- 週間ランキング
女性はこの小石を元スイス・バーゼル大学(University of Basel)の地質学者であるティエリー・レブマン(Thierry Rebmann)氏の元に送り、調べてもらいました。
そして分析の結果、小石は火山岩に似ていましたが、大気中で過熱された形跡が見つかっています。
加えて、この石が宇宙から飛来した隕石によく含まれる鉄とシリコンで形成されていることが特定されました。
この点から女性にぶつかった小石は、大気圏を通過して地上に落ちてきた隕石の欠片と見てほぼ間違いないと結論されています。
レブマン氏は「隕石を発見すること自体が稀ですが、人に衝突するケースはほとんどありません」と話しています。
これまで隕石が衝突した人物として公式に認められているのは過去に1人だけです。
1954年、米アラバマ州に住むアン・ホッジス (Ann Hodges)という女性が就寝中に、重さ3.9キロの隕石が屋根を突き破って物にぶつかり、彼女の下腹部に跳ね返ったのです。
横腹には大きなアザが出来ましたが、彼女は一命を取りとめて、その事実を世界に伝えました。
今回のフランス人女性は、隕石が衝突した史上2人目のケースとなるかもしれません。
では、隕石が人に直撃する確率はどれほどレアなのでしょうか?
実は隕石が地球に落下するのは珍しいことではありません。
言うまでもなく、恐竜を絶滅させたような直径10キロ級の巨大隕石の衝突は稀ですが、小さなものなら毎日のように地上に降り注いでおり、その数は年間で約1万7000個に達すると推定されています。
ただしそのほとんどが数ミリ程度の塵に近いものから数センチ程の小石であり、大気圏で燃え尽きるか、地上に落下したとしても人里離れた場所や海上に落ちるので気づかれることはほぼありません。
これらの隕石の出所としては、地球の近くを漂う小惑星の残骸であったり、あるいは火星と木星の間に位置する「小惑星帯」とされています。
小惑星帯は、無数の小天体がひしめくリング状のエリアであり、そこから飛来してきた小天体の破片が地球の引力に引かれて衝突するのです。
しかし地球に衝突したとしても、先に述べた通り多くは大気圏を通過する中で燃え尽きたり、粉々になるので、地上に影響を及ぼすようなサイズの隕石が残ることは稀です。
それでも記憶に新しいところでは、2013年に直径17メートルの隕石が大気圏に突入し、ロシア・チェリャビンスク州の上空で爆発して、甚大な被害を与えました。
その爆圧の衝撃は広島に落とされた原爆の20〜30倍とされています。
一方で、単独の小さな隕石が人にぶつかる確率はどれくらいでしょう?
その試算を米テュレーン大学(Tulane University)の地球科学者であるスティーブン・ネルソン(Steven Nelson)氏が2014年に試みて、人が一生の間に隕石の直撃で死亡する確率は160万分の1と推計しました。
ただしこの試算は高く見積もった場合であり、この他には8億4000万分の1と大幅に異なる数字を出している研究者もいます。
一言でいってしまえば、隕石が人に当たる確率はほぼゼロというわけです。
それゆえ、今回のフランス人女性はとんでもなく幸運か、悪運が強かったと言えるでしょう。
参考文献
Woman in France hit by suspected meteorite while drinking coffee on her porch https://www.livescience.com/space/meteoroids/woman-in-france-hit-by-suspected-meteorite-while-drinking-coffee-on-her-porch Woman struck by meteorite as she sat on her terrace in east France https://www.connexionfrance.com/article/French-news/Woman-struck-by-meteorite-as-she-sat-on-her-terrace-in-east-France Meteorites on Earth: how many fall per year and why don’t we see them? https://www.iberdrola.com/innovation/meteorites-earth#:~:text=METEORITE%20FALL-,Meteorites%20on%20Earth%3A%20how%20many%20fall%20per%20year%20and,don't%20we%20see%20them%3F&text=You%20may%20never%20have%20actually,17%2C000%20of%20them%20a%20year. In 1954, an Extraterrestrial Bruiser Shocked This Alabama Woman https://www.smithsonianmag.com/smithsonian-institution/1954-extraterrestrial-bruiser-shocked-alabama-woman-180973646/