ホテルチェーン世界世界2位の OYO Hotels &Homesは9月2日、デンマークに拠点を置くバケーションレンタルなどの宿泊施設向け価格最適化スタートアップのDanamica(ダナミカ)を買収すると発表した。買収額は非公表だが、TechCrunchによると約10億円(約1000万ドル)規模。
Danamicaはデンマークのコペンハーゲンに置くスタートアップで、民泊やバケーションレンタル向けに機械学習とビジネスインテリジェンスを活用したダイナミックプライシングを展開する。OYOは、Danamicaの買収を通じてヨーロッパへのビジネス拡大を狙う。
OYOは創業してから6年と間もないが、すでに世界で展開するホテル客室数を110万室に拡大し、客室ベースで世界第2位のホテルチェーンになったことを発表。ビックデータやAI(人工知能)といった最先端のテクノロジーをホテル業界に取り入れることで物件の契約締結にかかる時間を大幅に短縮し、驚異的なスピードで世界展開を推し進めてきた。
OYOによると、同社アルゴリズムは1時間ごとに144,000のデータポイントを分析し、予測正確性97%の精度で毎日6,000万件の価格調整を行い、ホテルの収益増加に貢献しているという。Danamicaの買収は、予測精度のさらなる向上に対しても真価を発揮するとみられる。
毎月9万室のペースで客室を増やすOYOは、131万室を有する世界最大のホテルチェーン マリオット・インターナショナルを抜き、数か月以内に世界第1位のホテルチェーンになる見通し。
ヨーロッパの事業強化で約350億円の大型投資を宣言
OYOは2019年8月にヨーロッパにおける民泊・バケーションレンタル事業拡大に向けて、約350億円(3億ユーロ)を投資すると宣言。同年5月にはドイツ大手メディアのアクセル・シュプリンガー(Axel Springer)から欧州バケーションレンタル・民泊大手の@Leisure Groupを約463億円(約4億1500万ドル)で買収。
@Leisure Groupは、Belvilla、Danland、Dancenterといった同社バケーションレンタルブランドを通じ全世界では約30万室を提供。年間で118カ国約280万人の旅行者が利用する業界大手だ。
世界最大の統計ポータルサイトのStatista(スタティスタ)によると、ヨーロッパにおけるバケーションレンタル市場規模(2019)は約2兆750億円(186億ドル)で年間成長率は約7%と堅実な成長が続く。Danamicaの買収は、約350億円の大型投資の宣言後初めてとなる買収で、今後同様の動きが加速する可能性は高い。
OYO Vacation and Urban Homes グローバル責任者でOYO Hotels&Homes 最高戦略責任者を務めるマニンダー・ガラッティ氏は声明の中で「Danamicaの買収により、価格設定の正確性が向上することで、不動産オーナーの収益性が向上するとともに、数百万人の旅行客と都市居住者にとっては支払いに見合う価値を提供する」とコメントした。