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*この記事は映画鑑賞録Webサービス「KINENOTE」(キネマ旬報社)の記事
http://www.kinenote.com/pages/2017/07/post-1618/ からの転載です。
8月にリリースされる未公開、単館系のパッケージ作品の中から、「観たら必ず誰かに教えたくなる」作品を厳選してご紹介。劇場で見逃した作品や隠れた名作が多く並ぶレンタル店だからこそ出会える良作、小規模公開ながらの傑作など、様々な掘り出し映画との出会いを提供します!
20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンより8月2日リリース
【STORY】
世界一ハッピーな生き物“トロール”。彼らを食べることでしか幸せを感じられない惨めな生き物“ベルゲン”。20年ぶりに捕まえたトロールに沸き立つベルゲン・タウンへ、仲間を助けるためトロールの王女ポピーは旅立つ。
【オススメCOMMENT】
クセのある造形、極彩色のキャラたちに若干の抵抗があったのは始まってほんの僅か。すぐにその魅力にどんどんハマっていく。デフォルメされたキャラなのに、感情のちょっとした機微を巧みに捉えた表情、しぐさのリアルさは驚くばかり。そして何と言っても歌と踊りが良い。数々のヒット曲に乗せて物語は踊り出す。何が怖いって、あんただよ、と言いたい。J・ティンバーレイクが頑なに歌うことを拒む役を演じているところも心憎い。そんな彼が満を持して、ここしかないという場面で歌う名曲「True Colors」は泣けます。
ギャガより8月2日リリース
【STORY】
パリ市街で爆弾テロが発生。事件の容疑者として浮上したのは、スリのマイケルだった。しかし捜査担当のCIA捜査官ブライアーは、いち早く彼が無実であること察知し、真犯人を探すためマイケルを捜査へ引き入れる。
【オススメCOMMENT】
怖そうだけどどこか憂いをおびたCIAのイドリス・エルバと、見事な手口でスリを働く色男のリチャード・マッデン(冒頭のお仕事は見事)。人種も性格も違うふたりが、突如発揮するパワーと、物語のテンポが小気味いい。盗んだ鞄に爆弾が入っていたことから、CIAに目をつけられたスリ常習犯。最初は逃げ回っていただけなのに、いつしか本当のテロ犯を捕まえる捜査へと巻き込まれていく。事件の真相が見えたとき、このバディ結成は必然だったのだとわかると、より一層グッときます。
クロックワークス/松竹より8月2日リリース
【STORY】
シングルファーザーで酒浸りの私立探偵、マーチと腕力で揉め事を解決する示談屋ヒーリーのコンビは、失踪した少女の捜索をすることに。しかしその事件は、ある1本の映画にまつわる連続不審死事件と繋がっていて…。
【オススメCOMMENT】
酒浸りの私立探偵マーチと腕っ節の強い示談屋ヒーリーは、一見似つかない凸凹コンビだが、マーチのクズっぷりと、ヒーリーの豪快さが絶妙にマッチ。更に彼らの捜査を手伝うマーチの愛娘ホーリーは、超キュートなうえにかなり頭が切れるので、3人でナイスなチームワークを発揮する。そんなユニークな彼らが追う失踪事件が、次第に国家の大きな陰謀へと繋がっていく展開には目が離せません。R・ゴズリング演じるマーチの憎めないクズさもクセになる、ナイスなアクションサスペンス!
ハピネットより8月2日リリース
【STORY】
最愛の姉と甥を惨殺される悲劇に見舞われた、新聞記者のジュリア。事件の真相を解明すべく姉の家を訪ねるが、すでに殺害現場となった部屋は取り除かれていた。彼女は元恋人の刑事とさらに調査を続け、ある人物にたどり着く。
【オススメCOMMENT】
数ある“ 家もの” ホラーにまったく新しい作品が登場してきたなと。空中で飛行機と飛行機の間を綱で移動した人、いたら教えて欲しい。凄惨な殺害現場となった部屋だけ持っていくという斬新さ。そしてそれらを集めてひとつの屋敷を構築していくという奇抜さ。さらに、舞台は現代のはずが、50年代くらいのレトロなトーンでまとめたところなど、端々に作り手のホラーに対するこだわりの美学を感じます。どう考えてもそんな屋敷がまともであるはずもなく、それを創り上げる男も常人であるはずもないですが、共感できなくもないところが気持ち悪いです。
ファインフィルムズより8月2日リリース
【STORY】
クルージングを楽しんでいた中年男6人は、帰港するまでの間に誰が一番強い男(ストロングマン)かを決めるゲームを始める。“ 料理の知識” などを評価し合い楽しんでいたが、次第に本気の争いになってきて…。
【オススメCOMMENT】
ある些細な言い争いから、誰がストロングマン(最高の男)かを決める大勝負をすることになった中年男性6人。しかしその勝負とは、“ズボンのベルトの位置”、“寝相の良さ”など、あらゆる角度で互いを評価し合うというなかなかシュールなもの。大の大人が急に自分の一挙一動を気にし始める光景に思わず笑ってしまうが、次第に戦いは思いがけない方向へ進む。そして彼らの自尊心が揺らぎ出し、関係がぎくしゃくし出す様子は、現代社会の人間関係を風刺しているようで、妙にリアル。
ミッドシップより8月2日リリース
【STORY】
太陽が照りつけるロサンゼルスのクリスマスイブ。28日間の服役を終えた、トランスジェンダーで娼婦のシンディは、自分の留守中に恋人が浮気したことを知り怒り狂う。浮気相手を懲らしめようと街へと飛び出すが…。
【オススメCOMMENT】
全編スマホで撮影されたストリート感溢れる映像にのって、赤裸々な人生模様がほろ苦く綴られる。主人公は本物のトランスジェンダー(しかも娼婦)。彼氏の浮気相手をとっちめようと、親友と街中を奔走。シンプルな話に映える、躍動感が心地よい鮮やかな映像と、不意にかかる音楽の強烈ビートに脳内を刺激されつつ、こうやってスマホで撮るのか~、と感心も。タフな女たちのむき出しの感情が、ありふれた路上の顔をある種のドラマに変えていて、鑑賞後はセンチメンタルに浸れる。
良作づくしの8月のリリース作品。夏休みはレンタル三昧の毎日を送ってみては!?
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(執筆者: キネ旬の中の人) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか