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大人気TVアニメ『おそ松さん』の完全新作劇場版『えいがのおそ松さん』が3月15日より絶賛上映中! 『えいがのおそ松さん』は、クズでニートないつも通りの大人の6つ子たちが同窓会に行き、迷い込んだ不思議な世界で、18歳(高校生)の6つ子に出会う物語。今回は、ナルシストで中二病をこじらせている次男・カラ松役の中村悠一さんにインタビュー。
高校3年生・18歳の6つ子たちは、大人の6つ子と少しキャラが異なります。18歳のカラ松を演じた感想や、今回の劇場版の見どころ、18歳の6つ子の印象など、たっぷり話を伺いました。
※劇場公開前に18歳の6つ子のビジュアルは解禁されていますが、キャラクターそれぞれの印象など少しネタバレを含むのでご注意ください。
――劇場版になると聞いたときの気持ちを教えてください。
中村:率直な思いとしては、嬉しさ3割、辛さ7割みたいな感覚ですね。TVシリーズの収録をしていたときは、テンションが高いので毎週すごい労力をかけて、ようやく面白くなったかな、と思えるような作り方をしていたので、これを劇場版スケールでやるのはどうなっちゃうんだろうと思いました。劇場版となるとおそらく90分以上あるだろうから、これはキツイな……(笑)と思って蓋を開けてみたら、なんと90分じゃなく、108分尺があったという。さらに、週替りの前説劇場もあって、収録は大変でしたね。
――18歳の6つ子が登場しますが、最初見たときの印象は?
中村:18歳の6つ子が出てくることは面白い試みだなと思いました。どうやって登場するのかわからなかったので、18歳の6つ子がベースで話が進んで現在に至るなどの展開になるのかな?など想像していたんですけど、まさか大人の6つ子と出会って、セットで何かするとは思っていなかったので、「いやいや、待て。映画でよくある、ゲストキャラクターが登場して、大活躍みたいな展開があるだろう!」と、僕は(脚本担当の)松原秀さんにも伝えたんですけど、「なるほどね」の一言で終わらせられました(笑)。思いの外、6つ子の登場シーンの割合が高かったですね。
――アフレコは、18歳の6つ子と大人の6つ子で2回録るので大変だったようですね。
中村:そうですね。18歳の6つ子と大人の6つ子が出会って物語が大きく進み始めるんですけど、結局、大人の6つ子が喋るだけじゃなくて、18歳の6つ子たちにも当然人格があるので、一緒に会話のやり取りをして引っ張り合っていくんですね。そこは物理的に一緒に録れないので、本番を2回やって録っていきました。ほとんどのキャストの方と一緒にアフレコ収録をすることができたんですけど、6つ子達の掛け合いが多い分、ほかのキャストさん達に待っていただく時間がすごく長かったので申し訳ないなと思いました。
――小野大輔さんも燃え尽きたとおっしゃっていたようですが、アフレコ現場で印象に残っていることは?
中村:最初は、なんだかんだ言って楽しくやっていたんですけど、夜のけっこう深い時間になりだしてから、明らかに全員の集中力の欠如、ミスの多さ、口が回らないなど、初歩的なエラーが僕も含めて目立つようになってきて、やっぱり歳だなと。これは体力が一日保たないよ、と如実に感じました(笑)。
――TVシリーズからスケールアップした部分は?
中村:アフレコ段階の線画でも、ここはだいぶ動かすんだろうな、と感じられたので、作画面はスケールアップしていると思います。アフレコ時の素材からでも、スタッフさんがここは思い切り動かしたいんだな、と伝わることがあるんです。そういうときって、人間の立ち姿に骨格がけっこうちゃんと作られるんですよ、骨格通りじゃないとちゃんと動けないので。それがわかるシーンが多かったので、作画面は当然気合いが入っているんだろうと思いました。
中村:また、僕的には1本100分超えのエピソードが『おそ松さん』で成立すると思っていなかったので(笑)、もっといくつものエピソードがバラバラと入っていてパートが分かれている作りをするのかと思っていたんですよね。それが、意外とシナリオを通して1本化されていて……、まぁ、一部絶対いらないっていうギャグシーンもあるんですけど(笑)、それを除くと、いらないようなギャグのシーンかなと思っても、ちゃんとそれがあることによって次に繋がるとか、面白く見られるきっかけになっていると思います。
TVシリーズと尺が違うということは、緩急の付け方も当然変えていかないと同じ構成ができない。それをしっかりやっているというのは、劇場版ならではの構成になっているかなと思いますね。『おそ松さん』らしい、必要のないギャグは入ってますけど(笑)。
――そうなんですね(笑)。
中村:「あれは一体なんだったんだろう?」と思うシーンがあって、みんなでアフレコしながら「コレいるかな?」と言ってましたよ(笑)。監督たちは「やってみたかった」と言っていましたけど。そんな作品です。
――それも良いスパイスになっているのでは?
