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株式会社IVRy(アイブリー)が、NRIデジタル株式会社との提携を発表し、対話型音声AI SaaS「IVRy」をNRIデジタルの企業向け顧客体験(CX)改善支援サービスに導入しました。この連携により、企業は通話音声データとWebサイトの行動データを組み合わせて分析し、より深いインサイトを得ることで、CXの継続的な改善が可能になると期待されています。本記事では、IVRyの特長や機能、また、NRIデジタルとの協業がもたらす効果について詳しく探ります。
国内市場の成熟が進んでいる中で、企業は競争の激化に直面しています。顧客との長期的な関係を構築するためには、CXの向上が不可欠です。IVRyは、電話応答の分岐設定やAI自動応答、SMS返信、電話転送、顧客管理(CRM)機能など、多岐にわたるフロントオフィス業務をサポートします。さらに、AIによる通話音声の全文書き起こしや内容分析が可能であり、これにより企業は顧客ニーズを的確に把握することができます。企業に「IVRy」を導入することで、One to Oneマーケティングやパーソナライズを活用した顧客情報の最適化が進むと同時に、顧客のライフタイムバリュー(LTV)の向上が期待されます。特に、顧客との接点が複雑化する現代において、さまざまなデータを統合して分析することは、CX改善のための重要な施策となります。
NRIデジタルはIVRyを活用することで、企業向けのコンサルティングサービスや外部システムとの連携を実現します。この統合により、Webサイトの顧客行動データとIVRyの通話音声データの横断分析が可能になります。具体的には、通話内容の分析を通じて業務プロセスの改善を図り、Webサイトやアプリのコンテンツの強化、デジタルマーケティング施策の実行が行われます。また、NRIデジタルの担当者は「IVRy」を通じて取得された通話音声データを、他のデータ・システムと組み合わせることで、より効果的な顧客体験全体の改善と業務の効率化を推進します。この取り組みにより、企業はより高いCXを提供することが可能となり、顧客ロイヤルティの向上にもつながるのです。
具体的な施策としては、対面での応対内容を分析し、FAQページを改善する取り組みが挙げられます。また、顧客が電話をかける前に参照しているWebページを特定し、その傾向を踏まえたコンテンツ改善も行われます。これにより、疑問を解消するための電話問い合わせを減少させることが可能です。さらに、電話問い合わせが集中するタイミングを特定し、該当する顧客に対して事前にメール通知を行うことで、問い合わせ数を削減し、よりスムーズな顧客接点の確保を実現します。これらの施策により、企業は顧客の期待に応えるだけでなく、サービス品質の向上も果たすことができるのです。
近年、宿泊施設の利用者は急増しており、アフターコロナの需要回復によって多くの電話が寄せられる実情が指摘されています。三菱地所ホテルズ&リゾーツでは、電話応答にかかる負担を軽減し、デジタル化を進めるためにIVRyを導入しました。この導入により、月に数千件以上に及ぶ着信数が30%減少し、機会損失が軽減されたと報告されています。英語での問い合わせにおいても、IVRyの活用によって電話応答が10%減少したとのことです。このような電話業務の効率化が進むことで、サービス品質向上にも寄与しているといえます。顧客がFAQサイトを通じて疑問を解決できる機会も増加しており、顧客体験の質が大幅に向上しています。
IVRyとNRIデジタルの連携は、日本企業における顧客体験(CX)の新たなモデルを生み出す可能性を秘めています。対話型音声AIの導入により、企業はCXの向上だけでなく、業務効率の改善や顧客ロイヤルティの強化も実現することができるのです。今後の展開に目が離せません。
執筆:海道理彩