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このとき形成されたクレーターは約18mほどだったとされており、今回の隕石はこれと似た規模だったと予想されています。
今回撮影に成功した閃光は非常に巨大でレアなものとなりましたが、月面への隕石の落下自体は珍しいことではありません。
月の周囲の宇宙空間には小さな隕石が無数に漂っているため、隕石はしょっちゅう落下している可能性があります。
事情は地球も同じで、毎日のように隕石が地上のどこかに落下しており、2020年の調査では、重さ50グラム以上の隕石が年間に約1万7600個も落下していると推定されました。
しかし、こうした隕石がニュースにならないのは、地球の分厚い大気層が地上を守るシールドとなっているからです。
地球の大気圏に突入する隕石のほとんどは、通過中に燃え尽きたり気化するため、地上には届きません。
また届いたとしても、クレーターのような大きな痕跡を残すことは稀です。
(ただし、2013年のロシア・チェリャビンスク隕石のように、上空で爆発した衝撃波が約4500棟の建物を損壊し、1500人近くが重軽傷を負うようなケースもあります)
一方で、月には地球のような大気シールドがないため、飛来した隕石は速度を落とさないまま、激しく月面に衝突します。
その衝撃は強烈な熱を発生させ、クレーターを作ると同時に鮮やかな可視光のフラッシュを放つのです。
つまり、地球なら大気のガス層で消失してしまう程度のサイズでも、月では地上にそのまま落下してくる可能性があります。
月面がデコボコしたクレーターだらけなのはそのせいでもあるのです。
欧州宇宙機関(ESA)の観測調査では、月面に閃光を発生させるほどの大きさの隕石は平均して1時間に8回も落下していることが示されています。
そうした頻繁に起こる衝突の中に、今回のような地球の自宅からでも観察しうるほどの巨大閃光が存在するのです。
藤井氏が観測に成功した月面衝突の詳細については、今度の調査を待たなければなりません。
たとえば、クレーターの大きさはそれを作った隕石のサイズや落下速度を算出するのに役立ちます。
こうした情報は、月面に衝突する隕石の頻度や規模を理解することに繋がるため、宇宙飛行士が月面での有人探査をする上でも重要な意味を持つでしょう。
参考文献
Brilliant Flash Reveals The Moment a Meteor Smacks Hard Into The Moon https://www.sciencealert.com/brilliant-flash-reveals-the-moment-a-meteor-smacks-hard-into-the-moon Boom! Japanese astronomer catches meteorite smashing into the moon (video) https://www.space.com/meteorite-impacts-moon-february-2023-video 藤井大地@dfuji1 https://twitter.com/dfuji1?s=20