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*この記事は映画鑑賞録Webサービス「KINENOTE」(キネマ旬報社)の記事
http://www.kinenote.com/pages/2017/08/post-1727/ からの転載です。
9月にリリースされる未公開、単館系のパッケージ作品の中から、「観たら必ず誰かに教えたくなる」作品を厳選してご紹介。劇場で見逃した作品や隠れた名作が多く並ぶレンタル店だからこそ出会える良作、小規模公開ながらの傑作など、様々な掘り出し映画との出会いを提供します!
アルバトロス・フィルムよりリリース中!
【STORY】
自動車のディーラーとして働くジョンスは妻と娘が待つ家へ車を走らせていた。しかし運転中に突如トンネルが崩れ、車と共に生き埋めになってしまう。目が覚めた時、彼は巨大なコンクリートの残骸に囲まれていて…。
【オススメCOMMENT】
トンネル崩壊事故で車ごと生き埋めになってしまった男。手元には充電78%の携帯とペットボトルの水2本。そして娘のために買ったケーキ…。これはまさに不運な男の孤独なワンシチュエーションサバイバル! と謳いたいところだが、そんな鉄板ジャンルとは一味違う。サバイバルあり、反政府的要素あり、涙あり。そして少しのユーモアあり。彼の妻や救助隊、政治家など“ 外の人” たちの人間模様も抜かりなく描いた、魅力満載の一本。そして何より、あの痛快なラストは最高!
ハピネットよりリリース中!
【STORY】
落ち着きのない女の子マーサは、ある日フランシスという男性と恋に落ちる。理想の相手と信じていたが、彼の正体は伝説の殺し屋だった。しかし彼と過ごすうち、マーサは自分の殺し屋としての素質に気付き始め…。
【オススメCOMMENT】
ダメンズウォーカーの女子、マーサが出会ったのは、最強の殺し屋フランシス。意気投合するも彼が殺し屋と知り、彼女の恋は終わりを告げる…。と思いきやそうはいかない。彼の猛烈な愛に負け、マーサは彼についていくことを決意。もうこの時点でクレイジーカップル認定です。彼に劣らぬ反射神経を持っていたマーサが、次第に暗殺能力に目覚めていく様はかなり見物。この2人、クレイジーだけど何だか愛らしい最強の殺し屋バディです。マーサ役アナ・ケンドリックの怪演にも注目!
クロックワークスよりリリース中!
【STORY】
フィンランドで出会い、感情に身を任せ1度だけ体を重ね合わせたサンミンとギホン。名前も知らないままふたりは別れるが、8ヵ月後、ソウルにいるサンミンの前に、突如ギホンが現れ、ふたりは禁断の恋に溺れていく…。
【オススメCOMMENT】
お互いの子どもをキャンプに預けた後に始まる大人の秘密の時間。言語が通じる安心感からか、家庭に悩む者同士だからか、ふたりは強烈に惹かれ合う。外国での一夜限りのはずが、コン・ユ演じるギホンが彼女の職場に出現(「偶然」などこの世にはない)。子どもが傍にいながら雄を解放するコン・ユの「不倫男」ぶりは何ともリアル。美しい寒景色、ソウルの夕刻の光、美男美女の裸体が艶めくホテル…。胸に剣が刺さったままの“鬼”や、“ゾンビと戦うパパ”と合わせて、本作の“不倫”コン・ユもぜひ。
アンプラグド/ポニーキャニオンよりリリース中!
【STORY】
エヴァとロッコ夫妻の招待で、7人の友人夫婦が集まった食事会。楽しく話が弾む中、エヴァがスマホの着信やメールを本人に代わってチェックするという“究極の信頼度確認ゲーム”を提案し、事態は思わぬ方向へ向かう。
【オススメCOMMENT】
信頼しているならば、携帯も見せられるはずだよね? は大きな間違い! 最初こそ、浮気相手を装った偽メールのイタズラで笑える程度だったが、やがて新婚カップルの夫のゲスな浮気が発覚。その相手が相手なだけに、事態は最悪の展開に向かう。悲惨なゲームによって、次から次へと明るみになる人間の秘密に泣き崩れ、それでも最後は月を見上げて解散! みたいなタフさには驚く。このブラックな携帯ホラーがイタリアのアカデミー賞を受賞するのだから、やはりイタリア人には粋を感じる。
キングレコードよりリリース中!
【STORY】
北朝鮮の寒村で、妻子と共に暮らす漁師のチョル。ある日、いつものように漁に出るが、船の故障により韓国側に流され韓国警察に拘束される。スパイ容疑の過酷な取り調べに耐え送還されるが、より苛烈な運命が彼を待っていた。
【オススメCOMMENT】
「あの国」の暴挙はより一層エスカレートし、いつ衝突が起きても不思議ではない今だからこそ、冷静になってこの作品を観る意義があるのではないだろうか。国のイデオロギーの前に一個人がいかに無力であるか。どれだけ無慈悲にその尊厳を踏みにじられるか。人の善意が時に、どれだけ人を残酷に傷つけるか。そのおぞましさを容赦なく見せつけられる。その一方、私たちと同じように、家族を愛する普通の人間がいるという、そんな当たり前のことを教えてくれる。間違いなく今、観るべき作品。
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントよりリリース中!
【STORY】
ネイディーン、17歳。教師や母親を困らせ、何をしても敵わない兄にコンプレックス抱き、恋に恋する妄想ばかりのイケてない毎日を送る。そんな中、唯一の理解者、親友のクリスタが兄と恋に落ちる衝撃の事件が起きる。
【オススメCOMMENT】
冒頭、ヒロインが「これから死ぬわ」と教師に切り出す。しかし、その機先を制するように「実は俺も今、遺書を書いているところだった」と返し、教師はそれを読み上げてみせる。ふたりのやり取りは幾度となく繰り返され、10 代の悩める少女を教師が煙に巻いていく。ふざけているようで実はちゃんと響くところはある証拠に、何だかんだで少女は教師を頼り、教師も応えていく。そんな教師をはじめ、家族、友人の助けによって長いトンネルを抜け出した後、少女の晴れやかな顔は美しかった。
芸術の秋は映画の秋。見逃し厳禁ですよ!
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(執筆者: キネ旬の中の人) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか