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これらの犬たちは、先天的にしっぽが短いです。成長したとしてもしっぽが長くなることが少なく、その愛らしさから多くの人に愛されています。
生まれつき短いしっぽはどんな形をしているのでしょうか?ほとんどの場合は「ボブテイル」と呼ばれていて、小さいしっぽが付いているだけです。
中には「スクリューテイル」と呼ばれる短い巻き尾を持って生まれる子もいます。スクリューテイルはブタの尻尾のようにくるくると巻かれていて、独特の愛らしさも持っています。
Potchanee B/shutterstock.com
犬の尻尾の短い理由の2つ目として、「断尾」があります。「断尾」とは生まれつき長い尻尾を切ってしまうことです。私たちの周りには短い尻尾を持つ子たちが多いかもしれません。実は、そのほとんどは断尾された子たちです。
犬種によっては生まれた時に断尾する習慣があり、断尾されて短いしっぽの状態が「普通」だと認識されています。
断尾されることの多い犬種を以下にご紹介します。犬好きであれば、ほとんどが知っている犬種ではないでしょうか?
短いしっぽを持つ犬種として認識している人も多いかもしれませんね。実は生まれつきしっぽが短いわけではなく、断尾しているゆえに短いのです。
・コーギー
・プードル
・ドーベルマン
・ヨークシャーテリア
自分の犬や周囲の犬が断尾されていることを知ってびっくりする飼い主さんもいるかもしれません。「最初から短いしっぽだったのに?」と疑問に思う人もいることでしょう。
多くの人が断尾されていることを知らないのには、ある理由があります。それは断尾の時期が関係します。
断尾する一般的な時期とはいつなのでしょうか?次項でご説明します。
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通常、断尾は生まれてすぐに行われます。生後1週間後くらいが多いでしょう。
この時期に断尾が行われるのはどうしてでしょうか?それにはこの時期の犬の身体の状態が関係しています。生後1週間後くらいだと尻尾には血管が少なく、出血が非常に少ないのです。
神経も未発達な部分が多いため、痛みが少ないと考えられています(実際の断尾の様子からすると、痛みが全くないわけではなさそうです)。さらにこの時期に断尾すると傷口の修復が早いようです。
大抵の場合、すべての尻尾を切り取ってしまうことは無いようです。しっぽは根元から数センチほど残すことが多いでしょう。傷が塞がり身体が成長すると、もともとしっぽが短かったようにさえ見えるようになります。
ペットショップなどにいる子犬たちは大抵生後1週間を超えた子たちばかりです。断尾する習慣のある犬種はとっくに断尾されてしまっているのです。多くの人が元から短かったと考えるのも無理はありません。
しかし断尾について知ると、「どうして断尾するのか?」と考えるのではないでしょうか?飼い主が依頼したわけでもないのに、断尾された犬がペットショップで販売されています。断尾が普通の事として受け入れられているのです。
断尾する理由はいくつかあります。次の項目から断尾する理由を5つご紹介したいと思います。すべての理由が納得できるものではないかもしれません。それでも、以下の理由で断尾されているのは事実なのです。
断尾することが習慣となったのは、犬の職業が関係したと言われています。犬たちは私たち人間と一緒に生活してきました。訓練され良きパートナーとなることで、様々な仕事をこなすことも出来るのです。
ある分野に特化した「職業犬」となる子たちもいます。それらの職業犬たちにとっては、しっぽが危険を生む可能性があるとされてきました。
例えは、牧羊犬や狩猟犬などがそうです。コーギーなどは牧羊犬として昔から活躍してきた犬です。牧羊犬は大きな羊や牛を追い立てる役目を果たします。
たくさんの羊や牛の中で走り回るため、しっぽが踏まれてしまう危険があるのです。尻尾を踏まれてしまうと、その反動でこけてしまったり衝突してしまったりします。結果、足や身体の骨が折れてしまうことがあるのです。
狩猟犬の場合も同様です。狩猟犬は狩猟相手と格闘することがあります。それが大きな動物が相手の場合はどうでしょうか?相手にしっぽを噛まれたり踏まれたりする危険があるのではないでしょうか?
小型の獲物を追いかける時にも、しっぽが邪魔になると考えられてきました。森の中で木々などの障害物に引っかかってしまうことがあったのでしょう。
いずれにしても、そうした仕事をこなすうえで長いしっぽは障害になると考えられてきたのです。ですから、昔から職業犬として活躍してきた犬たちは断尾する習慣があるのです。
見た目のために断尾することも多いようです。現代で断尾される理由ほとんどはこれでしょう。
「短いしっぽがかわいい」「短いしっぽだとバランスが良い」「この犬種はしっぽが短いことが標準とされている」「しっぽが短い方が皆に人気で高価で売れる」などの理由があります。すべて見た目とそれに対する評価が理由となっています。
「見た目のために断尾するなんてひどい」と感じる人は多いでしょう。もちろん、そのように考える人は増えています。ただ、現状この理由で断尾される犬たちは後を絶ちません。
予防医学の観点で断尾することもあったようです。しっぽがあることで病気を防ぐことができると考えられてきました。しっぽは肛門周辺についていますので、糞便で汚れやすいです。しっぽが短いなら糞便が付着することも、不衛生になることもありません。
また、野外で活動する犬たちは木の枝などでしっぽが傷つきやすいようです。傷ついた部分から病原菌が侵入して病気になる可能性が高いわけです。こうした傷と病気を防ぐためにもしっぽを切断しようとするのです。
もちろん病気の予防にはなるかもしれませんが、長いしっぽがどれほどの病気を誘発してしまうかは分かりません。切除してしまうほどのものなのかと疑問に感じている人も多いでしょう。
現代では予防医学として断尾される犬は少ないはずです。しかし、昔からの断尾の習慣を作り上げる理由にはなってきたようです。
断尾は1700年代のイギリスでも行われていました。どうしてでしょうか?それはしっぽの付いた犬が課税対象になっていたからです。多くの人が節税目的で犬のしっぽを切るようになりました。
当時では多くの犬種が断尾の対象となったようですが、この制度が廃止されると同時に、断尾の傾向は収まりました。ただ、その時の流れを受け継いでいる犬種も存在しており、現在でも税金とは関係なく断尾することが習慣となっているのです。
以前は迷信によっても断尾されていたようです。昔のヨーロッパでは、犬の尻尾を切除するなら狂犬病が予防できるという迷信が広まっていたようです。多くの人がそうした迷信を信じて断尾していたようです。
徐々にその情報が正しくないと分かりましたが、断尾することが習慣化した犬種もあるようです。