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マナティーはもともと、人間の活動によって深刻な脅威にさらされてきました。
とくに問題となったのがボートとの衝突や生息地の破壊による餌不足、水質汚染や藻類の大量発生といった要因です。
これらの要因によって、多くのマナティーが命を落としてきました。
こうした状況を変えるために設立されたのが「セーブ・ザ・マナティー・クラブ」です。
1980年代からブルースプリングを拠点に活動を続けてきたこの団体は、マナティーの識別調査や個体ごとの写真記録、傷跡からの追跡、さらには病気の兆候のモニタリング、子どもの健康チェックなど、さまざまな支援活動を行ってきました。
その成果は数字に表れています。
1991年当時、フロリダ州全体にいたマナティーの数は約1,267頭。それが2025年にはおよそ8,350頭へと増加しているのです。
マナティーはかつて、絶滅危惧レベルが「危機的(endangered)」とされていましたが、保護活動の甲斐もあり、2017年には「脅かされている(threatened)」にランクが変更されています。
このように絶滅が危惧されている生物も熱心に保護活動を行えば、失われかけた種を蘇らせることが可能であることを物語っています。
今回目撃されたマナティーの群れはまさにその証拠となるでしょう。
参考文献
Over 700 Manatees Gather In Florida Park, The Largest Group Ever Seen There
https://www.iflscience.com/over-700-manatees-gather-in-this-florida-park-the-largest-group-its-ever-seen-79442
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部