中村:その可能性があるので、ちょっと油断できないですよね。たぶん、計算上は作品のスパイスになっているという想定で作られているので、そこも楽しんでいただきたいなと思います。
――劇場版だからこそできるギャグやオマージュみたいなものもあるなと感じました。
中村:そうですね。やっぱり劇場版だから、映画ネタもあったりして。僕は、そこが案外嫌いじゃないです。
――あるSF映画をオマージュしているシーンはいかがですか?
中村:長いです! あれがストーリーと関係なく、一番いらないところだと思います(笑)。僕は某博士の役をやらせていただいて。
――カラ松の見どころだと思います。
中村:見せ場ですよ! テストで収録したときに「なんだ、あいつちょっとマネしてんのか?」と言われて、そんなつもりじゃなかったのに(笑)。あの辺りは、確かに今散々いらねーだろ!って言いましたけど、好きなシーンですね。いらないとは思うんですけど、面白いシーンです。あの車に5人で乗っているところも好きです。それが出来るのも『おそ松さん』ならではだなと思います。
――18歳のカラ松の印象は?
中村:奇をてらったような設定ではなかったので、僕としては普通に受け入れることができました。でも、カラ松が18歳の6つ子の中でひとつドラマを起こすきっかけになるんですよ。カラ松のキャラクターから、こういうストーリーになったのかな、と紐づくところがあったので、演じやすくはありました。気が弱くて、気を遣って人の顔色を気にするところや、意見が言えない……など、相当引っ込んでいる性格の子になっているんですけど、でも、現在のカラ松を演じている中でもそういう部分は見え隠れしていたと思うので、僕としてはそこがある種カラ松の魅力かなと思っていたんですよね。カッコつけているのに、隙だらけというか。それを自分では自覚していないのかな、みたいなところが良さかなと思っていたんです。そこから繋がっているのが、18歳のカラ松だなと思ったので、成長過程が見えるようで僕は違和感はなかったですね。
――苦労した点や意識した点は?
中村:18歳のカラ松は役柄的にそんなにセリフが多くなかったんですけど、現在の大人のカラ松は、TVシリーズからずっと、先程も話した隙があるような部分と、カラ松の中でスイッチがオンになっているカッコつけている描写、そうじゃないオフのところがしっかりないと、やっぱり1人の人物として魅力が薄くなってしまうし、アニメのキャラなんですけど、どこか実在しているような人間に見えないといけないなと思っていました。だから、カッコつけてカッコイイだけの状態というのは、彼が人として成立しなくなっちゃうので、そういったオン・オフが台本に記載されていないところで、ここら辺はカラ松はちょっとオフっぽい素の表現の方が面白いのかな?と自分でも試してみたり、試行錯誤していました。
中村:その中で、さらに兄弟たちとのトーンだったり、女の子相手のカッコつけたトーンもあったり。兄弟を相手にしていても、十四松だったら、チョロ松だったら……と、相手によってもたぶんトーンが違うんですよね、人間同士のやり取りなら。劇場版という尺が長い分、人物ごとにも緩急やオン・オフを作っていかないと、観ている人たちが楽しみきれないのかもしれないな、というのは、今回の劇場版ならではの課題だったと思いますね。
――カラ松以外の18歳の6つ子の印象は?
中村:おそ松はまったく変わらないので、「一緒なんだ(笑)」って思いました。チョロ松は、台本に“キンキンした甲高い声”と指定が書かれていたので、「どうするんだろう?」とみんなで言っていたら、神谷さんがいい塩梅のおかしなキャラクターを作り上げていたので、楽しませてもらいました。「大人のチョロ松でも時々出る痛さのこれが根幹なんだ、このときからちゃんと痛い部分があるんだ」というのが感じられました。
一松は、個人的には18歳の6つ子の中で一番好きだったんですけど、人付き合いをしていこうとか、なんとか社会に適合して行こうみたいな、無理をしているところが面白くて。でもすぐにボロが出てしまう、「無理してるんだな」と見えるところや、それを見ている大人の6つ子との対比が面白い。現在の自分が過去の自分を見てそれぞれツッコむシーンなんてたまらないです。特に一松が好きでした。
十四松は、ファンの皆さんの間でも話題になっていましたけど、なんでこのビジュアルになったのかがまったくわからないですし、「この設定、途中で忘れてるよね?」というくらい、特に活かされていない気がします(笑)。たぶんですけど、監督たちの中で、「おそ松だけ変わらない」ということにする以上、他の5人を変えなきゃいけないから、十四松は無理やり思いついたのがコレだったのかな(笑)?なんて想像してみたり。
トド松は可愛いという部分がクローズアップされたキャラになっているんですけど、今のトド松が可愛子ぶるのって、あえてちょっとイラッとする演出にして、みんなに「ふざけやがって」と言われるまでがセットになっているんですよね。でも、18歳のトド松は案外、普通にお兄ちゃん子な可愛い子。逆に「18歳でこれって大丈夫か?(笑)」っていう面もあるんですけど、まだこの頃は素直なのかなと思いました。キャラクターの成長として考えると、この後大人になって無職になった瞬間に、ちょっとひねちゃったというか、「変わっちまったな。染まっちまったな」的な感じでしょうか。トド松は、そういう成長をしたんじゃないですかね(笑)。
――では、今回の劇場版を経て、好きなキャラクターを教えてください。
中村:あつしくんは、何なのかわからなくてけっこう好きです。トド松の会話にだけ、やたらと出てくるあの人物。「もういいよ、あつしくんと行くから!」とよく言うけど、「あつしくんって誰だよ!?」みたいな(笑)。ようやくちゃんと出てきたので面白かったです。あつしくんの存在感が大きくなっていたところだったので、「ああ、あつしくんこんな感じなんだ。ようやくあつしくんを見ることができたな」と思いました。
――今後の展開で希望することは?
