<写真:立脇卓(提供画像)>

米津玄師、自身初のアリーナツアーで17万人以上を動員!



3月11日、米津玄師が「米津玄師 2019 TOUR / 脊椎がオパールになる頃」の国内ファイナル公演を幕張メッセにて開催した。




この日のライブは、1月から始まる8都市16公演で17万人以上を動員した自身初の全国アリーナツアーの国内最終日。



そこで見せたのは、「自分にとっても大きく、環境が変わっていく一年だった」と彼自身もMCで語った2018年を経て、それでも変わらぬ彼のアーティストとしての美学の真髄を見せるようなステージだった。




TEXT:柴那典




<写真:立脇卓(提供画像)>


開演予定時刻を少し過ぎると、ジェイムス・ブレイクの「Don’t Miss It」をSEに、中島宏士(Gt)、須藤優(Ba)、堀正輝(Dr)というバンドメンバーと共に大歓声のなか米津が登場する。




<写真:立脇卓(提供画像)>


ライブは「Flamingo」からスタート。見たこともないような三角形のステージと、同じく三角形の大中小、三連のトラスに、淡いピンクのカラーが写しだされるなか、躍動的なグルーヴで会場に熱気を生むと、続く「LOSER」で米津は前方に歩み出て、高くせり上がった三角形の花道からオーディエンスを見下ろし体いっぱいを使い踊り、そして力強く鼓舞しながら歌う。さらに「砂の惑星」ではマイクを握り左右に広がる花道をステージ狭しと歩きまわり、気迫に満ちた叫び声を響かせる。




「今日は楽しい日にしましょう。よろしくお願いします」と告げ、続けてはアコースティック・ギターを抱えて「飛燕」を披露。ステージ背後のLEDビジョンにこの日初めて米津の姿が写しだされると大歓声が起きる。




<太田好治(提供画像)>


つづく「かいじゅうのマーチ」は古代の壁画のような映像、そして「アイネクライネ」では大きな扉の前に、ハートやスペードなどの記号が映し出される。序盤の3曲がアグレッシヴにオーディエンスの身体を揺さぶるものだったのに対して、続く3曲は優しく親密なメロディで胸を掴むような展開だ。




セットリストはアルバム『BOOTLEG』、そして昨年にリリースされたシングル『Lemon』『Flamingo / TEENAGE RIOT』収録曲を中心に、過去作からのナンバーを織り交ぜた構成。その曲順も、単に曲を並べるだけでなく、多面的な彼の音楽性をさまざまな角度から紐解き、ストーリー性と共に見せていくような構成だ。




<写真:立脇卓(提供画像)>


それを強く感じたのが、MCなしで9曲を続けて披露した中盤のパートだった。カラフルなグラフィックの「春雷」から「Moonlight」では艶紫色のアンニュイな世界観で、満月の映像をバックに男女2名のダンスパフォーマーが踊るのを前に、ストリーテラーのように歌う米津。




気だるく流れるようなグラフィックに、スモークがたちこめる中、セットの三角形のトラスが上空からステージ全体を包み隠してしまう「fogbound」に続き、「amen」では、暗転した中に響く荘厳な鐘の音から、一転してダークな世界に突入する。




青暗く、怪しげなスモークが立ち込める中、三角形のステージと頭上トラスの間をうごめくパフォーマーの前で歌う米津は、神聖さと同時に怖さすら感じさせる存在としてみえ、曲が終わると大きな拍手がおきた。




さらに「Paper Flower」は、左から右、下から上へと動く光の筋に、影絵のようにダンサーのシルエットが浮かび上がる。息を呑むような演出で、喪失感が強調され、米津の切実な歌声に胸があつくなる。彼の音楽世界のより深く、より純度の高い部分に誘われていく。














<太田好治(提供画像)>




続く「Undercover」でそのムードが一転。ドラムパフォーマンス集団「鼓和 -core-」の10名が登場し、米津が力強いマーチングバンドを引き連れて花道を歩く姿は圧巻の迫力があり、一気にムードが上昇する。




