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住友生命保険が2007年より取り組む「未来を強くする子育てプロジェクト」。「子育て支援活動の表彰」や「女性研究者への支援」などを実施しています。
3月5日、このプロジェクトの表彰式が開催。子育て支援活動をする団体と個人や、子育てしながら研究を続けている女性研究者へ表彰が行われました。
「未来を強くする子育てプロジェクト」では過去16回の表彰を通じて、182組の子育て支援活動と、161名の女性研究者を支援。17回目となる今回からは、「スミセイ未来大賞(内閣府特命担当大臣賞)」も新設されています。
表彰式の会場には後方にキッズスペースが設置されており、表彰の間も子どもたちの楽しそうな声が聞こえるなど、終始なごやかに行われました。
表彰式では最初に、住友生命保険相互会社取締役代表執行役社長の高田幸徳さんが登壇。ウェルビーイング社会の実現を目指している住友生命。高田さんはその中の1つである、「健やかな子育てと夢のある未来づくりを応援していきたい」と語ります。
続いて、こども家庭庁長官官房審議官(支援局担当)の野村知司さんが挨拶。こども家庭庁では、地域や社会で行われている子育て支援活動が、全国津々浦々で広がるように取り組んでいきたいと目標を掲げていました。
この後ステージにあがったのは、文部科学省大臣官房審議官(総合教育政策局担当)の渕上孝さん。2023年6月に策定された「教育振興基本計画」では、社会教育の充実による地域の教育力の向上や地域コミュニティの基盤強化を図ることを目標としています。文部科学省では引き続き、家庭や地域、学校などと連携して施策の一層の充実に努めていくとのこと。
3人の挨拶が終わると、子育て支援活動の表彰。よりよい子育て環境づくりに取り組む団体や個人合わせて183組の中から12組が表彰されました。
先にスミセイ未来賞を受賞した「特定非営利活動法人With優」や「NPO 法人 里親子支援機関 えがお」など、10組が表彰。代表者がステージに登壇し、住友生命の高田さんから記念のトロフィーが授与されました。受賞した10組には副賞として50万円も贈られます。
次にスミセイ未来大賞を受賞した「特定非営利活動法人 親子ネットワークがじゅまるの家」(内閣府特命担当大臣賞)と「名護市学習支援教室ぴゅあ」(文部科学大臣賞)の代表者がステージへ。2組にはトロフィーと賞状、副賞として100万円が贈呈されます。
鹿児島県大島郡徳之島町にある「がじゅまるの家」は、島民のニーズに応じた多様な子育て支援を展開。不登校支援や子ども食堂などの活動を行っています。
理事長の野中涼子さんは自身を「ちょっとお節介なおばちゃん」と言い、そんなおばちゃんが子育てをサポートする地域を作っていきたいと語ります。
さらにアフリカの「早く行きたいなら1人で行け。遠くへ行きたいならみんなで行け」ということわざが大好きで、これまで一緒に歩いてきた仲間たちに感謝をし、「これからは皆さんと一緒に子育てのお手伝いやサポートをしていきたい」と呼び掛けていました。
大学と行政が連携して大学生ボランティアによる生活困窮世帯の中学生への学習支援活動を行っている「名護市学習支援教室ぴゅあ」。週3回、大学の教室で学習支援を実施。大学生と中学生とのマッチングを大切にしており、個別シートなどを作成して一人ひとり丁寧に対応しているのだとか。
顧問の嘉納英明さんは、今後は児童養護の専門の先生に協力していただきながら子どものケアの方法や、外国籍の子どもたちのための日本語指導、さらには年齢に関係なく識字教育などに取り組んでいきたいと考えを明かしていました。
選考委員を務めた「認定NPO法人びーのびーの」の理事長である奥山千鶴子さんは、今回の選考を通じていろいろな活動が全国にあることを実感したそう。そして受賞した人たち同士、交流をしながら新たな一歩を踏み出してほしいと、自身の気持ちを吐露。
同じく選考委員の「子どもの未来サポートオフィス」代表・米田佐知子さんは、今回受賞した団体の中に東日本大震災の支援活動がきっかけで誕生した「認定特定非営利活動法人 こども∞(むげん)感ぱにー」があることを紹介。この受賞が能登半島の復興に向けた活動に、何か繋がっていけばと願いを込めていました。
子育て支援活動の表彰の後は、女性研究者への表彰が行われました。これは育児を行いながら研究を続けている女性研究者が、研究環境や生活環境を維持・継続するために助成金年間100万円を上限として2年間支給するもの。ステージには、スミセイ女性研究者奨励賞を受賞した10名が登壇しました。
受賞者を代表して京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科5年一貫制博士課程の高村(井上)満衣さんが受賞の感想をコメント。高村さんは現在5歳の長男と7か月の次男の子育てをしながら、「タンザニアにおける教育普及の実態と課題」や「学校教育中途退学者と進学者の生活戦略」などを研究しています。
今回、スミセイ女性研究者奨励賞を受賞したことで、子どもを連れて現地まで行くことが可能に。自身の子どもを連れて行くことで、現地の人たちとより深い交流ができ、調査に厚みを持たせることができるのではないかと期待しているといいます。
さらにこのような経験が子育てをしながらフィールドワークをしている女性研究者のロールモデルになれるよう、研究に邁進していきたいと意気込んでいました。
最後に選考委員長で東京大学名誉教授の汐見稔幸さんは、日本の研究者の男女比が半々になった時、日本の社会に希望が見えてくるのではないかと期待を持っていると語りました。
※高村(井上)満衣さんの「高」は、正しくは「はしごだか」です。
取材協力:住友生命保険相互会社
(取材・撮影:佐藤圭亮)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 佐藤圭亮 | 配信元URL:https://otakei.otakuma.net/archives/2024030604.html