中村:少し前にやった『ウルトラマン』コラボでも、それぞれこのウルトラマンや怪獣でコラボすると面白いんじゃないかと配役があって、そういう試みがすごく面白かったです。まさかそんなことすると思っていなかったので、キャラクターの特徴を活かして、いろんなことが出来るし、許してもらえる空気なら、いろんな作品とコラボレーションをして、キャラクター同士を掛け合わせたイラストだったり、仕様が見てみたいなと思いました。
――先日、『仮面ライダー』シリーズとのコラボは実現しましたね。
中村:あれは平成仮面ライダーでしたよね。昭和でもやりたいですし、僕は『仮面ライダーBLACK』が好きなので、コラボしてくれたら、頑張って倉田てつをさんのマネをしますよ(笑)。
――今回の劇場版の台本を拝見して、ファンの方も喜ぶ内容になっているんじゃないかなと感じたのですが、ファンに向けておすすめポイントをあげるとしたら?
中村:相変わらず、なんでもない話のように見せて、しっかりとお話として展開しています。オチのところは、受け取る人によって、どういう物語だったか、考え方にバラつきが出そうなので、そこが面白いなと感じました。明確に“こういうお話でしたね”と答えを提示せずに、受け手にゆだねているところも多くて。ギャグで畳み掛けるように最後までいくんですけど、最後の最後で観ている方にゆだねるような終わり方をするというのも、少し挑戦的だなと思いました。僕は素直に最後まで台本を読んだときに、ちょっとモヤモヤしたんですけど、他のキャストは「良い終わり方だよ」という人もいたし、このアフレコに参加しているメンバーの中でも、それだけ感じ方の違いがあるので、観ている方それぞれにエンディングの捉え方があるかなと思います。
――最後に、TVシリーズから演じられて、解釈が変化した部分はありましたか?
中村:そういうのはなかったですね。そこが僕的には良かったです。劇場版をやるからと言って、監督・脚本が変わったわけじゃなくて、TVシリーズと同じスタッフで劇場版を作れていることが大きいかなと思います。30分で作るのと100分超えの作品を作るのは、お話の展開が絶対に変わるし、少しキャラのイメージが違うな、などあってもおかしくない。でも僕としては、ちゃんと『おそ松さん』になっていたのが今回の良いところで、変わらなかったことが、すごく良かったなと思いました。
――ありがとうございました!
中村さんが18歳の6つ子の中で一番好きだと語った一松役の福山潤さんのインタビューはコチラ↓
一松役・福山潤「同窓会に誘ってほしい!」と明かす 『おそ松さん』シリーズ通しての変化は自分の実感を入れて喋るようになったこと
https://otajo.jp/77377
劇場版『えいがのおそ松さん』2019年3月15日(金)全国ロードショー!
【ストーリー】
迷い込んだ不思議な世界で6つ子が出会ったのは、18歳の自分たち。
ある日、高校の同窓会に訪れた、6つ子たち。
ちゃんとした大人に成長し、社会人として活躍する同級生たちとの再会で、対照的な冴えない自分たちの現実に打ちのめされ、やけ酒をあおり、眠ってしまう。
翌朝、目が覚めたおそ松たちは、部屋の異変に気付き、街に出る。目に映るのは、いつもと違うけど、どこか見覚えのある風景。
ここは「過去の世界」ではないかと疑い始めた矢先、デカパンから「6人の中に、この時代に大きな後悔を残している人物がいる」と告げられる。真実を確かめるため、彼らが会いに行ったのは、18歳の自分たちだった……。公式サイト:
https://osomatsusan-movie.com[リンク]
(C)赤塚不二夫/えいがのおそ松さん製作委員会 2019