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リーダーが持つべき心得をまとめた一冊。そんな書籍が2025年2月に発売されます。書籍のタイトルは「リーダーの心得」。著者であるデジタルシフトウェーブ 代表取締役社長の鈴木康弘氏はなぜ今、リーダーの重要性を訴えるのか。リーダーたる者、どんな心得が大切だと言うのか。「リーダーの心得」を出版するに至った経緯を聞きました。
――「リーダーの心得」は、2024年3月発売の「仕事の心得」、同年9月発売の「成長の心得」に続く、「心得」シリーズの第3弾となります。これまでの2作にはどんな反響がありましたか。
鈴木:「仕事の心得」や「成長の心得」を読んだ方からたくさんの声をいただきました。若い人からは「自信がもてた」「原点に戻れた」「挑戦・成長したいと思った」と、ベテランの人からは「最近はこんなことを指摘する人がめっきり減った」「今こそ改めて本書のような基本を徹底すべきではないか」などの声がありましたね。
近年は専門的なスキルや資格、能力ばかりを求めがちで、その人が仕事に対してどんな考えを持っているのか、どんな姿勢で仕事に臨んでいるのかなど、仕事に対する心構えを軽視する風潮になっていると感じます。私も今になって、仕事はスキル以上に心構えの方が大切だと思うようになりました。尊敬する恩人や昔の上司、親に教わったことにこそ、大切な仕事の心構えがあるということに気付いたんです。
その思いを込めて執筆したからこそ、仕事や成長に対する基本的な姿勢や心構えをまとめた内容が多くの人に共感いただけたのではないかと思います。履歴書に載るようなスキルや資格をただ求めるのではなく、その人の仕事の向き合い方を理解することが、今求められるようになっているのだと強く感じます。
――「リーダーの心得」をなぜ今、本にまとめようと思ったのでしょうか。発売に至った経緯を教えてください。
鈴木:背景には、現代の日本が直面している危機的な状況があります。日本の国際的な地位は低下し、「稼ぐ力」も衰退しているのが日本の現状です。その原因の1つとして、組織におけるリーダーシップの欠如があると考えます。これまでの日本企業では一部のリーダーが意思決定し、メンバーは指示に従うというピラミッド型の組織が一般的でした。しかし、現代ではその組織体制は通用しません。
変化の激しい現代では、一部のリーダーだけではすべての問題を解決することは不可能です。従業員一人ひとりがリーダーシップを発揮し、自ら考え行動することが求められているのです。とはいえ、リーダーシップを発揮するには、そのための心構えや具体的な行動が必要です。そこで私自身の経営者としての経験や、さまざまな立場でリーダーシップを発揮してきた経験が一助になればと思い、本書を執筆することにしました。
――「リーダーの心得」では、一部の経営者や管理職ではなくすべての人がリーダーの素養を持つべきと書かれています。その理由を教えてください。
鈴木:企業を取り巻く環境と一人ひとりの役割が大きく変化していることに起因します。我々を取り巻く環境は社会、経済、世界情勢、顧客、競合企業、先端技術などが複雑に絡み合い、予測困難な状況にあります。そのため、一部のリーダーがすべての責任を負うことは非常に難しくなってきています。これからは、それぞれの現場で一人ひとりが当事者意識を持ち、自ら考え、行動することが求められています。
そのためには、役職や年齢に関係なく、誰もがリーダーシップを発揮する必要があります。すべての従業員がリーダーとしての素養を身に付けることで、組織全体の意思決定と行動が迅速になり、変化の激しい時代にも対応できる強い組織を作ることができると信じています。リーダーシップを発揮すれば責任と自由が大きくなる分、自身の成長も見込めると考えます。
――リーダーは具体的にどんな素養を持つべきだと考えますか。
鈴木:リーダーに求められる素養は多岐にわたりますが、重要なのは「周囲を幸せにする」という使命感です。リーダーは、顧客や共に働く人々を幸せにすることを第一に考え、行動できる人でなければなりません。そのためには、まず周囲の人々との良好な関係を築くことが重要です。チームの目標を明確に示し、メンバーを鼓舞し、共にゴールを目指す必要もあります。
さらに、常に学び続け、自らを磨く姿勢も欠かせません。物事の本質を見抜く洞察力、周囲からの信頼を得る力、メンバーに寄り添う思いやりの心なども重要です。一方、困難に立ち向かう勇気や強い信念、周囲を巻き込む力も見逃してはなりません。これらの素養を身に付けることで、リーダーはチームを成功に導き、より良い未来を創造できるようになると確信しています。
――「リーダーの心得」をどんな人に読んでもらいたいですか。読むことで何を感じ取ってもらいたいですか。
鈴木:本書は、特定の役職や年齢に関わらず、すべての人に読んでいただきたいと思っています。特に、現在の仕事や役割に閉塞感を感じている人、組織やチームを率いる立場を将来に向けて目指している人、さらに、より良い社会を創りたいと願う人には、ぜひ手に取っていただきたいです。
本書を通して、「誰もがリーダーになれる」ことをぜひ理解してほしいと思います。リーダーシップは、特別な才能や地位を持つ人だけのものではありません。誰もが、日々の行動の中でリーダーシップを発揮できます。本書で取り上げた30の心得が、読者のリーダーシップを目覚めさせる契機になれば幸いです。リーダーシップを発揮することで現状を打破し、新たな可能性を見つけるきっかけに本書がなればうれしいですね。
「リーダーの心得」著者
鈴木康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
1987年、富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事する。1996年にソフトバンクに移り、営業や新規事業企画に携わる。1999年にネット書籍販売会社のイー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長に就任。2006年にセブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。2014年、セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。グループのオムニチャネル戦略を推進するリーダーを務める。2015年、同社取締役執行役員CIO就任。2016年に同社を退社し、2017年、デジタルシフトウェーブを設立、代表取締役社長に就任する。他に、日本オムニチャネル協会 会長、東京都市大学 教授、SBIホールディングス 社外役員を兼任する。