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ところが最近、新型コロナウイルスや戦争の影響を受け、ローン支払いを滞らせる人が増えてきました。
会社側は利用者の辛い事情を理解できるものの、従業員を守るためにも、ローン支払いの滞納に対処しなければいけません。
特に、度重なる催促を無視して、強引に車を所持し続けようとする厄介者たちには頭を悩ませています。
そこでフォード社は、新たな催促システムの特許を取得しました。
通常、ローン支払いの催促は従業員が利用者に対して行うものですが、このシステムでは、車自身が利用者に催促を行い、これを無視し続けた場合、最終的に車が自ら差し押さえを実行するというのです。
支払いの催促は段階的に行われるようです。
支払いが滞ると、最初はカーナビ、音楽、エアコンなどの快適機能が無効化され、利用者に「一定の不快感」を与えます。
それでも支払われないなら、次の段階に進みます。
利用者が車に乗り込むたびに、車内でノイズを絶え間なく鳴り響かせるのです。
さらに特定の曜日・時間帯・場所で車を停止させる措置も行えます。
例えば、平日に職場へ向かうことは可能にし、週末の遊びには車を使えなくすることができるのです。
この制限のポイントは、「支払いのためにお金を稼ぐ活動は制限しない」ということです。
そして、こうした様々な催促にも応じない場合、システムは最終手段を講じます。
自動運転機能を作動させ、利用者の意思とは無関係に、差し押さえの保管場所まで走り去ってしまうのです。
走行距離が長く、車としての価値が低い場合は、そのまま解体工場まで走ってリサイクルされる場合もあるようでです。
この斬新なシステムは、2021年8月に特許申請され、2023年2月23日に認可されました。
もちろん、特許が得られたからと言って、フォード社がこのシステムをすぐに導入するわけではありません。
というのも、このシステムは自動運転技術が確立されなければ機能しないからです。
また専門家は、システムを悪用した「乗っ取り」を危惧しています。
「会社が車を遠隔操作する」システムの穴を突けば、ハッカー(クラッカー)たちが自由自在に車を集めて海外に売り飛ばすことも可能だというのです。
システムを実装するためには、こうしたリスクへの確実な対処が必要です。
それでも今回の特許取得は、自動運転が標準化された将来の社会を垣間見せるものとなりました。
その時には、納車や回収、差し押さえなども全自動化されているのかもしれません。
参考文献
Ford patents self-driving car that repossesses itself if the owner fails to keep up with payments – and drives itself back to the showroom or scrapyard https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-11803631/Ford-patents-self-driving-car-repossesses-owner-fails-payments.html Techniques and Repossess a Car(PDF) https://image-ppubs.uspto.gov/dirsearch-public/print/downloadPdf/20230055958