近年、「静かな退職」という概念が注目されています。その根底には、社員と人事部門の期待と認識のギャップが存在しています。実施された調査によって、社員が何を求めているのか、そして人事がそのニーズにどのように応えているのかが明らかになりました。

株式会社コーナーは、従業員100名以上の企業に勤務する正社員413名(うち人事部門100名)を対象に「静かな退職と人事の認識ギャップ調査」を実施しました。この調査は、企業が従業員に対してどのような取り組みを求められているかを明らかにし、労働環境の改善を目指すものです。調査によると、社員の過半数が「給与・報酬」を最も重要な取り組みと考えています。次に「評価基準の透明性」や「ワークライフバランスの確保」が続くことから、社員は金銭的な安定だけでなく、自分の評価がどのように行われるかにも強い関心を持っていることが示されています。

年代による分析では、全体として「給与・報酬」と「評価基準の透明性」が重視されていますが、特に30代と40代で期待される項目に違いが見られます。30代は「ワークライフバランス」や「福利生」の重要性を感じる一方、40代は「心理的安全性」や「雇用の安定」を重視します。人事側の調査では、離職防止のために最も力を入れるべき施策として「評価基準の透明性」が挙げられています。次いで「キャリア支援」との回答が続く一方で、社員が重視する「ワークライフバランス」や「福利厚生」は低い優先順位とされています。このズレが、実質的なギャップとして浮かび上がっています。

調査結果から明らかになったのは、社員が求める「待遇」だけでなく、評価制度や職場環境に対する期待が高まっているということです。特に、働き方改革が進む中で、社員は柔軟性や制度の納得感を求めており、これに対して企業がどれだけ応じることができるかが重要です。

企業側は、制度設計やキャリア支援に力を入れる一方で、社員の日常生活や安心感に対する考慮が不足しがちです。これが、社員の不安や不満を助長し、ひいては「静かな退職」につながる危険性があります。企業としては、単なる施策の見直し以上に、社員の生活全般に対する理解を深める必要があることが示唆されています。調査結果から、社員と人事の認識ギャップが可視化されました。これを踏まえ、企業は社員に寄り添った施策を設計し、働きやすい環境を整えることが求められます。今こそ、社員の期待に応える新たなアプローチが必要です。

詳しくは「株式会社コーナー」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部小松

情報提供元: DXマガジン_テクノロジー
記事名:「 「長く働きたい理由」がすれ違う?社員と人事で食い違う“重視ポイント”とは