- 週間ランキング
つまり、FPSの上手い人は必ずしもエイムが正確なわけではなく、瞬間的なチャンスを見逃さない反応速度が優秀だったのです。
視線の運び方だけでこれほど明確な差が出たという事実は、「FPSのうまさ」においてどこを見るか、どのように見ているかが極めて重要であることを示唆しています。
これはスポーツや演奏と同じで、熟練者ほど「次に何をするか」が体に染みついており、FPS熟練者の場合は視線が自然に先回りして動くようになるのかもしれません。
FPSゲームにおける「うまさ」とは、正確に的にカーソルを合わせられる手先の器用さ以上に、視線の動かし方にあったのです
この研究から得られる最大の示唆は、「FPSの上達には、視線の使い方を含めた“認知の効率化”が重要だ」ということです。
言い換えれば、単に手のエイム練習を積むだけではなく、「どこを見て」「どこに注目しないか」という視覚的な判断力を鍛えることが、勝敗を分けるカギとなります。
たとえ正確に的に当てる能力が低くても、反応速度を上げることで試行回数を増やすことが出来ます。結果的にそれがもっともスコアを最大化する戦略につながるのです。
YouTubeのトッププレイヤーたちが“敵の出現しそうな場所”を予測して先に視線を送っている様子を見たことがあるかもしれません。
あれこそが、「予測された視線戦略」の一例です。
あなたが次にFPSをプレイするとき、上手く照準カーソルを合わせることではなく、「自分はどこを見ていたか」「どのタイミングで目を動かしたか」に意識を向けてみてください。
その小さな気づきが、ゲームプレイをまったく違うものにしてくれるかもしれません。
参考文献
Experienced FPS gamers show faster, more efficient eye movements during aiming tasks, study finds
Experienced FPS gamers show faster, more efficient eye movements during aiming tasks, study finds
https://www.psypost.org/experienced-fps-gamers-show-faster-more-efficient-eye-movements-during-aiming-tasks-study-finds/
元論文
The aiming advantages in experienced first-person shooter gamers: Evidence from eye movement patterns
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0747563225000202
ライター
相川 葵: 工学出身のライター。歴史やSF作品と絡めた科学の話が好き。イメージしやすい科学の解説をしていくことを目指す。
編集者
ナゾロジー 編集部