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絵画のような作品から、マルセル・デュシャンの泉のようにいつの間にか便器が美術作品になんてこともあり、作家の数だけ表現の技法や手段があるといっても過言ではありません。
引用元:http://www.fashion-headline.com/
VRやARなどの最新技術も例外ではなく、美術作家、アーティストの一部はそれらに注目し表現に取り入れたり、媒体を利用し美術を広める動きもあるようです。
今回はそんな美術とVRのつながりについてまとめてみたいと思います。
まず、VRと美術について話す上でメディアアートという概念について知らなくてはなりません。
メディアアートとは、20世紀中盤より広く知られるようになった、芸術表現にコンピューターや先端メディアテクノロジーなどの新しい技術的発明を利用する、もしくは新たな技術的発明によって生み出される芸術のジャンルの総称です。
引用元:https://en.wikipedia.org/wiki/Zoetrope
その起源は1834年のゾエロロープと呼ばれる回転することでパラパラ漫画の様にアニメーションを作り上げるものやその改良版プラキシノスコープまでさかのぼることができ、60年代にはビデオアートと呼ばれる映画の歴史から分岐した美術作品などがみられるようになります。
引用元:http://yukina-na.hatenablog.com/entry/2014/01/13/213222
ナムジュンパイク氏のビデオアートはとくに有名で、今なお若いアーティストに影響を与えています。筆者も大好きな作家さんです。
日本でも人気があり、福岡にあるキャナルシティ博多には彼のビデオアートが展示されていたり、YMOのメンバーだった作曲家の坂本龍一も影響をうけたと語っています。
そして、「メディアアート」という言葉が広く知られ使われるようになったのは80年代後半以降になってからで、これはコンピューター普及や技術的な躍進、専門教育機関の増加によってもたらされたとされています。
近年では日本でもメディアアートのコンテストとして文化庁がメディア芸術際を主催したりしています。
絵から動くパラパラ漫画、そしてビデオ、さらにはコンピューターとメディアアートと呼ばれる様になる以前から美術は表現の幅を広げていきました。
メディアアートという言葉ができ始めてきたのもコンピューターが普及し始め、技術的躍進がなされたときです。
つまり、大衆娯楽のみならず、芸術もまた技術躍進とともに進化し続けていると、読みとることができます。
そして、現代には新たな技術として、VRが登場し、これらは若いアーティストの表現の手法としてやはり多く注目を受けているようです。
VRでしかなしえなった新しい表現がこれからも増えていくのではないかと期待できます。
そしてここからは、VRが発展途中の黎明期な現在でもいち早く表現にVRを取り入れたアーティストや、美術館などをご紹介します。
ANA(全日本空輸株式会社)は2月29日(月)日本に訪れる外国人観光客向けの観光プロモーションメディアサイト「IS JAPAN COOL?」にてVRコンテンツ「IJC MUSEUM」を公開しました。
同コンテンツは日本を代表する現代アーティストの作品を、世界中どこからでも、いつでもWeb上で体感できるバーチャル美術館。
2020年の東京オリンピックでさらに増えることが予想される外国人旅行者、そしてますます需要が増え重要視されるであろう日本のアートをより多くの外国人観光客の方に知ってほしいという思いから生まれた同プロジェクト。
出展アーティストは「前衛の女王」と異名をもつ日本の前衛美術の重鎮、「草間彌生」さんをはじめ、ネオ日本画の天明屋尚さん、アーティストユニット・Nerholなど、国内外で活躍する総勢7組。
最新鋭のスキャン技術で3Dスキャンされ360°パノラマ視点で楽しめる作品や、高精度なスキャン技術で画像データ化された作品、3DCGとして再構築されたインスタレーション作品なども楽しめます。
通常の美術館と違い、どこにいても作品を楽しめたり、実際の美術館と違い、バーチャルなので作品の写真を撮影してSNSでシェアしたりすることも出来るので、まさに未来の美術館の形を感じさせてくれます。
IJC MUSEUMのページはコチラからアクセス可能なのでぜひご覧になってみてください。
「Shape Space VR」はロサンゼルス出身のビジュアルエフェクトアーティストとしても有名なKevin Mack氏が制作したVR空間上で楽しめる巨大な彫刻の様なオブジェクト作品です。
Kevin Mack氏はブラットピット主演の映画「ファイトクラブ」など多くのハリウッド映画でビジュアルエフェクトを担当するなど、アーティストとしてだけではなく、娯楽作品での活躍もしています。
引用元:http://www.shapespacevr.com/
Shape Space VRは従来の彫刻とは違い、HTC VIVEのトッラッキング技術を用いり、触ったり迷路のように進んでいったりすることで色やエフェクトが変化するインタラクティブアートとしての性質も兼ね備えています。
これは正に、VR空間で彫刻を作る最大の利点であると感じました。自身の作品に対するステートメントでもそのことが触れられ、技術的な躍進は無限の可能性としてパレットを広げてくれると、テクノロジーの進化を絵画のパレットになぞらえ説明していました。
詳しいステートメントや情報はコチラのホームページから閲覧可能です。
彼の作品はコチラのストアページからダウンロード可能です。
ニューヨークにある、近現代美術専門の美術館「ニューヨーク近代美術館(MoMA)」で2016年4月25日から4月29日まで。「Slithering Screens」と呼ばれる新しい映像や映画の展示にて初のVR作品が展示されました。
MoMAでVRを用いた作品が展示されたのは今回が初めてでした。会場ではMoMA限定のHMDも配布され、スマホのアプリケーションで作品を見ることが出来たそうです。
これほど大きな美術館でVRの展示がなされたのも世界的に見ても初めてなのではないでしょうか?
