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筆者も実際に、現在猫と子どもを一緒に育てています。愛猫が家に来た時はまだ上の子が2歳前で、周囲の人からは「小さな子どもがいるのに平気なの?」と聞かれることも多かったです。
というのも、みなさんも耳にしたことがあるかと思いますが、猫は「静かな環境を好む動物」です。
なので、大きな声を出したり家の中でも元気いっぱいに走り回ったりするような幼い子どもは苦手…という認識が一般的なのですね。
その一方、筆者が実際に猫と子どもを一緒に育てる中では、次のようなメリットも感じました。
メリットについては別の記事でもお話していますので今回詳しいことは割愛しますが、どれも親の力だけで教えることは難しく、「愛猫がいてくれてよかった」と感じることばかりです。
猫と子どもを一緒に育てていて、たくさんのメリットを感じたことは事実です。
でも、やはりパワフルな子どもと静寂を好む猫は「真逆」と言っても過言ではないくらい温度差があることも多々…。
周囲の大人が工夫しなくては、どちらかが大きなストレスを抱えることも考えられます。
さらに、猫と人では異なった部分も多く、注意しなくてはお子さんの感染症などを引き起こしてしまう危険だってあるのです。
ここからは、猫と子どもの健康のために知っておきたい、子どものいる家庭で猫を飼う際の注意点をお話します。
子どもの有無に関わらずとても重要なことですが、小さなお子さんがいるのであればなおさら「猫の衛生管理」には気を配るようにしましょう。
お子さんの育児だけでも何かと忙しいかと思いますが、だからと言って猫のお世話を怠っていい理由にはなりませんよね。
こうした衛生管理を怠ると猫の健康に影響するだけではなく、お子さんのアレルギー発症や人獣共通の感染症リスクを高めることにもつながります。
猫と子どもの健康を守るためにも、周囲の大人はきちんと猫周辺の衛生管理も行っていきましょう。
みなさんはSNSなどで、猫が子どもの顔を舐めている写真や動画を見かけたことはありませんか?
「仲が良いなぁ」と微笑ましい気持ちにもなるのですが…じつはこの行動、お子さんの感染症リスクが高まりますので絶対に真似してほしくないことの1つです。
というのも、猫は口腔内にさまざまな菌を持っています。その中でも特に有名なものが「パスツレラ菌」です。
パスツレラ菌は「正常細菌」と言って、猫にとっては保菌が当たり前で、猫の体には何も害がありません。
一方、人に感染し発症すると、気管支炎や肺炎などを引き起こして最悪の場合には死亡してしまうこともある、とても恐ろしい菌なのです。
お子さんの場合は特に、免疫力が大人よりも低く感染しやすいと言えるでしょう。
猫に子どもの顔を舐めさせることはもちろん、猫を触った手で食事することも避けるよう、周囲の大人は気をつけて見てあげてください。
お子さんの感染症リスクについてお話してきましたが、周囲の大人の注意不足で体調を崩すのは子どもだけではありません。
先ほども少し触れましたが、猫は本来、静かな環境を好む動物です。自由気ままに生活することが多い猫ですが、子どもがいる家庭では猫が好きなように穏やかに過ごすことはなかなか難しいですよね。
しかし、「子どもがいるから仕方ない」と開き直ってしまうのはNG!猫に無理をさせてしまうと、ストレスから食欲不振になったり膀胱炎などの病気を引き起こしたりする危険もあるのです。
子どものいる家庭で猫を迎えようと検討する際には、まず「猫が1人で静かに過ごせるスペースを確保できるか」を考えましょう。
部屋の一角に大きめのゲージなどを用意して「ここに猫が入っている時には、絶対に構っちゃいけない」とお子さんにも徹底させ、猫が1人でくつろげるスペースを作ってあげることが大切です。
ママがトイレに入っていると子どもがドアを勝手に開けてきた…という経験はありませんか…?
筆者は何度もありますし周囲のママに聞いてみても「わかる!」と同意してくれるので、「子どもあるある」なのだとは思うのですが、「トイレの時くらいゆっくりさせてよ!」というのが本音で、かなりストレスを感じています…。
これと同じように、猫ちゃん相手でもお子さんが興味本位で排泄を覗こうとすることがあるかもしれません。
実際に我が家でも愛猫が排泄しているところを子どもたちで「わー!うんちしてる!」と騒ぎ立てたことがありました。
しかし、排泄を覗かれることは無防備な姿を相手に見せることですよね。
猫は元々、「敵から身を守るために穴を掘って排泄をするようになった」と言われているくらい慎重で繊細な動物ですから、トイレを覗かれることは人が感じるようなストレスの他にも、「本能的な恐怖」まで感じてしまうのだそうですよ。
ゆったりとした気持ちで排泄ができないと、トイレを失敗する原因にもなりますし、ストレスから排泄を我慢してしまうようになる危険もあります。
猫のトイレは人目が気にならないような静かな場所を選んで設置し、お子さんにも「猫のトイレは邪魔しないように」ときちんと声がけをしましょう。
今回は、子どものいる家庭で猫を飼う際に気をつけたい注意点をお話しました。
この記事を読んでみて「猫と子どもを一緒に育てるのって、なんだか大変そう…」と感じた人もいるかもしれませんね。
確かに、子どもでも猫でも大切な家族であり尊い命ですから、育てていくのには大きな責任が伴いますし、実際に大変なこともたくさんあります。
ですから、筆者も「猫と子どもを一緒に育てるの、オススメです!」なんて簡単には言えませんし、みなさんがこの記事を読んで少しでも不安が残るのであれば「今は時期ではないのかもしれない…」とも思います。
一方で、猫がいなければ知り得なかったような気持ちを子どもが学び取ってくれたことも事実で、私たち大人からしても、育児に追われる中で猫と触れ合う時間はかけがえのない本当に大切なものとなっています。
なので、もちろん「大変」というのはありますが、その大変さが比にならないくらい心の底から「猫と子ども、一緒に育てていてよかった!」と感じているのです。
猫も生き物ですから、この先病気をしたり歳をとったり…今以上にお世話が必要となり私も切羽詰まることも出てくるかもしれません。
しかし、その時には子どもにも猫のお世話をしてもらって、最期の瞬間まで「猫と暮らす日々」を親子で大切にしていきたいと考えています。
子どももきっと、その日には嫌だと思いながらお世話をするのではなく、きょうだいのように育ってきた猫への「恩返し」だと感じてくれるのではないか…とも思うのです。
繰り返しになりますが、「猫と子どもとの暮らし」を誰にでもオススメするわけではありません。ただ、この暮らしから学ぶことは大人である私たちにも本当にたくさんあります。
「育児中だけれど猫を迎えたい」と感じた時には、注意点なども確認しつつ、ぜひ前向きに検討してみてくださいね。
以前はトリマーとして従事していたが、愛犬の死をきっかけにペットロスカウンセラーへと転身。現在では、Rapport Cielの代表として、ペットロスカウンセラーやグリーフケアを行う一方で、Webライターとして動物に関する様々な記事の執筆を行う。
著書「ペットロスで悩んだときに読んでほしい愛犬の死がきっかけで平凡主婦がペットロスカウンセラーとなって起業した話: 「意外」と驚かれるペットロスとの向き合い方 (ラポールブックス)