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VR技術は、コンテンツ次第で様々な用途に活用可能だ。対応するコンテンツさえあれば、現実さながらのリアルさで業務のトレーニングを行うこともできる。しかも、バーチャルなので失敗しても実際の事故に繋がってしまうことはない。
中国では、自動車の運転免許を取得しようと考える人が増えている。VR技術を使ったドライビングシミュレーターは、彼らが安全に運転技術を高めることを助けるために利用される。使われているのは本物の自動車なので、リアルさは折り紙付きだ。
VRヘッドセットとハンドルコントローラーを使う方法でも、自分が運転席に座っている感覚でレースゲームをプレイすることは可能だ。ゲームに再現されたマシンの挙動が本物に近いことを特徴とする作品もあるので、ゲームパッドではなくハンドルとペダルで操作すれば実際の運転技術も高められるかもしれない。
アメリカの運送会社UPSでは、9月からVRを用いたドライバーのトレーニングが行われているという。
臨機応変な対応が重要となる業務はVRでトレーニングを行いにくいが、標識や道路の混雑状況に応じて取るべき行動がある程度パターン化できる運転や、マニュアル通りに正しく進めることが必要な機械の組み立てといった分野では特にVRトレーニングが有効だと思われる。
ハンドルコントローラーを使うだけでもレースゲームへの没入感は高くなる。中国の自動車教習所で導入されたこのシミュレーターには本物の車が使われているので、没入感はさらに高いだろう。
VRで練習した運転操作は、実車を運転するときにもそのまま使えるはずだ。エンジンは無いが、学習者が操作するハンドル、ペダル、レバーは全て実車そのものである。
このように大胆な改造が可能なのは、現在の自動車内部に多数のアクチュエータやセンサーからなるネットワークが存在しているからだ。このインターフェイスをコンピュータと接続すれば、学習者が触れる部分を変えずに実車をシミュレーターにしてしまうことができる。
学習者は運転席に座り、壁面に投影される映像を見ながら操作することになる。VRヘッドセットを使うわけではないので、本当に自動車を動かしているような感覚だ。複雑なトラッキング技術と投影技術の融合により、学習者の操作に合わせて投影される映像が動く。
このスマートドライビングシミュレーターには、VR、AI、ライブマップといった最先端の機能が搭載されている。
中国では、毎年多くの人々が運転免許を取得する。その人数は1年間で約3,000万人になるほどだ。彼らが運転免許を取得するには、決められた時間だけドライビングシミュレーターでのトレーニングを受けることが法律で義務付けられている。
このリアルなシミュレーターがあれば、通常のシミュレーターを使う場合よりも高いトレーニングの効果が得られるかもしれない。
実際に路上で自動車を運転していると、目に入ってくる道路状況の変化以外にも様々なフィードバックがある。路面が常に平らなわけではなく、ハンドルを切ったりギアを切り替えたりすれば振動や傾きが感じられるはずだ。このシミュレーターでは、そうした視覚以外の部分も感じさせることができるという。
高度なシミュレーターの機能として、運転環境を変化させることも可能だ。地図データを元にした道路を走行するだけでなく、気象条件(夜や雨)を変化させたり、交通量を増やしたりといったことが可能だという。
「路面が塗れているとブレーキを踏んでから止まるまでに進んでしまう距離が長くなる」と知識だけを学ぶよりも、シミュレーターで体験すれば身体で覚えることができるはずだ。
また、AI技術を使ったバーチャルインストラクターが搭載されているのも特徴だ。運転中の学習者が見ている方向はトラッキングされており、運転操作や視線の動かし方をバーチャルインストラクターが評価してくれるという。
トレーニングの進捗を管理しやすくなり、個々の状況に合わせて次のトレーニングコースを設定することにも利用できる。
日本の自動車教習所でもドライビングシミュレーターが使われているが、そのリアリティは低い。映像はゲーマーでなくても美麗だと感じるものではなく、ゲームセンターのレースゲームの方がリアルなくらいだ。
現在のシミュレーターでは臨場感が足りなくて身が入らないという学習者には、実車を使ったドライビングシミュレーターが助けとなるかもしれない。
参照元サイト:Phys.org
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