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また宇宙のどこかに海洋惑星が存在するかもしれません。
イギリス・ブリストル大学(University of Bristol)航空宇宙工学部に所属するヴァレンティーナ・ロ・ガット氏ら研究チームは、地球外の惑星の海洋探査を想定した小型ロボット「ロボサルパ」を開発しました。
これは不思議な海洋生物「サルパ」から着想を得たロボットで、複数のユニットが連結・協力して様々なミッションを果たすことができます
研究の詳細は2023年2月10日、ブリストル大学の『プレスリリース』にて発表されました。
目次
海洋生物はその不思議な見た目や特徴から、時に「エイリアンみたい」などと表現されることがあります。
実際、それら「海のエイリアン」たちは、特殊な環境で生きるためのユニークな機能を持っています。
もしかしたらそれらの機能は、言葉通りの「エイリアン」が住む環境、つまり地球外の惑星の海などでも役立つかもしれません。
今回ガット氏ら研究チームは、海のエイリアンと呼ばれる「サルパ」に注目しました。
サルパ(学名:Salpidae)とは、樽型の尾索動物(びさくどうぶつ)です。
生物学上はホヤの仲間に分類されており、半透明で寒天質の体(10cm程度)を持っています。
一番の特徴は、一世代ごとに無性生殖と有性生殖を繰り返すという特殊な生殖パターンにあります。
特に無性生殖を行う世代では、1匹のサルパが数十から数百の個体を生み出し、それらが鎖のように繋がって行動します。
やがて鎖はばらばらになりますが、それまで彼らは共同で浮遊・食餌し、時には15mの鎖に成長することもあるのだとか。
ちなみに最近では、サルパ内部に別の生物が乗り込んでいる様子が、まさしく「エイリアンにしか見えない」と話題になりました。
そしてガット氏ら研究チームは、このサルパに触発された海洋探査ロボット「ロボサルパ」を開発しました。
ロボサルパはサルパのように軽くて柔らかい筒形の体を持っており、内部には推進力を生み出すモーターとプロペラが挿入されています。
非常にシンプルな構造なので単体では制御が難しいですが、複数のユニットが連結してコロニーを形成することで真価を発揮します。
それぞれのユニットが別々の方向へ推進力を生み出し、海の中を自由自在に泳げるようになるのです。
また目的地に到着した後、コロニーを分割してそれぞれに任務を与え、役割を果たした後に再結合することも可能。
しかも、仮に1つのユニットが故障したとしても、複合体であるコロニーの機能には支障が及ばないため、任務を粘り強く継続できます。
人間が直接コントロールできない「自律性が求められる任務」にぴったりだと言えるでしょう。
研究チームは、この「コロニー単位での高い耐久力」と、「ユニット切り離しによる収納の容易さ」が、輸送方法が限られる地球外ミッションに最適だと考えています。
もちろん地球でも、海底や下水道、工業用冷却装置などの調査に役立つことが期待されます。
もしかしたら遠い将来、「海のエイリアン」を模倣した探査ロボットが、本物のエイリアンを探すことになるかもしれませんね。
参考文献
Sea creatures inspire marine robots which can operate in extra-terrestrial oceans