九州大学と福岡空港ビルディング、富士通研究所は、旅客満足度向上にむけた実証実験を開始すると発表した。2017年8月まで、福岡空港国内線・国際線ターミナルで実施する。
福岡空港の国際線ターミナルは、訪日客の急増で旅客数が増加。旅客の待ち時間が増えることで、不快や不安を感じさせない新たな施策設計が急務になっている。しかしながら、旅客の満足感には施設や機器だけでなく、空港スタッフや旅客の複雑な人間的要素が関わっており、効果的な施策を立案するには現場での経験を基にした試行錯誤が必要だった。
こうした状況を改善するため、シミュレーションなどの数理技術の利用が期待されているものの、研究者と現場の間では解決すべき課題や数理技術を使用する意義について認識の共有が難しく、人間が関わる多くの社会課題で数理技術を適用することは困難だった。九州大学と富士通ソーシャル数理共同研究部門の研究者は、福岡空港ビルディングのスタッフとともに現場課題発見の取組を実施し、お互いの認識を揃えながら福岡空港の課題解決を目指すとしている。
最初の取り組みとして、喫緊の課題となっている出発手続きでの混雑シミュレーションを実施し、現場の詳細なデータを取得し、施策効果の実証を行う。
通常、国際線では、受託手荷物検査、チェックイン、保安検査、出国審査の4つの手続きを経て航空機に搭乗するものの、最初の受託手荷物検査において待たされることは旅客にとって大きな不安となるほか、4つの手続で繰り返し待たされると旅客満足度は大きく低下する。
現状の施策案では、各手続きでのカウンターやレーン数の変更、受託手荷物検査を自動化するインライン・スクリーニング・システムの導入などが想定されており、旅客データや手続きデータを入力しシミュレーションを実施し、カウンターやレーン数の変更、インライン・スクリーニング・システムの導入などの効果を数理的に分析する。その結果に基づき、実施する施策を決定。施策の効果確認に加えて数理モデルの良し悪しを検討するためのデータ取得を行い、数理モデルの改善へと役立てる。
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