HTCもついにViveの価格を引き下げた


HTCのViveは高性能なVRヘッドセットだが、他のVRヘッドセットと比べても価格が高めなのが難点だった。


PCを使用する点で共通しており、ルームスケールへの対応などViveに近い機能を持つOculus Riftは2017年に入って二度値下げされている。現在はサマーセールも開催されており、セール価格ではViveの半額で購入できる。PS4と接続して使うPSVRは、通常価格がセール中のRiftに近い。


しかし、ついにHTCはViveの値下げを行った。最も高価なVRヘッドセットだったViveの値下げにより、VR関連企業にはどのような影響があるのだろうか。ある投資家は、今回の値下げが業界に悪影響を与えることはないと見ているようだ。


これまでの価格改定


サマーセールでRiftを販売するOculus


過去の値下げ


今年の初めには、HTC ViveとOculus Riftの二つのハイエンドVRヘッドセットがいずれも800ドルで販売されていた。


OculusがHTCに先行してRiftの値下げを発表したのは3月だ。この値下げは、Viveに差を付けることでRiftの売上を向上させるためではないかと言われた。


調査会社による調べでは2016年のOculus Rift販売台数は他社のVRヘッドセットに比べて少ないとされており、米国でRiftを体験できる量販店が縮小するなど不利な状況が伝えられていたOculus。そう見られるのは仕方のないことだ。


夏の値下げ


2017年の夏には、サマーセールとしてOculus RiftとTouchのセット価格が399ドル(日本では5万円)となった。このセールは現在も継続しているが、終了後の通常価格もセール開始前の600ドルよりは安く500ドルになると発表されている。


Oculusによるこの二度目の値下げを受けてのものなのか、HTCもついにViveの値下げを行った。


VRユーザにとってはデバイスが購入しやすくなって嬉しい限りだ。HTCからの発表ではVive 2の発売は2018年以降とされているので、この後すぐに新型Viveが発売されて型落ち品になってしまうこともなさそうだ。


ただ、HTCのVR事業そのものが先行き不透明ではある。売却の可能性すら噂されているので、不安があるならばVRデバイスの購入は少し待ってからでも良いかもしれない。


値下げの悪影響はない?


RiftとViveはいずれもこの夏に値下げが行われた


Madison.comに掲載された意見によれば、この価格引き下げによってVR関連企業に投資している投資家がダメージを受けることはない。


その理由は以下のように説明されている。


ハイエンドVR普及の遅れ


スマートフォンをゴーグルにはめるだけで使えるモバイルVRは、デバイスの安価さと設定の簡単さが特徴だ。サムスンが自社のGalaxyスマートフォンを購入するユーザにGear VRを無料または格安で提供する戦略を取っていることもあり、Gear VRやDaydreamといったモバイルVRプラットフォームのユーザは増加を続けている。


一方、HTC ViveやOculus RiftのようなハイエンドVRデバイスは質の高いVR体験をもたらしてくれる。しかし、その代償としてデバイスの価格が高い。値下げ前の時点では本体や周辺機器だけで10万円を超えており、値下げ後でも5万円~8万円ほどだ。


加えてVRに対応した高性能なパソコンも必要になる。昨年NVIDIAが発表したデータによれば、VRに対応するPCは全体の1%に過ぎない。要件を満たすゲーミングPCを所有しているユーザでなければ、そちらの費用も必要だ。


今回のハードウェア価格の引き下げによって、これまでVRデバイスの購入を躊躇していた消費者の心が動くかもしれない。ユーザが増えるという点では、価格の引き下げはむしろ業界にとってプラスに働くだろう。


コンテンツからの収益


ハードウェアの価格が引き下げられたことでメーカーが利益を得られなくなると懸念している投資家も居るかもしれない。だが、メーカーはVRヘッドセットを販売することで大きな利益を得ているわけではない。


企業が投資しているのはVRのハードウェアよりもソフトウェアだ。ハードウェアはより多くのソフトウェアを販売するための道具に過ぎない。VRコンテンツはコンテンツ自体の販売によって利益を得ることができる製品カテゴリになりつつある。


PSVRはPCベースのハイエンドVRヘッドセットよりも安価なデバイスで、性能では劣っている。だが、ゲーミングPCよりも所有している家庭の多いPS4で利用できることや、豊富なVRゲームによって支持されている。


デバイスの価格引き下げはメーカーの利益を減らすどころか、コンテンツの売上を増やすことでVR業界全体を育てるかもしれない。


コンテンツへの投資に注目


繰り返しになるが、HTCもFacebookもVRハードウェアの売上に依存しているわけではない。投資家が見るべきは、企業によるVRコンテンツへの投資だ。


もしもメーカーがVRコンテンツへの投資額を引き下げ始めたら、そのときは注意を要する。


 


このように、OculusとHTCによるVRデバイスの値下げは歓迎すべきことと捉えられている。


VRヘッドセットが普及すればそれだけコンテンツの潜在的な購入者も増えるので、HTCやOculusだけでなくVRゲームを制作するスタジオやVR映画を手がけるクリエイターにもメリットがある。


短期的には利益の減少が見られるかもしれないが、この値下げが業界の不調を示す証拠ということはなさそうだ。


 


参照元サイト名:Madison.com

URL:http://host.madison.com/business/investment/markets-and-stocks/facebook-and-htc-have-slashed-vr-hardware-prices–/article_d608d698-0219-5daa-8e06-bec88e58ddc9.html


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情報提供元: VR Inside
記事名:「 VRハードウェアの値下げを投資家はどう見たか?