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日本航空(JAL)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)、コーティング関連事業などを手掛けるオーウェルは、ボーイング787-9型機(機体記号:JA868J)の機体胴体に燃費改善効果が期待できるリブレット形状の塗膜を施した。1月中旬から国際線で運航し、燃費改善効果の実証を行う。
リブレット形状はサメ肌に着想を得た微細な溝構造。JAXAの研究によると、飛行中の空気の流れに沿って機体外板に微細な溝構造を形成することで、飛行時の表面摩擦抵抗を約5%軽減する効果がある。
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JALは、水溶性の型でリブレット形状の塗膜を形成して通常の塗装の上に圧着するオーウェルの技術(Paint-to-Paint Method)を採用。これまで、デカールやフィルムにリブレット加工を施して機体に装着する事例は他社が取り組んできたが、JALによると、リブレット形状の塗膜を施した機体を国際線で運航するのは世界で初めてだという。
塗膜施工はフィルム施工に比べて機体の重量増加がほとんどなく、飛行中に剥がれ落ちる心配もない。一方で、施工作業には熟練のスキルが必要という課題があるという。
JALは2022年7月からボーイング737-800型機でリブレット形状塗膜の耐久性検証を始め、2023年11月からは燃費改善効果の確認を進めてきた。
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今般の実証では、787-9型機の胴体全体の約30%にあたる部分に塗膜を施工。JALやJAXAの推算によると、巡航時の抵抗低減率が0.24%となり、東京/成田〜フランクフルト線を1年間運航した場合、燃料消費量は約119トン、二酸化炭素(CO2)排出量は約381トンの削減効果が期待できるという。
3社は今後、耐久性や美観性、燃費改善効果について検証を行い、さらなる施工範囲の拡大を目指して取り組みを続けるとしている。
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