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VRを用いた映画は様々な作品が製作されており、著名な映画祭への出品やアワードの受賞などにより、徐々に知名度を上げつつある。
8月30日から9月9日にかけてイタリアで開催されるベネチア国際映画祭に、VRを用いた映画が出品されることになった。
本映画祭はイタリアのベネチアにて毎年8月末から9月にかけて開催される映画祭で、カンヌ映画祭、ベルリン国際映画祭と並ぶ三大映画祭の一つだ。
過去においては黒澤明や宮崎駿などが受賞しており、世界最古の歴史を持つ映画祭としても知られる。
今年で74回目の開催となる本映画祭に、VR映画「Melita」、「Snatch」、「The Argos File」の3本が出品されることになった。
「Melita」は20分のVRアニメーションで、VRコンテンツ企業のFuture Lighthouseが製作した作品だ。
本作は合計で3パートによって構成されているが、第2部と第3部は現在製作中とのこと。
舞台となるのは気候変動によって壊滅状態の地球であり、人間性の回復を目指す2人の強靭な女性のキャラクターを描くという。
Future LighthouseのCEOであるNicolás Alcalá氏は、本作を「VR映画の可能性を拡張するもので、まるで映画の世界に入り込んだかのような感覚を味わえる」と語っている。
Future LighthouseとMagnopus、そしてCinapticとの提携によって製作された「The Argos File」は、インタラクティブ性を重視したVR映画で、360度動画とハイクオリティのCGエフェクトを融合した作品だ。
探偵がとある殺人事件を調査するために、記録された被害者の記憶を辿るというサスペンス要素の強い作品で、作品にはAR技術も取り入れているとのことで、これによって観客が作品とインタラクトすることができるという。
記録された記憶を巻き戻したり、一時停止したり、早送りしたりという風に、映画というよりはストーリー性の強いゲームをプレイするような感覚で映画が進行していくようだ。
本作の共同製作者であり脚本執筆を担当したJoshua Rubin氏は、本作を「VRのポテンシャルを引き出す作品」と位置づけており、従来の映画を大きく変える可能性を持つ作品だ。
「Snatch VR Heist Experience」はテレビドラマ「スナッチ」のオフシュート作品のVR映画で、「ハリー・ポッター」での主演でも有名なルパート・グリントが出演している。
組織犯罪に巻き込まれた20代の詐欺師のグループが、悪徳警官や地元の不良、国際的なギャング組織が群がるロンドンの裏社会に踏み込んでいく展開のドラマ「スナッチ」の世界観を、VRを用いた没入感のある環境で鑑賞することができる。
「Snatch VR Heist Experience」は複数のプラットフォームでの鑑賞に対応しており、OculusRift、HTC Vive、PlayStation VR、Gear VRでの鑑賞が可能とのことだが、現在のところリリースに関する情報は公表されていない。
世界三大映画祭の一つであるカンヌ国際映画祭も、VRを用いた映画を同じフェスティバル内に取り入れ始めた。
今年のCannes NEXTにおいては約50種類のVRコンテンツが出品され、数多くの映画人や著名人も体験することになった。
Cannes NEXTとは映画産業におけるイノベーションのハブとして機能しており、2017年のCannes NEXTはとりわけVRコンテンツに力が入っていた。
VRを用いたアニメーション作品からインタラクション要素を盛り込んだ実験的な作品、また映画という枠を飛び越えた、多感覚に訴えかける体験システムなど、VRそのものが生み出す可能性を掘り下げる内容となった。
2017年エミー賞には、VRコンテンツが3作品ノミネートされた。
対象となったのはOculus Story Studioによる「Dear Angelica」を含む3作品だが、同アワードは以前からVR作品をノミネート対象に加えており、前年にはハリネズミを主題としたVR映画「Henry」がノミネート、受賞している。
また、前々年の2015年にはFoxのシリーズ「Sleepy Hollow」が2部門で受賞しているなど、VR映画の可能性に早くから着目しているアワードだ。
ショートフィルムとアニメーションの映画際であるEncounters Film Festivalでは2016年からVR映画のショーケースを行なっている。
2017年にはコンペ形式で作品を募集し、賞金制度も設けて、VR映画の可能性をユニークなアイデアで実現する映像作家の参加を呼びかけている。
本映画祭は9月19日〜24日の約1週間にわたって開催され、イギリスのブリストルで行われる。
参照元:VRFocus
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