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科学者たちは、はるか昔から人間がカタツムリを食べてきたと考えています。
例えば、スペインのルビーラ・イ・ビルジーリ大学(URV)の2014年の研究では、ヨーロッパの南西に位置するイベリア半島東部で、カタツムリの殻の化石が発見されました。
これらの殻は、2万6000年~3万2000年前の「調理のために使用された穴」から見つかっており、「石器や動物の遺体と共に大量にあった」とのこと。
この発見により科学者たちは、「人類は3万年以上にわたってカタツムリを食べてきた」と結論づけました。
ところが今回の新しい発見は、それら以前の記録と考察をはるかに凌駕するものでした。
ヴォイチェザク氏ら研究チームが、南アフリカ共和国とエスワティニ王国の境界にある「ボーダー洞窟」を調査したところ、地層から、様々な色のカタツムリの殻の破片がいくつも見つかりました。
科学者たちは調査した地層が7万~17万年前のものだと考えており、今回発見された殻も当時のものだとしています。
またこの先史時代の殻は、全長16cmにもなるカタツムリ科のものだと考えられています。
現代のカタツムリでサイズ的に近いのは、世界最大のカタツムリ「アフリカマイマイ」であり、その大きさは15~20cmにも達します。
そしてチームは、地層から発見された殻の色が異なるのは、加熱調理が原因ではないかと考えました。
なぜなら、殻の近くには、焦げた種子や大型動物の骨など、食べ物の残骸らしきものが残っていたからです。
そこで彼らは、カタツムリの殻が加熱でどのように変化するか調べるため、現代のアフリカマイマイ科の殻を200~500℃で様々な時間(5分~36時間)加熱しました。
その結果、それら現代のカタツムリの殻は、加熱時間によって、ベージュや茶色、また白色や灰色へと変化しました。
過去のカタツムリの殻も加熱されたのであれば、同様に様々な色へと変化したはずです。
このことから研究チームは、「地層から発見されたカタツムリの殻は、火によって不均等に焼かれた可能性がある」と述べ、これが当時の人間の調理の結果だと結論しています。
つまり17万年前には、古代人類がカタツムリを火で調理して食べていた、というのです。
もちろん現段階では推察に過ぎず、研究チームは、生きたカタツムリが地中に潜り、何らかの熱を受けて自ら焼かれた可能性もあると付け加えています。
全体として今回の研究は、科学者たちが想定していたよりもはるかに昔から、カタツムリ料理が存在していた可能性を示唆するものとなりました。
カタツムリはその見た目から好き嫌いの分かれるマイナーな食材ですが、実は、私たちが想像する以上に昔から、多くの人に食べられてきたようです。
元論文
Evidence for large land snail cooking and consumption at Border Cave c. 170–70 ka ago. Implications for the evolution of human diet and social behaviour https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0277379123000781?via%3Dihub#preview-section-abstract