FacebookはOculusを買収し、VRコンテンツを開発する企業への資金提供を行うなど、VRへの投資に積極的な企業だ。正確な数字ではないにしても全社員のうち5%以上がVRに何らかの形で携わっているという予測もなされており、VR事業に力を入れていることが伺える。


先週の初めにそのCEOが語った言葉は、VR事業への態度が分かる内容だった。FacebookがVRの将来性に期待しているのは事実だが、今すぐに同社の中心事業の一つとしてVRが出てくることはないようだ。


Facebook CEOの言葉



これまでにもたびたび自社の主催するイベントで壇上に立ち、投資家やFacebookのユーザたちに向けてVRの持つ可能性について自ら語ってきたFacebook CEO、Mark Zuckerberg。Facebookは先週、四半期決算を発表した。その中でも、彼は投資家に向けてコメントしている。


「今後10年で、こういった技術を消費者が利用するようになるでしょう。しかし、まだしばらくは我々のビジネスの主要部分となることはないでしょう」


この内容は特にVRを大きく取り上げたものではなく、Facebook全体の動きに関する概要を話した中の一部だ。


Facebookは現在収益を挙げている事業だけでなく、将来大きく成長するポテンシャルを持つ事業に対しても投資を行っていく、という方針を持っている。VRもその一つであるらしい。


VRは「いつ」メインビジネスになるか?


Zuckerbergの発言からは、FacebookがVR技術をすぐに利益に繋がるような技術とはみなしていないという態度が見える。FacebookがOculusを30億ドル(3,383億円)もの資金で買収したとき、これはまさに先を見た投資だった。Oculusには技術があったが、まだ一般のユーザに販売できるような形に完成されたものではなかったからだ。


しかし、Oculusの技術は既にOculus Riftとして製品化されている。また、サムスンが開発するGear VRもある。


FacebookはOculus RiftやサムスンのGear VRといった既に販売されているVRデバイスの権利を保有している。こうしたデバイスはOculusのソフトウェアに依存しており、これらの売上はFacebookの利益に繋がるはずだ。


VRがまだ彼らにとって未来への投資という段階であるならば、FacebookはVRへの投資からいつリターンを得るつもりなのだろうか。自社が開発に関わったVRヘッドセットを販売し、Oculusストアでそのヘッドセットで利用するVRコンテンツを販売するだけでなく、VRを使ってさらに多くの資金を集めるための戦略が進められているのだろうか?


投資家向けと開発者向け



Facebookは、投資家向けの情報ではあまりVRに触れていない。むしろ、広告ビジネスとサービスを利用するユーザを増やし、減らさないための戦略が重視されているようだ。


同社の発行した2016年の年次報告書では収益成長の優先事項が三つ取り上げられているが、その中にVRは含まれていない。2016年はFacebookがOculus Riftを発売した年であるにもかかわらず、優先事項はモバイルや広告の分野である。


一方で、開発者向けのカンファレンスではVRとARの話題がその中心となっていた。こちらでの様子だけを見れば、VRがメインのビジネスでないとは信じられないだろう。


こうした態度は、現在あるいは近い将来のリターンを期待する投資家と、さらに先の未来に期待する開発者の双方に対して自社の魅力をアピールするための戦略とみられる。


Facebookにとって現在のVRは、投資ばかりが先行して十分なリターンをもたらしていない分野となってしまっている。投資家に対してこの分野の未来を語るよりも、他の事業から利益を得られているという事実を伝えるべきだ、と考えるのは自然なことだ。


開発者向けのイベントだけでなく、投資家向けの情報でVRが取り上げられるようになれば、「収穫期」が近いと見て良いだろう。FacebookがVRからリターンを得るのはまだ先のことになりそうだが、彼らがそのときに向けて動いているのは確実だ。


 


参照元サイト名:Upload VR

URL:https://uploadvr.com/mark-zuckerberg-says-vr-wont-big-part-business-facebook/


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情報提供元: VR Inside
記事名:「 FacebookにとってのVRは「今のところ」主要なビジネスではない