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同メディアによると、ドイツのスタートアップでビデオ編集ソフトを開発していたFayteqがFacebookに買収されていたことが判明した。
同社が開発していたビデオ編集ソフトは、Adobe社の動画編集ソフトAfter Effectsのように撮影後の動画から任意の被写体の追加と削除ができるだけではなく、そうした被写体の追加と削除を動画撮影中にできるのだ。
Facebookが同社を買収したことは公式には発表されていないが、同社の公式サイトは現在「わが社の製品およびサービスは購入できません」と伝えるメッセージが掲載されたページのみが閲覧できる状態だ。
同メディアは、今回の買収はFacebookが展開しているARカメラ事業の強化がねらいではないか、と推測している。確かに動画撮影中にオブジェクトの追加と削除ができたら、動画による表現の幅が広がるだろう。そして、このリアルタイム動画編集技術は、VRカメラおよびVRライブストリーミングにも応用できるだろう。
FacebookはOculus社の親会社であり、VRソーシャルアプリ「Facebook Spaces」をリリースしたことからも、VRソーシャル・エコシステムの構築を目論んでいることは明白である。
ところが、今年4月に開催された同社の年次総会F8において、同社のARビジネスを担う「Camera Effects Platform」が発表された。
「Camera Effects Platform」とは、簡単に言うと、SnapchatのようなARカメラアプリを開発するプラットフォームのことである。同プラットフォームを発表した背景には、同社がVRだけではなくARにおいてもプラットフォーマーになることを目指していることが指摘できる。こうした意図は、同社CEOのマーク・ザッカーバーグ氏のF8における以下のような発言によって、裏付けることができる。
ARは、デジタルとリアルを一緒にするように私たちを助けるテクノロジーです。
そして、こうしたデジタルとリアルの融合を可能とすることこそが、ARが現在重要なトレンドである理由なのです。
…私たちは、カメラをARの最初のプラットフォームにします。
現在、同プラットフォームからはARフォトフレームが作れる「Frame Studio」とARカメラアプリが開発できる「ARスタジオ」がリリースされている。ARスタジオに関しては、まだベータ版であり利用するためにはユーザー登録が必要となる。
F8において、ザッカーバーグ氏はさらにARに関する持論を展開しており、「ライトAR」と「フルAR」の区別について言及した。
「ライトAR」とは、スマホを活用した現在体験可能なARのことを意味している。対して「フルAR」とは、HoloLensのような専用のARデバイスを活用した現在のAR体験よりリッチなそれを指している。
同氏によれば、フルARが普及するのは20〜30年後と予想される。フルARにおいては、ARデバイスを使って、現在のVRヘッドセットによるバーチャル体験がリアルな世界にいながら体験できるので、現在のVRとARの区別はもはや意味をなさなくなる、とのこと。
同氏は、最近のインタビューにおいて、フルARが普及した未来を具体的にイメージさせる以下のような発言もしている。
我々が日常生活で使っているものの中で、物理的なモノでなくてもいいものがどれぐらいあるのか。
…500ドルもするテレビを目の前に固定して鎮座させる必要はなく、1ドルのテレビアプリをAR表示すればいいだけのことです。
同氏の思い描くフルARデバイスとは、おそらくはARグラスのようなものをイメージしていると思われる。こうしたARグラスは、現在のスマホの役割を継承するだけに留まらず、およそディスプレイが実装されたデバイスすべてに関するプラットフォームになるものと考えられる。
以上のようにザッカーバーグ氏はVRとARを包括するような遠大なビジョンを抱いており、そのビジョンの実現に向けて一歩ずつ前進している。今回のFayteq社の買収も、XRテクノロジーが社会インフラとなる未来社会を実現するための一手に過ぎないのだ。
Facebookがビデオ編集ソフト開発企業を買収したことを報じたVRFocusの記事
https://www.vrfocus.com/2017/08/facebook-aquires-live-video-editing-company-fayteq/
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