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あれから、20年・・・ついに魔法を自在に操れる時代を迎えた。
AR技術を用いてフィールドを自在に動き回り、味方と連携しながら敵を倒すテクノスポーツ、その名も「HADO」だ。
すでに多くの商業施設へ導入がされており、のべ12万人ものユーザが体験している「HADO」だが、どのような未来を描いているのか?株式会社meleap CEOの福田 浩士氏に「HADO」の紹介とともに今後の展開について、お話を伺った。
—-AR技術を用いたテクノスポーツ「HADO」のコンセプトをお教えください。
福田氏:基本的には日常空間で生活している中で、驚きに体験を提供できないかという所から発想が始まっていて、特に重要視していたものは、”地上に溶け込む”それがあたかも本物かのような体験ができるという点でした。最初に構想していたのは、町中を歩いているといきなり敵に襲われ、仲間と一緒に技・魔法を放って戦うというもの。
開発を進めるうちに、それが変化し、テクノロジーを使った新ジャンルのスポーツとして育てていくのはどうかという話になりました。自動車の誕生によりモータースポーツができたように、今後、スマートデバイスや様々なIT技術が発展し、これまでとは違った新しいスポーツ市場ができると考えています。その新しいスポーツジャンルを私たちは「テクノスポーツ」と名付けました。HADOはその最初の競技なのです。
—-学生・ファミリーなどターゲットはどの層でしょうか?
福田氏:一番初め「HADO」のコンセプトを決めた際のターゲット層は「IT系リア充」という自分達が作り出した(笑)、括りの方々をターゲットしました。20代半ばで渋谷界隈によくいらっしゃる楽しい事が好きで、フットワークが軽く、みんなで一緒にサバゲ―に行ったり、カラーランに参加するような方々を狙っていました。
ただ、「HADO」の体験者を見ているうちにターゲットはそこだけではないなと感じております。
ファミリー層の方々にも楽しんでいただいていますし、最近ではニコニコ超会議に出展したのですが、あそこに参加する層の方々にも楽しんでいただいたのを見て、かなり広いターゲット層にリーチできると思いました。
最初に設定した「IT系リア充」というターゲットは、将来的に軸になるかもしれませんが、お子様から中年層程度まで広い層がターゲットになると感じております。
—-ニコニコ超会議に参加される方と「IT系リア充」だと、かなり真逆の層だと思いますが、盛り上がり方は同じでしょうか?
福田氏:少し違いますね。「IT系リア充」の方々は、純粋にアトラクションとして「HADO」を楽しんで頂いています。ニコ超の方々はもちろん楽しんでくれていますが、ゲームとして勝ちにもこだわっていましたね。
また、コスプレをされている方もいて、”キャラっぽさ”というか技の出し方やポーズなどにもこだわっていて、運営側から説明していないにも関わらず、自分なりの遊び方を見つけて、自分なりの世界観を表現する方が多かったです。外で見ている方もそのビジュアルを見て、自分でもやって見たい!と思う方もいて、見た目も重要だなと感じました。
もちろん、我々もファッション性が重要だと考えていて、コスチュームを作ることも検討しているため、なおさらこの層には刺さるコンテンツになるのではと考えています。
手前味噌ですが、「HADO」のヘッドマウントディスプレイってかけるとすごいカッコイイんですよ!子供がかけても可愛いし、コスプレイヤーやスーツのサラリーマンが付けてもカッコイイ!なので、実はファッションショーとか写真集を作ろうかなと思っているんです。他のVRコンテンツではあり得ない切り口だと思いますけど(笑)。HADOはできるかなと思っています。
—-今までにないアプローチですね。これまでどのぐらいの方が「HADO」を体験してきましたか?
福田氏:正確にはカウントしていないんですが、12万人ぐらいだと思います。
「HADO」のリリースが昨年の夏、商用利用が始まったのが年末。ナンジャタウンやハウステンボスに2つ、アトラクションとして導入させていただき、毎日数百人が体験しています。
常設施設が増えるごとに体験者の数も倍々のスピードで増えていっています。
—-一つのパッケージを納品した形でしょうか?
