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今回の新種は、洞窟の入り口から約25メートルの場所にある小さな水場(幅1.8メートル・深さ0.8メートル)で発見されました。
採取時の水温は16℃前後で、洞窟内部にはまったく光がなかったとのこと。
見つかった個体の体長は10.5〜14.6センチで、口先に2対のヒゲ状器官を持っていました。
これは暗闇の中で自分の位置や障害物を検出するのに使われています。
目もほとんど退化しており、視力はないと見られます。
その中で最も注目すべき特徴は、頭部から長く伸びた角のような突起物でした。
チームはこの特徴から、本種を「シノシクロケイルス・ロンギコルヌス(Sinocyclocheilus longicornus)」と命名しています。
ロンギコルヌスとは、ラテン語で「長い(longus)」と「額の角(cornu)」を合わせた言葉です。
一方で、頭部に角を持つシノシクロケイルス種はわずかながら前例があるため、一目で新種とは断定できませんでした。
それが分かったのは、持ち帰った標本のDNAを分析したときです。
DNAデータを既知種と比較した結果、未記載の新種であることが特定されました。
しかし、彼らの角が一体どういう目的で使われているのかはよく分かっていません。
明るい場所に分布するシノシクロケイルスには角がないので、おそらく暗闇で生きることと関係しているようですが、暗所での位置確認は2対のヒゲで十分に間に合っています。
魚類として他に検出する必要があるものといえば、水の温度や水流、水圧、水中の化学物質の変化などです。
ただ、こうした環境変化の検出は魚類の体側にまっすぐ走る「側線(そくせん)」という高感度細胞から成る器官が担っており、シノシクロケイルスにも存在します。
よって、角がそれらを検出する必要もありません。
角の用途はまだ判然としていませんが、暗闇に生息するシノシクロケイルスにしか存在しないため、やはり暗闇ならではの使い方があるのでしょう。
参考文献
New Fish Species Has Mysterious Horn-Like Structure on the Back of Its Head https://www.sci.news/biology/sinocyclocheilus-longicornus-11592.html Unicorn-like blind fish discovered in dark waters deep in Chinese cave https://www.livescience.com/new-species-horned-cave-fish-china元論文
Sinocyclocheilus longicornus (Cypriniformes, Cyprinidae), a new species of microphthalmic hypogean fish from Guizhou, Southwest China https://zookeys.pensoft.net/article/91501/