1.フィラリア症

フィラリア症は、蚊が媒介する寄生虫による感染症です。犬の体内に侵入したフィラリアが、体の中で成長しながら心臓の肺動脈に到達し、血流を悪くすることで様々な全身症状を引き起こします。

初期症状はほとんど見られませんが、食欲不振や元気の消失があり、次第に咳や息切れなどが起こります。さらに、嘔吐したり、腹水がたまるようになったり、血尿が出るようになったりするようになります。

放っておくと死に至ることもあるため、状態に合わせて投薬や手術で治療をおこないます。ただし、治療にもリスクがあるため、できる限り予防に努めることが大切です。

蚊が発生する4~12月(時期は地域による)頃に、毎月フィラリア駆除薬を飲むことで、侵入したフィラリアが成虫になる前に体外に排出します。

2.犬パルボウイルス感染症

犬パルボウイルス感染症は、感染すると下痢や嘔吐などの消化器系症状を引き起こします。また、白血球の減少も見られます。

はじめのうちは、食欲不振や元気消失などの症状が見られ、下痢や嘔吐をくり返すうちに脱水や体重減少が起こります。また、腸粘膜が破壊されて細菌などによる二次感染を起こし、敗血症が引き起こされて死に至ることもあります。

回復には、ウイルスを排出するための体力や治癒力が必要になるため、未熟な子犬の場合、重症化して死に至る可能性も高く、非常に危険な感染症です。

犬パルボウイルス感染症は、感染力が強く致死率も高いため、そのワクチンはすべての犬に必要だとされる「コアワクチン」に位置付けられています。

3.犬アデノウイルス2型感染症

犬アデノウイルス2型感染症は、「犬伝染性喉頭気管炎」と呼ばれることからもわかるように気管支に炎症が起こる病気です。主な症状としては発熱・咳・くしゃみ・鼻水などが見られ、いわゆる犬の風邪とされる「ケンネルコフ」の要因にもなります。

基本的にはそれほど重症化するものではありませんが、まれに悪化して肺炎を引き起こすことがあります。特に、体が未熟な子犬が感染すると衰弱したり、他の疾患を併発して重症化したりすることもあるので注意が必要です。

すでにアデノウイルス2型に感染している犬の唾液や鼻水、排泄物に触れたり、飛沫を吸い込んだりすることで感染します。ワクチン接種で予防が可能なので、定期的に任意のワクチン接種をおこなうことをおすすめします。

4.レプトスピラ症

レプトスピラ症は感染すると、全身の様々な臓器に影響を与える疾患で、特に肝臓や腎臓で細菌が増殖して悪影響が出やすいとされています。出血や黄疸の症状が見られるようになり、肝炎や腎炎、肺炎、血管炎などが起こり、最悪の場合死に至ります。

また、レプトスピラ症は犬だけでなく、哺乳類が感染する疾患のため、飼い主にもうつる可能性のある人畜共通感染症であることも知っておかなければなりません。

レプトスピラを媒介するネズミなどのげっ歯類の尿に触れることで感染するため、山や森、川、池などがある場所で感染する可能性が高いとされています。自然が近い場所で暮らしている場合や、それらの場所に遊びに行くことがある場合は、ワクチン接種をおこなっておくといいでしょう。

5.重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

重症熱性血小板減少症候群は、2011年に発見された比較的新しい感染症のひとつで、マダニによって媒介される疾患です。

SFTSウイルスを保有しているマダニに刺されることで感染し、発熱や下痢、嘔吐などの症状をはじめ、出血症状や神経症状、リンパ腫脹などが見られます。

犬だけでなく、人間も感染するもので、人の場合の致死率は10~30%程度とされ、厚生労働省からも注意喚起や情報提供がおこなわれています。

現時点では有効なワクチンはないため、SFTSウイルスを保有しているマダニに刺されないように対策をおこなわなければなりません。草むらに入る場合などは、洋服や靴を利用したり、定期的に駆除薬を使用したりしてください。

まとめ

自然豊かな場所だけでなく、日頃気軽に散歩している公園や街中でも様々な病気に感染するリスクがあります。

過剰に恐れる必要はありませんが、愛犬が病気で苦しんだり最悪の場合命を落としたりすることがないように、定期的なワクチン接種やボディチェックなど、できる限りの対策をおこなっておくようにしましょう。


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情報提供元: わんちゃんホンポ
記事名:「 日常生活で犬が感染する『5つの病気』その危険性と対処法に「室内飼いでも注意」