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転倒事故は骨折や長期入院による体力および生活の質の低下を招苦ことがよく知られています。
要介護状態にいたる主な原因の一つでもあり、特に高齢者にとっては健康上の大きな懸念点です。
そのため、転倒が起きやすくなる要因を理解し、適切な予防対策を導入することがとても重要になります。
そこで研究チームは今回、大阪府民の健康をサポートするために開発されたアプリケーション「おおさか健活マイレージ アスマイル」の利用者を対象に調査を行いました。
ここでは2020年2月と2021年2月に実施した同じ内容のWebアンケートに、2年連続で答えた50歳以上の計7591名(男性3021名、女性4570名、平均年齢62歳)の回答データを分析しています。
アンケートでは、身体的フレイルやオーラルフレイル、運動習慣、過去1年間における転倒事故の有無などが評価されました。
そしてデータ分析の結果、オーラルフレイルがある人は口腔機能が健康な人々に比べて、転倒リスクが有意に高くなっていることがわかったのです。
2021年のデータから転倒リスクを比べてみると
・50〜59歳ではオーラルフレイルがない人で18.8%、オーラルフレイルがある人で28.2%
・60〜69歳ではオーラルフレイルがない人で15.3%、オーラルフレイルがある人で26.4%
・70歳以上ではオーラルフレイルがない人で16.9%、オーラルフレイルがある人で23.5%
となっていたのです。
これと別にオーラルフレイルがある人は身体的フレイルの状態にあったり、フレイルへの認識が低い傾向も見られました。
オーラルフレイルが進行すると、他者とのコミュニケーションや栄養摂取が困難になり、心身の機能が低下しやすくなります。
こうした変化が転倒事故を招きやすくしていると考えられます。
しかし一方で専門家によると、フレイルは可逆的なものであり、予防措置や治療介入によって健康な状態を取り戻すことが可能です。
日頃から口内の健康に気を配ることで、転倒による怪我を未然に防げるかもしれません。
参考文献
口腔機能が低下していると転倒しやすいことが判明
https://www.omu.ac.jp/info/research_news/entry-11546.html
元論文
Oral Frailty as a Risk Factor for Fall Incidents among Community-Dwelling People
https://doi.org/10.3390/geriatrics9020054
ライター
大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。
編集者
ナゾロジー 編集部