京王観光は、JRの団体乗車券と回数券を併用し、実際に乗車した人数より少ない人数の乗車券で乗車していた不正行為について、調査結果を4月25日、発表した。
調査は2回に分けて実施し、2018年10月19日に第一次報告書を提出した。その後全13支店の社員への事情聴取やデータを検証した後、4月18日に第二次報告書を提出した。不正行為は大阪地区の旧2支店と福岡支店で行われ、件数は約110件、金額は約6,000万円だった。保存していた最も古いデータは2007年4月分だった。
また、団体乗車券の大人と小人の人数の扱い、回数券の払い戻し手数料、学生団体料金の適用、回数券の取扱いで問題行為が見つかっており、JR各社による処分が確定次第、賠償金を支払う意向としている。
在職する社員で不正行為に最も古くから関与していたとみられる大阪地区出身の社員は、1990年代前半より、団体旅行で同様の不正行為を行っていた記憶があると証言している。また、2008年から2018年にかけて、社員4名が約230万円強を着服していたこともわかった。
不正が行われていた大阪の旧2支店は、1969年に京王観光と合併した桜菊観光の流れををくむ会社として、首都圏や他地域への転勤はほとんどなく、現地出身の社員が内部昇格をしていく人事を行っていたという。福岡支店は2015年4月に開設した際に、大阪支店から移動した1名が大阪支店での担当案件を引き続き福岡支店で担当し、不正行為を継続していたという。他地域の営業担当との人間関係も希薄だったため、不正行為の手口が他地域へ広がることはなかったとした。
JR各社は旅客営業規則に則り、不正乗車額の3倍にあたる、約1億8,100万円の賠償を求めており、京王観光では5月31日までに支払う。また、JR各社との乗車券類の委託販売契約は解除となった。
京王観光では、大阪支店を閉鎖し、東京本社直轄の駐在事務所として既存客への対応要員を残し、他の社員を他支店へ異動させる。営業管理システムや評価制度を一新し、営業担当はジョブローテーションをルール化する。コンプライアンス教育の見直しや充実、内部統制システムの再点検も実施する。越水陽太郎代表取締役社長が月額報酬の30%を3ヶ月減俸とするなど、役員の処分のほか、不正行為に関与した社員は、着服も勘案した後、就業規則に基づいて解雇を含む厳正な処分を実施するという。
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