ANAがVR訓練シミュレータ導入、空港のグランド要員の育成や訓練時間短縮に
ANAは、2024年10月からVR訓練シミュレーター「∀TRAS（アトラス）」をグランドハンドリング部門の訓練に導入し、これを通じて訓練効率を向上させる取り組みを開始しました。「∀TRAS（アトラス）」は、ANAと積木製作が共同で開発したシステムで、空港内の作業環境をVR（バーチャルリアリティ）で再現し、実際の空港設備や車両を使用せずに訓練を行うことができる先進的なツールです。
このシミュレーターには「プッシュバック/トーイング」、「パッセンジャーボーディングブリッジ」、「防除雪氷」、「特殊車両走行」など、グランドハンドリングの主要な業務を再現する4つのコンテンツが搭載されています。また、時間帯や天候、使用機材などを選択して、現実に近い様々な条件下での訓練が可能です。これにより、従来の訓練で課題とされていた「実機や実車を使った訓練の機会や時間のばらつき」を解消し、全国の空港で一貫した訓練を提供することができるようになります。
従来、実機を使った訓練は4名体制で行われていましたが、「∀TRAS（アトラス）」では教官と訓練生の2名で訓練が可能となり、効率的な人材育成が実現します。また、天候や資器材の準備に左右されることなく、どのような条件下でも訓練が行えるため、訓練日程の調整も容易になります。
さらに、訓練シミュレーターには不測の事態を強制的に発生させる機能や採点機能が備わっており、より実践的なスキルの向上が期待されます。訓練生はトラブル対応や危険予知能力を高めることができ、訓練の質が向上します。
ANAは、これらのVR訓練システムを全国の空港に展開し、空港ごとの訓練機会のばらつきを減らすとともに、グランドハンドリング業界全体の人材不足に対する解決策として活用していく方針です。
執筆：DXマガジン編集部