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“遊べる本屋さん”こと「ヴィレッジヴァンガード」で販売中の謎のお菓子「語彙力を無くす味」と「常識を覆す見た目」がXで話題です。
パッケージからはまったく味が想像できないこの2つのお菓子を、「ワケわからないものはとりあえず口に入れてみる」という2歳児の精神で生きている筆者が実食してみました。
謎のお菓子「語彙力を無くす味」(以下、「語彙」)と「常識を覆す見た目」(以下、「常識」)。存在しない「ポケモン」タイトルのようなペア感です。価格はともに324円。チャレンジしやすい価格帯ではあります。
パッケージからしてもかなり雰囲気がおどろおどろしく、黄色地に黒斑の「語彙」と青地に黒斑の「常識」は、ともに南米に生息する毒ガエルのよう。完全に警戒色です。
原材料を確認してみますが、両方とも怪しげなものはなし。製造所は「津山製菓株式会社」とあります。島根県出雲市にある製菓会社さんで、和菓子をメインに手がけているようです。
まずは両方とも外袋を開封。それぞれお菓子が1つずつ小分けになって入っています。実際にするかどうかはさておき、持ち運びやおすそ分けに便利です。
「常識」の方は開けた瞬間、甘い香りが漂います。サイダー……いや、コーラのお菓子のような香りです。見た目が青いのでどうしてもサイダーをイメージしてしまうのですが、目を閉じて嗅ぐとコーラの方が近いです。
もう一方、「語彙」の方を開けてみると、なんとも不思議な、スパイシーな香りがします。日本のお菓子ではあまり嗅いだことはなく、海外のお土産のような感じです。
両方とも外袋を開けた段階での匂いはそこまで強くありません。普通に食べられそうです。
実際に「常識を覆す見た目」の方から食べてみます。
最初に食べるのは「常識」の方。外袋を開けたときの匂いから、こっちの方がまだ味の想像がついたからです。
「常識」のパッケージにはサブの商品名?キャッチコピー?として「神経を疑う。何考えてんだ」とあります。食べ物に使うワードではないので、心配が募ります。
どうか見た目だけにかかっていてくれ、と祈りながら中袋を開けてお皿に出します。
それにしても名前に恥じないビジュアルです。黒い幾何学模様が点在する青いキューブ。青は青でも「ガリガリ君 ソーダ味」のような水色に近い色合いではなく、深みのある青です。
そんな青いキューブ状の「常識」が、白い小皿にぽつんと1つ置かれていると、テーブルの上がまるでディストピアSFの世界観。「これ1粒で1日分のカロリーと栄養が摂取できます」と言われても信じてしまいそうです。
爪楊枝を刺してみると、ややむっちりとした感触。弾力は感じません。
それでは一口。
味は外袋を開けたときと同じ、コーラ風。人工甘味料の香りが鼻に抜けていきます。コンビニで売られているコーラ味のグミに近い味わい。食感は爪楊枝を刺したイメージ通りにむっちりしており、寒天ゼリーのよう。
製造元である「津山製菓株式会社」さんは「ドライゼリー」という寒天ゼリーシリーズを手がけているので、そのノウハウで作られたものなのでしょう。
筆者個人としては味は好き寄りなのですが、食感が少し苦手といったところです。
常識を覆してくるのは見た目だけのようで安心しました。
パッケージが怪しいだけで味は意外と普通なのかも。なんとなく自信をつけて2つ目「語彙力を無くす味」を開けます。
「語彙」の方で1番気になっているのが「語彙力を無くす」という表現が、良い意味なのか悪い意味なのか、というところです。
「美味しすぎて語彙力を無くす」であることを祈りながら小袋を開けます。匂いは外袋開封時に嗅いだものとあまり変わりません。
パッケージが毒々しいのでそれにつられていましたが、中身のお菓子自体はそこまで毒々しい見た目はしていません。相方の「常識」のインパクトが大きいせいもあって、いたって普通に見えます。白い部分はミルク、オレンジ色はミカンかな?
爪楊枝で刺してみると「常識」よりはやや柔らかめの手応え。中にすぅっと入っていきます。
一口食べます。
……なんだこれ……なん、だ、これは……?
大変悔しいのですが、パッケージの表記通りに言葉を失いました。
口に入れた瞬間真っ先に思い浮かべたのは「都こんぶ」です。あれの味がします。昆布の、味です。
かといって「都こんぶ」のような酸っぱさや甘さはありません。そしてもちろんしょっぱいわけでもなく……でも無味ではありません。はっきりと味がします。これはあえて言うなら「うま味」でしょうか。「うま味」が口の中に広がっています。
白とオレンジという真っ当な色合いの、フルーティー感のあるビジュアルをしたお菓子からしていい味ではありません。想像のはるか斜め上から飛来してくるような、衝撃の味です。予想していたミルク味もみかん味も皆無です。
食感は「常識」と同じく寒天ゼリーのような、もっちゃりとしたもの。意味のわからない味に、あまり得意ではない食感。「早く口からいなくなってくれ……」と願いながら咀嚼し、「もう飲み込める!」と思うサイズになった瞬間、即飲み込みます。
「語彙」が下から消えてほっと一息。水で口を潤しました。口の中から綺麗さっぱり「語彙」の気配を消してしまうと、まるで今の出来事が夢だったかのような気がしてきました。味があまりにありえなかったので、現実に存在する食べ物を食べた心地がしないのです。
キャッチコピー的に記されている「ほんとすごい。マジですごい」はかなり的を射ていると思います。
「常識を覆す見た目」の方は、インパクトがあるのは見た目だけで味は普通なため、物足りなさが残るかと思います。ただ「語彙力を無くす味」の方はマジですごいやばめな味がするので、記事を読んでビビっときた人はパクっとしてみては。
(ヨシクラミク)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By YoshikuraMiku | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2024112705.html