全日本空輸(ANA)は12月12日、大阪・関西万博の開催を記念した特別デザイン機「EXPO2025 ANA JET」(ボーイング737-800型機、機体記号:JA58AN)を国内線に就航させた。初便は東京/羽田発大阪/関西行きのNH991便で、出発に合わせて羽田空港第2ターミナルでお披露目式典が開かれた。
機体デザインは「ANA Future Promise Jet」(ボーイング787-8型機、機体記号:JA874Aおよびボーイング787-9型機、機体記号:JA871A)なども手掛けたデザイン会社・KUZE DESIGNの久世迅社長が担当。万博をイメージした赤、青、グレーの帯と、ANAのコーポレートカラーであるモヒカンブルーとトリトンブルーの帯を機体側面に描き、風に乗って未来へ向かって飛び立つ様子をシンプルに表現した。両面で約140枚のデカールが使われており、貼り付け作業は台湾のEvergreen Aviation Technologies Corporation(EGAT)で11月10日から12月10日にかけて行われた。
機内では希望者を対象にオリジナルステッカーを配布。2025年2月頃からは、知的障害を持つデザイナーとKUZE DESIGNが共同で手掛けた客室乗務員用のエプロンやドリンク提供用の紙コップを用意する。このほか12月下旬からは、国内・海外のANAグループ空港係員や客室乗務員が、万博公式キャラクター「ミャクミャク」のピンバッジを付けて機運を醸成する。
運航はANAウイングスが担当し、万博の会期に合わせて2025年10月上旬頃まで国内線各路線に投入する。
お披露目式典にはANAの井上慎一社長とANAウイングスの江島聖志社長らが出席。スペシャルゲストとして登場したミャクミャクも加わり、テープカットで就航を祝った。
小学6年生だった1970年に大阪万博を訪れたというANAの井上社長は、「こんなに多くの民族がこの世に存在しているんだと心を打たれた」と回想。「万博は世界各国が一堂に介し、未来を共有する場。今回の万博も、かつての私のように、これからの未来担う若者が世界への興味と未来への希望を抱くきっかけになれば」と語った。
初便となったNH991便は159名(うち幼児2名)が利用。午後1時31分に61番スポットを出発し、同48分にD滑走路(RWY05)から離陸した。
EXPO2025 ANA JETをめぐっては、デザインが歯磨剤のアクアフレッシュに似ているといった声がSNSを中心にあがっており、同商品のX公式アカウントも「なんとも親近感を感じるデザイン」と言及していた。これをきっかけに、製造販売元であるHaleonジャパンからANAに同商品のサンプル品が提供され、初便の乗客に配られた。