観光庁は 6 月 16 日 の記者会見で、一時手続きを中止していた「Go Toトラベル事業」に関する運営事務局の公募を開始し、8 月上旬の事業開始をめざす方針を明らかにした。
Go To キャンペーン」は、新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言を受けて打撃を被った旅行業界や飲食業界向けに開催される官民一体型の需要喚起キャンペーン。
当初、「Go To キャンペーン」は 7 月下旬の事業開始をめざして、運営事務の委託先を決める公募を実施していたが、委託費の上限が総事業費の約 2 割にあたる 3095 億円と巨額だったことなどに批判が高まり、6 月 5 日に公募の中止を発表していた。
全体のとりまとめを行う事業者の公募は中止し、改めて各事業ごとに事務局を分け各省庁が運営事務局を再公募。具体的には観光支援策は国土交通省、飲食店の支援策は農林水産省、商店街とイベント業界の支援は経産省が、それぞれ事業者を公募する。
最新のスケジュールでは、8 月上旬から「Go Toトラベル事業」の対象となる割引商品の販売と予約受付を開始し、1 〜 2 週間後の旅行から割引等が適用となる方向で、夏休みの旅行需要に間に合わせたい考え。
今後は、公募に関する説明会の実施を経て、2020 年 6 月 29 日 17 時までに企画書の提出を求め、企画提案に関するヒアリングを経て企画競争委員会での審議により決定される。
今回の企画競争は、事業スキームにおける「事務局」を募集するもの。割引旅行・宿泊商品を取り扱う旅行業者、OTA、宿泊事業者、地域共通クーポン加盟店などは、事務局決定後に募集される予定となる。
Go To トラベル事業 企画競争実施の公示(観光庁)
Go To トラベル事業 企画競争説明書(観光庁)
Go To トラベル事業を徹底解説
「Go To キャンペーン事業」のうち新型コロナウイルス感染拡大により深刻な影響を受けた観光業の需要喚起を目的に行われる「Go To トラベル事業」の詳細が明らかになっていた。今回は、「Go To トラベル事業」にフォーカスしてその中に迫る。
Go To トラベル事業は、感染拡大により失われた観光客の流れを地域に取り戻し、観光地全体の消費を促し、地域における経済の好循環を創出することを目的に行われる需要喚起キャンペーン。
Go To トラベル事業では、国内旅行を対象に宿泊・日帰り旅行代金の1/2相当額を国から事務局を通じて給付金として給付する。一人一泊あたり2万円が上限(日帰り旅行については、1万円が上限)となる。
旅行代金全体のうち1/2相当を国が支援するが、そのうち 7 割程度は旅行・宿泊代金の割引、3 割程度は旅行先の土産物店、飲食店、観光施設、交通機関などで使用できる地域共通クーポンの発行に充てる。
地域共通クーポンは、1枚 1,000 円単位で発行する商品券。お釣りはない。地域共通クーポンは紙での発行だけではなく、アプリやウェブサイト等を活用して電磁的に発行する方法も用意するという。旅行・宿泊代金の割引と地域共通クーポンの発行のための国の支援額は、約1兆1,248 億円。
Go To トラベル事業 民泊仲介サイトや民泊ホストも対象に
Go To トラベル事業は、新型ウイルスの感染拡大により失われた観光客を地域に取り戻し、観光地全体の消費を促し、地域における経済の好循環を創出することを目的に行われるもの。
そのため、大手旅行業者や OTA が旅行・宿泊商品を取り扱う場合だけに限らず、中小旅行業者が旅行・宿泊商品を取り扱う場合や、ホテルが旅行業者等を介さずホテル直販システムを通じて直接宿泊商品を取り扱う場合も対象にする考えだ。
割引商品を取り扱う対象事業者は、第 1 種旅行業、第 2 種旅行業などの旅行業者や OTA に限らず、住宅宿泊仲介業の登録事業者(民泊仲介サイト)も対象。宿泊事業者については、旅館・ホテル、簡易宿所等の旅館業法の許可施設のほか、住宅宿泊事業(民泊)の届出事業者や特区民泊も対象。
Go To トラベル事業(観光庁)