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カッコウ、カエル、アメリカザリガニにカワセミなど、どこかで一度は見たことがある、聞いたことがある日本の野生生物。『わいるどらいふっ!身近な生きもの観察図鑑』(一日一種著 / 山と溪谷社刊)は、そんな生きものたちのクスッと笑えるエピソードや雑学が満載で、楽しい発見ができる4コマ漫画図鑑です。
淡い色彩とほのぼのしたタッチの4コマは、四季の自然の美しさがふんわり漂い、バーチャル自然探索ができる感覚。意外な名前の由来、ありがちな人間の観察カン違い、そしてヘンな鳴き声特集……。
アズマヒキガエルの由来がハンサムということを知るも「どこがやねん!」とツッコみたくなったり、名前だけ偉そうなカナヘビを応援したくなったり、好奇心と生きものへの愛が倍増します。
本書ではとにかくキュートに描かれる野生生物なのですが、「面白いし癒される」で終わらないのが『わいるどらいふっ!』のワイルドなところ。そう。野生の生きものの日常は、激しい生存競争の繰り返し。ユーモアあふれる4コマに、それがしっかり描かれているのです。
「俺を食べるな!」と必死で抗いながらもパクッとされてしまう食物連鎖の残酷さも、野生生物たちの日常のあるあるなのだと……。
登場人物、いや、登場生物すべてが自然の移り変わりのなかで飛んだり跳ねたり潜ったりし、そして互いに食べる食べられるという生きるためのハンティングを行っている。そんな現実を「生物の生業」と納得して読めるのは、ユーモアと図鑑としての知識のバランスゆえ。
本書のモズのページで、ヒーロー気分なツチイナゴが、ヒーローポーズのまま「はやにえ」になっているシーンはなかなかの衝撃なので必見です。※「はやにえ」とは、モズが捕えた獲物を木のトゲや人工物などの尖ったものに突き刺しておくもの。
『わいるどらいふっ!』は、生きもの観察に必要な道具や心構え、毒になる植物や触ると危険な生きものなどの見分け方などのお役立ち雑学も、しっかりと盛り込まれています。
全ページカラー、写真も多く、見るだけで楽しいのもわかりやすさの大きなポイント。いくら大人が口を酸っぱくし「なんでもむやみに触っちゃダメ!」といっても聞く耳を持たない子どもに、この本を使って説明してみてはいかがでしょう。アウトドアに出かけるとき、リュックに入れておくのにも、ちょうどいい大きさですから!
ほのぼのながらにワイルドライフを過ごす野生生物たちの豆知識をたくさん覚えたあとは、自然との関わり合いをユル~く幸せに考えさせてくれるラストが待っています。
自然を壊しもするけれど、新たな生きものたちの場所を作ることができるのも人間。本書の最後のページにある漫画や、私たち人間もふくめての帯の文言「ぼくらはみんな生きている!」が改めて心に響きます。
読み終わったあと、いつもは気にならない道の横の植物や、空に飛ぶ小さな鳥を見渡したくなるこの『わいるどらいふっ!』。
著者の一日一種さんは、野生生物の魅力を伝えたくて漫画やイラストを描いている元野生動物調査員。その解説に生きもの愛がヒシヒシと溢れ出ているのはもちろんですが、「この人、野生生物の話していることが本当にわかるんじゃ?」と思ってしまうほど、目線が人間ではなく、野生生物寄りです。
もちろん「絵がカワイイ」というジャケ買い感覚で手に取るのもアリ。一度ページをめくれば、そこにあるのは春・夏・秋・冬という季節が咲き乱れるワイルドライフ。「生きるってこういうことっす!」とシンプルかつユーモラスに日常を過ごしていく野生動物に口元が緩むこと、まちがいなしです。
4コマ漫画図鑑『わいるどらいふっ!身近な生きもの観察図鑑』
(山と溪谷社)著者:一日一種
販売価格:本体1,000円+税
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(執筆者: 「山と溪谷社」の中の人) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか