビューを果たし、その魅力と演技力で一躍脚光を浴びた清原果耶さんが務めました。

まず、いよいよ来週に公開が迫った本作の見どころを尋ねられた2人。

中川さんは、「完成したものを観て、自分がこの作品に携わってやれたことというのは本当にちっぽけなことで、すごくたくさんのアニメーターの方がキャラクター1人1人や映像を作り上げていて。自分がその中の1人になれたことを本当に誇りに思っています。だからこうやって、代表してイベントに出させていただくのが本当におこがましいくらいなんですけど……。それくらい、映像に感動しました。すごくキレイでアニメーションって素晴らしいなと思いましたし、ぜひ大きなスクリーンで観ていただけたらいいなと思いました」と作品の素晴らしさを力説。

続く清原さんも「ジョゼ以外のキャラクターの声優キャストの中に混じらせていただいて、私大丈夫かな?と思いつつ、収録中も中川さんに引っ張っていってもらいながら、なんとか切り抜けてやっていたな、というのを完成したものを観て思い出しました(笑)。アニメーションは私達が声を入れたときはまだ完成していなかった部分もあったので、本編を通して観たときに『なんて美しいんだろう』と素直に感動しました」と語りました。

普段より関西弁っぽく聞こえるような方言指導 中川大志「弱っているときの関西弁にキュンとしました」

――演じられたキャラクターの印象は?

中川:大学生の恒夫は、年齢は自分と同い年の設定で、大学では海洋生物学を勉強して、ダイビングショップでアルバイトをしている海が大好きな男の子です。自分と同い年ということで、これまで何度か声優のお仕事にチャレンジさせていただいたんですけど、これまで演じさせていただいた役の中では一番自分に近い等身大のキャラクターなのかな、と思いました。

監督も何か僕の映像を観て、『この声、恒夫にいいんじゃないか』と選んでいただいたというお話を聞いたので、普段の自分の話すトーンに近いニュートラルな感じを意識して演じました。

清原:ジョゼは車椅子に乗っておばあちゃんと2人で生活をしてきている、少女らしい幼さが目立つ女の子なんですけど、24歳でちゃんと24年間生きてきたことを蓄えて知識も持っている子。恒夫には「あれをやって」などハッキリ言うので、心を許している人にはわがままを言える子なんだなと思いながら演じていました。

――本作の舞台は大阪で、清原さんは大阪出身でもあり、関西弁のセリフでのアフレコでしたね。

清原:私が地元に帰って使う関西弁とはまた違っていて、ちゃんと方言指導の先生もついてくださっていたので、先生に「ここのアクセントを強くしたら関西弁っぽく聞こえる」というポイントを都度、習ったりしました。

中川:ちょっと盛ったじゃないけれど、わかりやすくしている関西弁でもありましたよね。

清原:いわゆる関西弁っぽく聞こえるように、“ここを下げたほうがそう聞こえやすくなる”とか、“耳に入ってきやすい”など、先生が教えてくださいました。

中川:清原さんが関西弁を喋っているイメージがあまりなかったので新鮮でしたし、ジョゼは普段パワフルというか、周りに対して線を引いていて攻撃的な女の子なので、いざ距離が縮まっていくと、子供みたいに弱い部分を見せてくれるようになるんです。だから僕は、怒鳴ったり周りにワーッと言っているジョゼも好きなんですけど、ふとした時に見せる弱っているときの関西弁にすごくキュンとしました。可愛かったですね。ギャップが良かったです。しゅんとしているときのジョゼが。

清原:演じているときも、「このセリフ、かわいいな」と思った部分もあったので、そういう健気さとか、会話もぜひ注目してもらえたら嬉しいです。

「1人のキャラクターを作り上げるのに何十人、何百人の人たちが関わっているところが大きな違い」

――声のお芝居と普段のお芝居の違いを感じた部分は?

中川:普段、演じている役というのは僕1人で完結しているわけなんですけど、そうじゃなくて、やっぱり1人のキャラクターを作り上げるのに何十人、何百人の人たちが関わっているところが大きな違いなのかなと思います。例えば同じテイクで同じセリフだとしても、やっぱりそのキャラクターがどんな表情でどんな風に喋っているかによって全然聞こえ方が変わってくるというか、たぶんそういうものなんだろうなと思ったんですよね。だから、1つのキャラクターの感情をたくさんの人で作り上げるというのは、本当に強いことだな、と今回改めて感じました。

清原:今回、勉強させていただいたことが多くて。自分の顔ではないので、中川さんがおっしゃったようにどう動くかとかも全部はわかっていない状態で私達は声を入れさせていただいたことが、大人数で1人のキャラクターを作っていくということの大変さを感じたし、でもすごく愛情に溢れているなと完成したものを観て思いました。キャラクターだけじゃなくて背景もそうだし、風も影もそうだし、アニメーション作品ってこんなに美しく受け取れるものなんだ、と感謝が膨らみました。

――演じられたキャラとご自身が似ているところはありますか?

中川:共感できる部分もたくさんありましたし、似ているなと感じる部分もありました。例えば、恒夫は負けず嫌いなところや、ちょっと頑固なところだったり、やると決めたことはやり通したいタイプの男の子なんですけど、僕自身もそういうところがあったりします。あと、ジョゼがギャップがある女の子なんですけど、恒夫が最初はぶつかっているけど惹かれていくというところで、僕もギャップには弱いので、そこは共感して演じました。

清原:ジョゼはとても本を読む女の子なんですけど、私も本が好きで小説などを読むので、そこは似ているかもしれないです。

実際にアフレコブースでほふく前進 清原果耶のひたむきさを実感

――これまでも実写作品で共演されていますが、声のお芝居の現場で初共演されて印象的だったことは?

中川:この映画は2人のやりとりがほとんどだったので、2人で一緒に隣にマイクを並べて収録できたことがよかったですね。

清原:そうですね。すごく助かりました。やっぱり1人だけじゃイメージしきれない部分があるので、実際に隣で中川さんが喋っているのを聴きながらできるというのは、有り難いなと思いながらやっていました。

中川:あとは、やっぱり普段は実写の作品に出ている人間が、声優さんに囲まれているところに入っていくってすごく不安だし、怖いんですよ。でも(清原さんは立場的に)同じ仕事なので、不安なところや大変なことは共有して乗り越えられたので、安心感がありましたし、改めてストイックだなと思いました。

車椅子からジョゼがおりて、腕だけで進んでいくというシーンがあるんですけど、息遣いだったり力んだ声を出さないといけないので、そのときにどういう声がでるのかを清原さんが実際にスタジオのブースの中をほふく前進して試していて。実際に体を動かしてみて演技に取り組んでいたので、凄いなと思いましたね。

清原:ほふく前進のときの重みを息遣いで出さなければいけないとなったときに、ほふく前進できる場所がブースの中にあったんですよ(笑)。だから「やろう」と思って、ほふく前進してから再度録り直させていただきました。

清原果耶「本当は空手をやりたかったのにクラシックバレエに……」

12月25日クリスマスに劇場公開ということで、思い出に残っているクリスマスエピソードを聞くことに。

中川:3、4歳くらいの時に、某魔法使いの映画にすごくハマっていて大好きで。子供だったので、空飛ぶほうきがすごく欲しかったんですよ。もう1か月くらい前から毎晩お願いをして、いざクリスマス25日の朝に起きたら、明らかにほうきではないサイズの箱が玄関に置いてありまして。開けたら絵の具セットだったんです。それで、すごく泣きわめいたという写真が残っていて、まあ、筆もほうきにちょっと近くもないか……という感じではあったんですけど(笑)。その絵の具セットは小学校6年間ずっと大事に使いましたね。

清原:私は小学生の時は家族でケーキを作ったり、お肉を食べたりを毎年する家庭でした。プレゼントも嬉しかったけど、家族みんなでケーキを食べることのほうが嬉しかったような気がしますね。ケーキも手作りで、姉と一緒にクリームを塗ったりしていました。

