OculusのようなVRヘッドセットを製造するメーカーが提出した特許書類からは、その企業が研究を進めている技術をうかがい知ることができる。さらに一歩先に行けば、将来その企業から発売されるかもしれない製品の想像をふくらませることも可能だ。


Upload VRは、今年の4月にも次世代Oculus Touchに関連すると思われる特許に関する記事を掲載している。


「VRシステムにおける光学ハンドトラッキング」と題されたこのシステムについて明らかになっていることは少ない。しかし文書の内容から想像すると、第2世代のTouchは現行のTouchのようなコントローラーと手を覆うようなグローブ型のデバイスを組み合わせたものになるのかもしれない。


今回、Upload VRが取り上げたのはアイトラッキングデバイスに関連すると思われる特許書類だ。


アイトラッキング技術の採用


HTC Viveに着脱できるタイプのアイトラッキングモジュール


HTCのアイトラッキングモジュール


VRとアイトラッキング技術と言えば、先月の末にはOculusのライバルであるHTCがVRヘッドセットに後付けできるアイトラッキングモジュールを発表している。Vive Xプロジェクトの支援を受けて7invensunが開発したこのモジュールは、HTC Viveにアイトラッキング機能を追加するためのアイテムだ。


開発者用のキットは220ドルで今月発売される予定となっている。まずは中国での発売だが、今年の第三四半期にかけてアメリカやヨーロッパの市場への拡大していくようだ。


ユーザの視線に映像が反応する?


OculusはまだHTCのように具体的な製品の計画を発表していないが、アイトラッキング技術の研究を進めていることは間違いない。先月公開された特許書類は、昨年の末にOculusによって提出されている。


文書には「アイトラッキングのためのデバイス」が示されており、デバイスとユーザの目との距離を調整する機構も含まれているようだ。また、「目の位置を基に一つまたは複数のイメージを表示するディスプレイ」についても触れられている。


このことから、ユーザが見ている場所が何らかの形で表示に反映されるシステムが構築されているのではないかと想像できる。


Oculusが目指すアイトラッキング



アイトラッキングの役割


VRにアイトラッキング技術を組み合わせることで、VR体験をよりリアルで深いものにすることができる。


ゲームパッドでキャラクターを操作するのは「動かしやすい」が、あくまでもプレイヤーとキャラクターは別物だ。しかし、これがハンドトラッキングコントローラーと視線の移動によるものであれば、自分自身が主人公の立場にあると感じやすくしてくれる。


FPSのようなジャンルでは、視線によって狙いを付けられるタイトルもある。あるいは、VRのキャラクターと視線を利用したコミュニケーションができるタイトルも出てきている。


ユーザ同士でも、コミュニケーションに視線を使えるのは大きい。ソーシャルVRでは、現実のようにアイコンタクトが可能になるかもしれない。


アイトラッキングに対応したハードが普及すれば、その機能の活用例もさらに多様化するだろう。「コントローラーによる操作の代わりに視線で操作できる」だけにとどまらず、全く新しい操作体験を持つゲームも登場してくるはずだ。


アイトラッキング技術には没入感を高める役割だけでなく、VRのレンダリングを効率化して要求スペックを下げるという役割もある。


ユーザの視点の中心だけを高い品質でレンダリングする技術を使えば、解像度が低いと感じさせることなくマシンへの負担を減らすことができる。高度な処理を要求する場面でのレスポンス改善や、動作要件となるスペックの制限緩和もアイトラッキングの効用と言えるだろう。


低消費電力なシステム?


これまで、アイトラッキングシステムはVRヘッドセットに内蔵されるのが普通だった。しかし、HTCのモジュールは従来のViveに取り付けることでアイトラッキングを可能にするようだ(USBで有線接続して使用する)。


Oculusのアイトラッキングデバイスも、VRヘッドセットとは独立したものになるのかもしれない。特許書類では、このシステムはVRに適した「コンパクトで軽いアイトラッキングシステム」であることに加えて「低消費電力」でバッテリーが長寿命なのが特徴だという。


これまでのようなVRヘッドセットに内蔵されたシステムであれば、消費電力やバッテリーの持続時間といったキーワードが登場することはないだろう。これは、Oculusのアイトラッキングデバイスがヘッドセット本体から独立した存在になることを示しているのかもしれない。


スマートフォンを使うタイプのモバイルVRヘッドセットか、少なくとも無線化されたVRヘッドセットにこの技術が使用されるのだろうか。あるいは、Viveと同様にRiftにも後付けできるアイトラッキングモジュールが登場することも考えられる。


 


参照元サイト名:Upload VR

URL:https://uploadvr.com/oculus-patented-new-eye-tracking-device-days-acquiring-eye-tribe/


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情報提供元: VR Inside
記事名:「 アイトラッキングに関わるOculusの特許書類が公開