そして会場が色とりどりの光に包まれた「爱丽丝」からの3曲は米津の音楽が持つ“外に向かうエネルギー”のようなものを全面に放つ展開だ。米津が高らかに右手でピースサインを掲げて歌った「ピースサイン」、そして情熱と衝動を叩きつけるような「TEENAGE RIOT」と、バンド編成の躍動感あふれる演奏と共に、ヒロイックなロマンティシズムを響かせる。




<写真:立脇卓(提供画像)>


終盤、米津は自分の思いをオーディエンスに熱っぽく語りかけた。ドラマ主題歌となり「自分でも想像しなかったような広がり方をした」という「Lemon」という曲をきっかけに、大きく環境が変わった2018年を振り返り、「変わっていこうという気概を持つ人間は美しいと思うし、変わっていくというのは自分が音楽を作っていくうえでの基本理念」と語った彼。それでも「自分のことを海を渡る大きな船だとするならば、その船から誰も落としたくないと思う」と率直な思いを語る。そして、沢山のオーディエンスが集まったことに「こんなに嬉しい、有り難いことはないと思う。こういう美しい光景がいつまでも続いていけばいいなと思います」と感謝を告げた。




<写真:立脇卓(提供画像)>


そして本編ラストのパートは、彼の歌を真っ直ぐに聴かせる3曲。疾走感に満ちた「Nighthawks」から、「orion」では再び10名の太鼓隊が米津を囲むように登場し、LEDビジョンに映し出された星空を背後に歌を響かせる。




そして、本編ラストは「Lemon」。レモンの香りが漂うなか、白い光の柱に包まれ、力強くも優しい歌声で伸びやかに歌い上げ米津はステージを降りた。喪失を描いた楽曲が、ライブという場所で鳴り響く事で、壮大な救いのようなものを見せた事が、この先も大きく記憶に残る場面だったのではないかと思う。




<太田好治(提供画像)>




大歓声と拍手に迎えられ、再びアンコールに登場した米津。アンコール待機中に「骨(脊椎)」の画像が映し出されステージを覆っていたトラスが上がっていくと、米津が登場し、まずは、「ごめんね」を披露。




この曲は米津が初めてライブのために書いた曲であり、サビの部分を「一緒に!」と言い、お客さんと合唱する姿からは笑顔が溢れ、パフォーマー全員が高らかに舞い踊り、シャボン玉の泡が舞い上げられる、祝福感と高揚感に満ちたパフォーマンスだった。




<写真:立脇卓(提供画像)>


MCでは「今回のツアーは終わるけれども、また近い内にやるんで。決まってないけど。そのとき、またみんなで会いましょう。今日はどうもありがとうございました」と告げて「クランベリーとパンケーキ」を披露し、ラストは「灰色と青」。




壮大な水面の映像をバックに、今はもう会えない友人へと向けたこの楽曲を高らかに歌い上げる米津の歌声は、この日、ライブという日が終わってしまっても、それぞれの思いが繋がっていく事を感じさせる、そんな風に響いていた。




ツアーはこの後、彼にとって初となる上海、台北の公演に続く。それでも、彼の言う「美しい光景」の一つの到達点を見せられたような一夜だった。




<写真:立脇卓(提供画像)>

●セットリスト 



米津玄師 2019 TOUR / 脊椎がオパールになる頃

01:Flamingo

02:LOSER

03:砂の惑星

04:飛蒸

05:かいじゅうのマーチ

06:アイネクライネ

07:春雷

08:Moonlight

09:fogbound

10:amen

11:Paper Flower

12:Undercover

13:爱丽丝

14:ピースサイン

15:TEENAGE RIOT

16:Nightawks

17:orion

18:Lemon

EN1:ごめんね

EN2:クランベリーとパンケーキ

EN3:灰色と青(+菅田将暉)



●ギャラリー













<写真:太田好治/立脇卓(提供画像)>




<写真:立脇卓(提供画像)>





発信地・日本






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情報提供元: Dessart
記事名:「 米津玄師アリーナツアー17万人動員「美しい光景がいつまでも続いていけばいいな」