ニューヨークといえば現代アートやファッションが盛んな地域です。それだけアートに趣旨が深い地域がVRの作品を展示するということは世界的に見ても芸術とVRが密接な関係を築きつつあるとみて間違いないのではないでしょうか。
アイスランド出身のシンガー1980年代後半より、ザ・シュガーキューブスのヴォーカルとして活躍し、UK、ヨーロッパを中心にブレイクしたビョークのVR作品が2016年6月29日から7月18日の18日間日本化学美術館にて展示されていました。
VRデバイスの普及以前からVR技術を用いたミュージックビデオを製作するなど、そのアーティストとしての前向きな姿勢でいち早く新しいVRという技術を表現に取り入れています。
グラミー賞を何度もノミネートしているトップクラスのアーティストもVRに対する関心が大きいということに気づかされるイベントでした。
アートとVRを含むテクノロジーをテーマにした展示会「ARTandVR」がカリフォルニア、サンフランシスコの歴史的聖堂、HACK Templeで2月28日に開催されることが発表されました。
ARTandVRは彫刻家でありSan Francisco Art Instituteの学生のStuart Mason氏がAndroid Jones氏を始めVRフィルムメイカーFifer Garbesi氏などと共に、ローカルアーティストに彼らの作品を展示するチャンスを与えるためにアートとVRの展示会を企画したことから始まっているそうです。
詳しい記事が以下にございます。
引用元:https://greenfunding.jp/lab/projects/1751
youtuberとしても知られるタレントのせきぐちあいみさんは2017年2月11日~13日までの3日間VR個展「Daydream Reality」を開催した。
コチラは、2016年11月にクラウドファンディングサイト「GREEN FUNDING」で募集開始したプロジェクトが達成し、実現したもの。目標金額500,000円だったところ、最終的には145人が支援し、達成率348%となる1,744,000円が集まり、一般的にもVRコンテンツが注目されていることがわかります。
youtuberとしての活動が主なようで作品は他の先端を行くアーティストと比べても劣りますが、非常に自身のタレント性が高く話題性があります。
スマホを通じた新しいコミュニケーション体験を提供するソーシャル・デザインカンパニー、株式会社ソニー・デジタルエンタテインメント・サービスは2016年8月25日(木)世界初のVR専門のアート・ギャラリー”VR GALLERY by Sony Digital Entertainment“をオープンいたしました。
引用元:http://vr-gallery.jp/
Google社が開発した“Tilt Brush”を使用し、毎月新しいクリエイターたちがVR空間に斬新な現代アートの数々を発表します。
既に数人のVRアーティストの出展が決まっており、新たなギャラリーの在り方として大変注目出来ます。
このように世界的に多くのアーティストがその表現の技法としてVRに注目していることがわかります。
メディアアートと呼ばれる最先端技術を用いて制作された作品たちはその先端技術、テクノロジーを絵画の筆やキャンバスのように使いこなし、作品を生み出されます。
VRの技術が広まり、仕組みが多くの人に広まりつつある今、そして広まった未来において、アーティストたちがVRを使いこなし、私たちが体験したこともないようなセンセーショナルな作品が登場するのも時間の問題かもしれませんね。
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