福田氏:そうですね。厳密に言うと3通りの方法があり、
上記それぞれを選択いただき、納品するという形式をとっております。
—-コンテンツの定期改修などは考えておりますか?
福田氏:ユーザの皆様に何度も足を運んでもらうためにも、その点は考えております。「HADO」のいい所は、「HADO」のシステム上で、いくらでもコンテンツを乗せ換えることができる所です。モンスター戦や対人戦以外にも「HADOカート」というカートを運転しながらマリオカートみたいに戦うようなコンテンツを簡単に作ることができるので、かなり拡張性が広く、今はいろいろな可能性を探っている状態です。
—-ありがとうございます。「HADO」の体験には最低どの程度の広さが必要になりますか?
福田氏:実際に対戦することを想定した広さが必要になります。
もちろん、狭ければその分動ける範囲が狭まり、あまり面白く感じないので、我々は対人戦でのコートサイズは10mx7mと規定しています。様々なサイズパターンを検証した結果、現在のサイズ感に決めました。
—-安全面ではどのような配慮をされていますか?恐らくぶつかってしまうケースが出てくると思うのですが。
福田氏:ぶつかる事はほぼありませんね。モンスター戦の場合は行動範囲が決まっているので、ぶつかる問題は皆無ですし、対人戦の場合でも、動き回れる分、衝突リスクは高まりますが、気配を感じるんですよね。
「HADO」のヘッドマウントディスプレイの画角は他のHMDと同じく約100°なのですが、横が空いているため、周辺視野が解放されるので、後ろや横にいる気配を感じることができるので、ぶつからないのだと思います。過去にもそう言ったケースはありませんでした。
—-なるほど。1回の体験時間は何分ぐらいですか?
福田氏:コンテンツによって変わりますが、対人戦の場合は80秒です。80秒より長いと疲れちゃいます(笑)体力的に限界です・・。普段、運動しない方も体験しますので、3分とかだとバテますよね。
また対戦時間が短いので、回転率が高くなるというのも利点です。
商業施設での利用になるので、1日のキャパシティーが数百、大きい所だと数千人規模のお客様に体験してもらう必要があるので、いかに回転率を高められるか、という点は重要視しています。
効率を高める一つの方法が待機列で他のプレイヤーの体験を見ることができる点です。もちろん、体験前にワクワクさせる要素もありますが、事前に一通りの遊び方を見る事でイメージトレーニングできるので、いざ自分の番になった時、説明なしで体験に移ることができるんですよね。
ですので、1グループ約5~6分。1時間で10~多い時は12組ほど回すことができています。
—-今後、体感要素を追加する予定はありますか?
福田氏:7月15日に池袋のナンジャタウンで、ゴジラのアトラクションをOPENするのですが、そこはスモークや音、光などで体感要素を入れていく予定で、今後もどんどん追加する予定です。
—-海外展開は考えていますか?
福田氏:今、進行中です。国内よりも海外の方が市場が大きいので、今は中国・アジア中心に進めていく予定です。
—-最後にサードパーティー向けにSDKを配布する予定はありますか?
福田氏:そう言った話もありますが、まだ具体的には進んでおりません。
ただ、将来的には我々プラットフォーマーとしても注力していきたいので、いろんなコンテンツを開発していける仲間を増やしていきたいと考えております。
ジョイポリスにオーストリア発のVRアトラクションが上陸したりなど、海外産VRアトラクションが続々と日本にやってくる中、純国産のARコンテンツが海外へ羽ばたこうとしている。
本取材時、最初に撮影させていただいた顔写真を見てCEOの福田氏は一言「何か、面白くないな。」
その後、取り直した写真がコチラだ。
“面白いこと”に貪欲な姿勢がこんな所にも垣間見えた。ここまで純粋に面白さを追求している「HADO」だ、きっと海外でも通用するだろう。筆者も陰ながらその成功を応援したいと思う。
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