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悪夢にせよ、パニック映画のワンシーンにせよ、そのような状況に面すると人は恐怖を感じるものです。
もしかしたら、同様の効果が、中国の警察が試験導入した水陸両用の球形ロボット「Rotunbot」にはあるかもしれません。
このロボットは転がりながら犯人を追い詰めるだけでなく、相手を無力化する武器も備えています。
目次
近年、犯罪対策におけるロボット技術の活用が進んでいます。
例えば、アメリカでは爆発物処理ロボット犬が、不審物の調査や処理を行っています。
また、日本ではAI監視カメラと連携する巡回ロボットの実験が行われており、それらのロボットは、駅やショッピングモールの異常を検知して通報する役割を担うことができます。
これらのロボットは主に地上での活動に特化しています。
しかし、中国の警察が試験導入したロボット「Rotunbot」は、その枠を超えた画期的な存在です。
このロボットの最大の特徴は、そのフォルムにあります。
「警備ロボット」と聞けば、人型やロボット犬などを想像する人も少なくありませんが、このロボットは球形であり、密閉された球形の外殻による強力な自己防護能力を備えています。
また、従来のロボットにありがちな問題である「転倒」とは無縁です。
では、このボール型のロボットは、どのように犯罪者を取り締まるのでしょうか。次項で見てみましょう。
Rotunbotは重さ125kgの球形のロボットであり、転がりながら犯罪者を追跡できます。
ジャイロスコープによる自己安定化技術を用いて静かに動作し、GPSや複数のカメラ、超音波センサーによって周囲の環境を認識します。
これにより、障害物を回避しながらターゲットをひたすら追跡することが可能です。
陸上と水上の両方で最大時速35kmで移動できるだけでなく、非致死性の武器を搭載しています。
China’s police now have a new support: a spherical patrol robot that can hit 30 km/h in just 2.5 seconds. Inspired by a concept originally in Mercury probe project, this high-speed machine is ready to roll on both land and water. #FutureChinapic.twitter.com/q0sdEkYfxB
— China Xinhua News (@XHNews) December 14, 2024
催涙ガス、発煙弾、クラクション、ネットなどを用い、犯罪者を追い詰め、捕らえるのです。
車などを使用しない限り、人が逃げ切ることはまず不可能でしょう。
そして100kg越えの鉄球に追われる恐怖は、犯罪者たちにとってまるで「悪夢のよう」です。
Rotunbotの導入により、警察のパトロールや犯罪抑止活動が効率的かつ安全になることが期待されています。
従来の警官が行う巡回や監視に加えてこのロボットを活用することで、トラブルに対して、これまでよりも迅速に対応できるようになるでしょう。
The Chinese company #Logon Technology has recently presented the RT-G spherical police robot, designed to move both on land and in water and pursue criminals#Future#Prospective#humanity#NewWorld#robotic#TechTrendspic.twitter.com/ipxLohvF83
— AAMC (@docangelmtz1) November 13, 2024
加えて、水陸両用の特性を生かし、洪水や水難事故時の救助活動にも応用できる可能性があります。
しかし、倫理的な問題やプライバシーの懸念も指摘されています。
監視技術の発展により、個人の自由が制限されるリスクもあるため、適切な運用ルールの整備が求められるのです。
それでも、犯罪抑止の新たな一手として、Rotunbotのようなロボットが今後どのように活用されていくのか、注目が集まっています。
参考文献
Chinese police trial amphibious crime-fighting robot sphere
https://newatlas.com/robotics/chinese-police-amphibious-robot-ball/
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
ナゾロジー 編集部