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「もっと悩みとか打ち明けてほしい」
「もっと人を頼って」
「もっと素直になって」
例えば、あなたが心を寄せるひと、または尊敬する先輩などにこのように言われたらどう感じますか。
(私の悩みを受け止めてくれる器の大きい人だ)
(私のことを深く知りたいと思ってくれているんだ)
(いい相談相手になってくれそうだ)
と肯定的に考える人もいれば、
それとは逆に
(打ち明けたい悩みなどないがどうしよう)
(人を頼るときもあるが今は必要に感じていない)
(私が素直じゃないかどうかがなぜ他人のあなたにわかるの?)
など、否定、もしくは懐疑的に感じてしまう人もいます。
本当は弱い部分があって相談したいのに、強がって中々言い出せないような人の場合、尊敬する先輩の寛大な一言にがっちりハートを掴まれるので、前者のような肯定的な捉え方をします。
しかし、強がっているわけではなく、悩みも頼りたいこともなく、むしろちゃんと必要な相談をしていると思っている場合、(素直な態度で接しているのに、疑ってくるなんてひどい)とすら感じるでしょう。
そして、どちらかというとこういうタイプの人の方が多いと思います。
では、この後者の人のように、強がっているわけではない人は、なぜそう見られてしまうのでしょうか。
答えは簡単で、「自分に弱みを見せて欲しい」という期待感を持っている人が多いからです。要するに、相手が強いか弱いか、ではなく、自分に対して弱い部分を見せてくれる人=怖くない人(親しみが持てる)という心理が働くためです。
弱みをあまり持たない、隙が無い人・強い人は、多くの人に恐れられ、近づきにくいと思われてしまいます。
上の立場の人が強く見られるのはリーダーシップに繋がるのでプラスの面が大きくなりますが、部下や同僚など対等の立場の人が強くみられるのは、付き合いにくくて一緒に過ごしにくいというマイナスの面として働いてしまいます。
あなたに想いを寄せる人が「もっと頼って」と言っている場合は、もっと近づきたい(近づけてない気がする)と思っている気持ちが伺えますので、その想いを汲み取って近づける余地を作る事が、円滑な人間関係作りに役立ちます。
「人間関係、弱みを見せた方がうまくいく」
「パートナーに弱みを見せると結婚が近づく」
といった、自己啓発系の本や記事がたくさんありますよね。
これらの、弱みを見せることの効果は、ほとんどその根底にある考えは同じ。
弱みを見せることで相手にとってどのように意識づけできるかというと
・弱い部分に関しては自分の方が優れている(優越感)
・弱い部分を知れたので事前に対処しやすい
・本来は見せられないような弱い部分を見せてくれたので、信頼されている
・互いの強みと弱みで補い合える(信頼関係)
ざっとこのようなところかと思います。
つまるところ、「弱み」といっても、自分が弱いと感じているかどうかよりも、相手にとって自分の方が劣っている・弱いと感じていることが重要です。
ですので、自分では(特に悩んでいる弱みがない)と感じていたとしても、相手がもし「この人は私よりも涙もろい」と思っていれば、それは弱みになるのです。
「弱みを見せる」というのは、
「相手視点で、自分の方が劣っている、または弱い部分を見せる」
と言い換えた方が正しいかも知れません。
弱みを見せることは、相手のレベルに合わせて自分の方が弱い部分を見せる、ということを先にお話ししました。
強みも弱みも、相手の受け止め方次第ということです。
例えば、同僚に対して、仕事を手伝って欲しい時に、
「今私忙しくてできないから、この仕事お願いできる?」
というよりも、
「私はこの作業が苦手で時間がかかってしまうから、得意なあなたの手を借りたいの」
と言った方が、言われた方もすんなり仕事を手伝ってくれそうですよね。
でも使い方は時と場合です。
例えば、恋人に
「私はモテないから、モテるあなたに急に嫌われないか不安なの」と
言ったとします。相手がもともとモテる人で、言われ慣れている場合、または実際には自分の方がモテる場合は、”謙遜”と受け止められるくらいで良いかもしれませんが、大抵の場合は「モテる自分が相手を選んでいる」という認識を持つようになって、「この関係は自分次第でどうにでもなる」と思うようになってしまう原因となり、不要に相手に振り回されてしまう事にもつながります。
相手次第でもあるし、自分が期待する結果次第というわけです。
相手に主導権を握らせたい、なんらかの行動をさせたい場合は、相手に対して弱い部分を見せ、
逆に自分が主導権を握りたい場合や自分から行動を起こしたい場合は相手よりも強い部分を見せる。
このように使い分けをするのがもっとも正解に近いです。
「弱みを見せる方が人間関係作りがうまくいく」とだけ言われると、「弱い人間ばかりが特をして勝ち残れる」みたいな謎理論になってしまいますよね。
「弱みは使い方や見せ方によって武器になり得る」ということを理解し、使い分けられる人こそ、強く生きていけるのではないでしょうか。