また、「来年新しく挑戦したいこと」をオーナメント風のパネルに書いて特製のジョゼ虎クリスマスツリーに飾りました。

中川さんの挑戦したいことは、「日記を書く」。「昔小学校のお世話になった先生に“日記をつけろ”と言われていたことがあって。なかなか出来ていなくて、でも段々1年がどんどん早くなって目まぐるしく時間が流れていくので。あと、忘れっぽいので書き留めておくと『この時こんな感情があったな』と後々、芝居の役に立つかもしれないので、毎晩枕元に置いておいて書こうかなと思っています。敢えてここで言おう、と思ったんですよ、言ったらやるしかなくなるので(笑)。有言実行!」と断言!

清原さんは「空手」。「小学1年生のときにクラシックバレエを始めたんですけど、私はそのとき本当は空手を習いたくて。でも気づいたら母親が私をクラシックバレエの教室に連れて行っていて(笑)。機会があれば空手を人生で表現しておきたいな、と思いました」と少し意外な告白。

「アクションとか見たいですね」の中川さんのコメントに、清原さんも「アクション好きなので、やりたいです」と決意を述べました。

最後に、「クリスマスに公開になります。今年は大変な1年でしたけども、映画館でゆっくりと癒やされる温かい気持ちになれるような優しい映画になったと思いますので、ぜひ映画館に観に行っていただければなと思います」(中川さん)、「この作品はすごく愛に満ちていて、繋がりっていいなと思わせてくれるようなシーンが数々ある作品になっておりますので、ぜひお一人でも、大切などなたかとも観ていただければ嬉しいです」(清原さん)とメッセージを届けました。

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おそらく(?)某魔法使い映画の日本語版吹替を担当している小野賢章さんと中川大志さんの共演イベント&動画インタビュー記事はコチラ↓
[独占動画インタビュー]中川大志×花村想太×小野賢章 MARVEL男子たちの意外な一面とは?
https://getnews.jp/archives/2048610[リンク]

アニメーション映画『ジョゼと虎と魚たち』2020年12月25日[金] ロードショー
【あらすじ】
趣味の絵と本と想像の中で、自分の世界を生きるジョゼ。幼いころから車椅子の彼女は、ある日、危うく坂道で転げ落ちそうになったところを、大学生の恒夫に助けられる。海洋生物学を専攻する恒夫は、メキシコにしか生息しない幻の魚の群れをいつかその目で見るという夢を追いかけながら、バイトに明け暮れる勤労学生。
そんな恒夫にジョゼとふたりで暮らす祖母・チヅは、あるバイトを持ち掛ける。それはジョゼの注文を聞いて、彼女の相手をすること。しかしひねくれていて口が悪いジョゼは恒夫に辛辣に当たり、恒夫もジョゼに我慢することなく真っすぐにぶつかっていく。そんな中で見え隠れするそれぞれの心の内と、縮まっていくふたりの心の距離。
その触れ合いの中で、ジョゼは意を決して夢見ていた外の世界へ恒夫と共に飛び出すことを決めるが……。

中川大志 清原果耶
宮本侑芽 興津和幸 Lynn 松寺千恵美 盛山晋太郎(見取り図) リリー(見取り図)
原作:田辺聖子「ジョゼと虎と魚たち」(角川文庫刊) 監督:タムラコータロー
アニメーション制作:ボンズ 主題歌・挿入歌:Eve「蒼のワルツ」/「心海」(TOY’S FACTORY)
配給:松竹/KADOKAWA 製作:『ジョゼと虎と魚たち』製作委員会
(C)2020 Seiko Tanabe/ KADOKAWA/ Josee Project
公式 HP:joseetora.jp[リンク]
公式 Twitter:joseetora_movie

―― やわらかニュースサイト 『ガジェット通信(GetNews)』
情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 「1人のキャラクターを作り上げるのに何十人、何百人の人たちが関わっている」アニメ映画『ジョゼと虎と魚たち』中川大志&清原果耶が実感した大変さや素晴らしさを力説