平時に用意しておきたい物

地震などは予期せぬときに起こります。

犬用の避難用品はふだんから常備しておきましょう。

たくさんの物は持っていけないので、最低限必要なものをピックアップしました。

  • フード、水
  • 食器
  • キャリーバッグ
  • 予備の首輪
  • 伸びないリード(犬を繋いでおけるもの)
  • ペットシーツ
  • 排泄物処理用品(トイレットペーパー、タオル、ビニール袋)

持病を抱えている犬の場合

心臓が悪くて毎日薬を飲まないと咳が出る犬や、てんかん発作があり薬を飲まないと発作がでてしまう犬の場合は薬も用意しておきましょう。

また、飼い主さんが直接犬を世話できるとは限らないので、手帳に薬の与え方や、どんな病気でいつ頃から薬をあたえているか書いておくといいです。

現地で獣医師が手当する場合や、ボランティアの方が世話をする場合の参考になります。

大型犬には靴

大型犬は災害時、キャリーに入れて運ぶということができない可能性があります。

その場合は歩かせて避難しないといけないのですが、瓦礫やガラス片で足の裏のパッドを傷つけてしまう可能性があります。

その際、活躍するのが犬用の靴です。

ただし、はじめて靴を履かされた犬は靴を噛んだりして、はげしく嫌がる場合があります。

犬は本来、靴など履いて生活していません。

そのため、普段からたまにでいいので、靴に慣れさせておいたほうがいいと思います。

犬にはマイクロチップを装着しよう

犬にはマイクロチップを装着しておくと安心です。

令和4年6月1日から、ブリーダーやペットショップ等で販売される犬や猫には、マイクロチップの装着が義務化されました。

そのため、最近飼われた犬のほとんどにマイクロチップが装着されています。

しかし、義務化される以前に購入した犬や、知人などから譲渡された犬には、まだマイクロチップが装着されていないことが多いです。

マイクロチップを装着することで、飼い主と離れてしまった犬が保護された場合に、いち早く飼い主さんのところに犬の安否が届くようになります。

首輪に札をつけているから大丈夫という方もいらっしゃいます。

それはそれでやったほうがいいと思いますが、札が取れてしまったり文字が読み取れなくなっていることも多いようです。

マイクロチップが紛失してしまうことはありません。

そのため、情報の確保としてはより確実だと思います。

時々、ショップなどで購入してマイクロチップを入れてあっても、飼い主情報をまだ登録していない方がいらっしゃいます。

マイクロチップが入っていても登録されていないと緊急時には役にはたちません。

今一度、マイクロチップにご自身の情報が登録されているか確認しておいてください。

引っ越したあとに変更登録をされていない方もおられるようです。

マイクロチップは副作用のほとんどない安全なものと考えられています。

災害時のことを考えると、まだ装着していない犬には入れておいたほうが安心といえます。

物より「しつけ」が大切

ここまで、災害時に必要な物のことを書いてきました。

これらのことは、お金を払えばすぐにでも準備できることが多いと思います。

実は、犬における災害時の準備として一番大切なのは「しつけ」です。

避難所のなかには同行避難(ペットと一緒に避難)できるところもあります。

避難所では、飼い主の用意したケージに入れたり、リードにつないだりして他のペットと一緒に過ごします。(犬用の備品は飼い主が持参したものを使います)

そこで、日頃からのしつけが大切になってくるのです。

ケージに慣れさせる

普段一日中、自宅の庭や室内で自由に行動している犬が,狭いゲージの中で数日おとなしくしていることができるでしょうか?

動物病院でも、ケージにいれると吠え続けたり、柵を噛んだりして、長時間の預かりができない犬が時々きます。

避難所には犬が苦手な方もいるのです。

また、普段犬が好きで犬に好意的に接している人でも、そのような状況下で犬が一晩中吠え続けたらどうでしょうか?

場合によっては犬を避難所においておくことができなくなるかもしれません。

「ハウス」と言ったらケージに入り、「ヤメ」といったら吠えるのをやめるように日頃からしつけておくことはとても重要だと思います。

ドッグフードを与えていますか?

飼い主さんのなかには犬の健康を考えて「手作り食」を与えている方もいらっしゃいます。

中には犬に食物アレルギーがあって、やむを得ず手作り食にしているといった方もおられるでしょう。

ただし、避難所に手作り食は置いてありません。

普段は手作り食を与えているという方も、いざという時に犬がドッグフードを食べるように、日頃からたまにはフードを与えて慣らしておくことは大切かと思います。

犬は誰が触っても大丈夫ですか?

災害時に犬が保護された場合、飼い主以外の人が犬を世話することになるかもしれません。

その場合に人を噛んできたり、警戒心があまりにも強い犬の場合は世話をすることが難しくなる場合があります。

日頃から、他の人に対して強すぎる警戒心を持たないよう、犬好きの人に触ってもらうなど飼い主以外の人にも慣らしておくことも大切なことです。

他の犬や車などにも慣らしておこう。

小型犬を室内のみで飼育している方がいらっしゃいます。

運動量という意味では小さな犬ならば室内を走らせておけば十分かと思います。

しかし、環境や他の犬に慣れさせるという意味では、やはり時々は外に連れ出したほうがいいと私は考えます。

あまりにも箱入り娘のような感じにしてしまうと、急に外に連れ出した時、車の音や他の犬の姿に過剰反応を起こしてしまう可能性があるからです。

特に災害時においては、普段おおらかな犬であってもパニックになる可能性があるので、車の騒音や他の動物の姿やニオイには慣れておいたほうがいいでしょう。

避難所以外で犬を預かってくれそうなところも探しておく

避難所での生活では、犬にある程度のしつけができていないと、他の方との間でトラブルになる可能性があります。

そのため、今のうちに可能なかぎり、しつけをしておくことをおすすめしました。

しかし、なかには犬が高齢であるなどの理由から、今からしつけは難しい、といった場合もあるかと思います。

その場合は、知人宅など公共の避難所以外で、犬を預かってもらえそうなところを探しておいたほうがいいでしょう。

まとめ

災害時にはどうしても人の救助が優先されます。

犬を飼っている方は、自分の犬は自分で守るという考えが大事になってくると思います。

転ばぬ先の杖ではありませんが、平時よりしっかりと準備しておくことが大切です。

物は一日あれば準備でしますが、しつけは一日では無理です。

災害時のストレスを少しでも減らすために、日頃から意識しておきたいことを、今回お話させていただきました。


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情報提供元: わんちゃんホンポ
記事名:「 【獣医師が解説】災害時のために、犬を飼っている人が準備しておきたいこと