海外メディアUploadVRは、ARグラスを開発しているMeta社が、同じくARグラスを開発しているDreamWorldを訴えたことを報じた。



Meta社がDreamWorldを訴えた経緯


同メディアによると、Microsoftが開発しているARデバイスHoloLensのようにホログラフィックなARオブジェクトを表示するARグラス「Meta 2」を開発中のMeta社は、同じくHoloLensライクなARグラス「DreamWorldGlass」を開発するDreamWorld社を、技術を盗用したとして訴訟を起こした。


同訴訟の発端は、本メディアでも以前に報じた「DreamWorldGlass」に関するUploadVRの記事にある。同記事に言及した訴訟文書の一部を以下に引用する。


UploadVRの記事およびDreamWorld社のウェブサイトに掲載された声明によれば、DreamWorldGlassのグラフィック機構は、以下のことを強く示唆している。


すななち、DreamWorld社および同社CEOのKevin Zhongが、ARデバイスを早期に製造するために必要される中心的なコンポーネントおよび技術に関連したMetaの機密情報を盗んだことだ。


確かにMeta 2とDreamWorldGlassは、デバイスの動作が極めて酷似している。しかし、「プロダクトとして似ている」というだけでは、技術の盗用を法的に争うには余りにも根拠薄弱である。Meta社が訴訟にまで乗り出したには、プロダクトの類似性のほかにもっともな理由があるのだ。その理由とは、DreamWorld社CEOのKevin Zhong氏が過去に違う名前でMeta社の社員であった、というからだ。


以上のような事情の背景として、中華系ビジネスマンは(本名は欧米圏では通じずらいというような)ビジネス上の理由から、本名とは別に英語名風なニックネームを名乗る習慣がある、という指摘しなければならない。ちなみにKevin Zhong氏の本名は「Zhangyi Zhong」である。


Meta社が提出した訴訟文書には、Kevin Zhong氏に関して以下のような言及がある。


Zhongは、2015年4月9日頃から彼がMeta社を退社する2016年6月22日まで、Meta社に対して「Johnny」というニックネームを名乗っていた


ところが、彼がMeta社を退社してDreamWorld社を起業した時には、ニックネームを「Kevin」に変えていた


この変名は、彼「Kevin Zhong」がかつてMetaの社員の「Johnny Zhong」であった事実を隠すために行ったことだと、強く思われるのである。


同訴訟に対して、UploadVRは訴えられたDreamWorld社に問い合わせたところ、以下のようなメッセージが記されたメールを受け取った。


Meta社による一連の訴訟は、すべて根拠なく、また傾聴するに値しません。


Dreamworld USA IncとCEOであるKevin Zhongは、法的代理人と対応検討中であり、近く何らかの対応を致します。


以上の訴訟のもっともシンプルな解決方法は、かつてMeta社に雇われていた「Johnny Zhong」なる人物の消息を突き止めることだろう。同氏が「Kevin Zhong」氏であれば、Meta社の訴えは極めて合理的なものであろう。だがしかし、「Johnny Zhong」なる人物の消息は不明である可能性もある。「Kevin Zhong」氏がDreamWorld社創業時に「周到な」準備をしていれば、「Johnny Zhong」氏という存在は抹消されているかも知れないからだ。


ARグラス「Meta」とは?


法的な争いに発展しているMeta社とDreamWorld社とは、どのような企業なのか。


まずMeta社から述べると、一言で言えばHoloLensのライバルとなるARデバイスを開発しているAR業界でもっとも注目すべき企業だ。


同社が開発しているARグラス「Meta 2」は、HoloLensに迫る動作を実現しながら、価格がHoloLensの1/3以下の$949(約¥105,000)という低コストを実現している。




同デバイスは、本メディアでも以前に報じたように2017年内に開発版を1万台出荷する予定だが、出荷に遅れが生じているようだ。


ARグラス「DreamWorldGlass」とは?


ARグラス「DreamWorldGlass」とは、Meta 2と同様にHoloLensライクなARグラスである。


本メディアでも2017年5月10日の記事において、訴訟の発端となったUploadVRの記事を紹介している。


上記記事では「DreamWorldGlass」のデモ動画も引用しており、同デバイスがMeta 2と同等な動作を示していることを確認できる。



同デバイスは、Meta 2と同等の動作を実現しながらMeta 2よりさらに安い$350(約¥39,000)での販売を予定していた。


Meta 2もDreamWorldGlassもHoloLensの有力なライバル候補という認識が広まっていただけに、(AR専用デバイスから構成される)ハイエンドAR市場の健全な発展のために早期の法的解決を期待したい。


ARグラスを開発しているMeta社がDreamWorldを訴えたことを報じたUploadVRの記事

https://uploadvr.com/ar-company-meta-suing-competitor-alleged-ip-theft/


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情報提供元: VR Inside
記事名:「 ARグラス開発中のMeta、技術の盗用でARグラスメーカーDreamWorldを訴える