「今週は食べ過ぎちゃったな」という経験は誰にでもあるでしょう。

しかし、たった5日間の高カロリーなジャンクフード生活が、脳のインスリン反応に長期的な影響を与える可能性があると明らかになりました。

ドイツのテュービンゲン大学(University of Tübingen)の研究チームは、健康な成人男性を対象に短期間の高カロリー食の影響を調査し、短期間の過剰摂取でも脳が混乱し、食欲や報酬系に変化が生じることが判明しました。

研究の詳細は、2025年2月21日付で『Nature Metabolism』誌に掲載されました。

目次

  • 脳のインスリン抵抗性とは!?「5日間のジャンクフード生活」研究
  • たった5日間の食べ過ぎが、脳を変化させる

脳のインスリン抵抗性とは!?「5日間のジャンクフード生活」研究

これまでの研究では、肥満や2型糖尿病の人々がインスリン抵抗性を持ちやすいことが知られていました。

インスリンは血糖値を下げるホルモンであり、脳においても食欲を抑えたり、代謝を調節したりする役割を果たします。

しかし、脳のインスリン抵抗性が生じると、その働きが鈍り、結果として肥満や糖尿病のリスクが上がることが分かっています

では、肥満や糖尿病でなければ、インスリンの働きが鈍ることはないのでしょうか。

例えば、ちょっと食べ過ぎた日が続くくらいでは、脳のインスリン抵抗性が生じることはないのでしょうか。

短期間であれば、ジャンクフード生活は害を及ぼさないのか / Credit:Canva

研究チームは、この点を明らかにするため、今回の研究を実施しました。

研究では、19~27歳の健康な男性29人を対象に、5日間の高カロリーな食事を摂取するグループと、通常の食事を続けるグループに分けて実験を行いました。

高カロリーな食事を摂取するグループは、通常より1,500kcal多く、超加工食品を含む食事をとりました。

そして参加者たちのインスリンの働きの変化を記録しました。

また、食事内容の記録、血糖値、肝臓脂肪の変化などを評価することで、食事と代謝の変化についても調査しました。

加えて、認知テストも実施し、脳のインスリン応答や報酬系の活動がどのように変化するか詳しく分析しました。

たった5日間の食べ過ぎが、脳を変化させる

研究の結果、参加者の体重はほとんど変わっていませんでした。

しかし、被験者全員で、肝臓の脂肪含有量が1.5%から2.5%に跳ね上がっていました。

また最も大きな影響があったのは、脳のインスリンに対する反応でした。

短期間ジャンクフードを摂取した人たちは、脳のインスリン応答が乱れ、反応が鈍くなっていたのです。

たった数日の食べ過ぎでも、脳のインスリン抵抗性が生じる / Credit:Canva

これはたった数日で脳内のインスリン抵抗性が生じていたことを示しています。

また高カロリーな食事を5日間続けたことで、脳の報酬系が混乱することも分かりました。

これにより、大量に摂取したはずのジャンクフードを「もっと食べたい」と感じるようになります。

つまり、「高カロリーな食事を摂取する」→「もっと食べたくなる」→「高カロリーな食事を摂取する」という悪循環が生じるのです。

さらに、通常の食生活に戻した後も、脳のインスリン感受性は完全には回復しませんでした。

これはたった5日間であっても、高カロリーな食事を続けることが、長期的な影響を及ぼす可能性を示唆しています。

私たちの脳は、食べたものに敏感に反応します。

「たった5日間だから大丈夫」と思っていても、その悪影響は長く続くかもしれません。

たまに食べ過ぎることはあったとしても、それを何日も続いてしまうことには注意すべきです。

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参考文献

Just Five Days of Junk Food Can Throw Off Your Brain’s Metabolism
https://www.zmescience.com/science/news-science/junk-food-brain-metabolism/

Five days of ultra-processed food: Study finds that’s enough to alter insulin and reward functions in the brain
https://medicalxpress.com/news/2025-02-days-ultra-food-insulin-reward.html

元論文

A short-term, high-caloric diet has prolonged effects on brain insulin action in men
https://doi.org/10.1038/s42255-025-01226-9

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者

ナゾロジー 編集部

情報提供元: ナゾロジー
記事名:「  「たった5日間のジャンクフード生活」が脳の仕組みを変えてしまう