軽自動車のスポーツカーは、日本独特の「マイクロスポーツ」というカテゴリーだ。かつてはホンダ・ビート、スズキ・カプチーノ、マツダ・オートザムAZ-1といった超個性的なクルマが存在した。現代ではS660とダイハツ・コペンだろう。この2台、どれくらい売れたのだろうか?
日本が世界に誇るマイクロスポーツ 90年代はどうだった?
「軽自動車枠でスポーツカーを作る」これは、おそらく日本の自動車メーカーでないと実現できないクルマづくりである。現代では
ダイハツ・コペン:2代目モデルの登場は2014年
ホンダS660:2015年デビュー
そして、スズキ・アルトワークスが軽自動車のスポーツカー、「マイクロスポーツ」の代表格だ。アルトワークスを除いたS660とコペンは、実用性はかなり低い、極めて趣味性の高いクルマである。スポーツカー然としたスタイルだけでなく、2台とも「オープンカー」でもあるのだ。価格もベースモデルで200万円オーバー(コペンは188万8700円から)とけっして安くない。いきおい販売台数はそうは望めない。
S660は2022年3月に生産終了が発表されている。すでに販売も終了した(今後の生産分はすでにソールドアウト)。EVのマイクロスポーツがいずれ登場するかもしれないが、現在ではS660とコペンしかない。稀少車である。
では、全軽自協(全国軽自動車協会連合会)のデータで、コペンとS660の販売台数を見ていこう。
その前に、せっかくだからかつてのマイクロスポーツ3台についても触れておこう。
1991年5月に発表されたのが、ホンダ・ビート。当時の月間販売目標は3000台だったというから、バルブ期に企画されたことがよくわかる。660ccの超高回転型自然吸気直3エンジン(E07A型)をミッドに横置きするカープンスポーツだった。
生産台数は3万3892台
1991年11月に登場したスズキ・カプチーノは、フロントエンジン・リヤドライブ、つまりFRレイアウトのオープンスポーツカーだった。ロングノーズ・ショートデッキのスポーツカーらしいスタイルが魅力的だったカプチーノの生産台数は2万6583台。
ビート、カプチーノに続いて登場したのが1992年デビューのAZ-1。当時マツダの5チャンネル化で作られたオートザムで販売されていた。AZ-1もビートと同じくミッドシップ。エンジンはスズキ製直3ターボを搭載していた。AZ-1は、ガルウィングを採用したこと。生産台数は4409台と言われているから、もっともレアなのはAZ-1ということになる。
当時3台とも試乗したことがあるが、どれもびっくりするくらい楽しいクルマだった。80年代のバルブ経済がなかったらおそらく登場しなかったマイクロスポーツ。「もう二度とこんなクルマ、出てこないだろうな」と思ったものだが、21世紀に入ってマイクロスポーツを復活させてくれたのが、ホンダとダイハツだった。
ホンダS660 vs ダイハツ・コペン販売数の推移
S660は、2016年に1万台超を売り上げている。コペンもピーク時には7000台超を売った。2018年からはコペンが販売台数でS660を逆転。21年の3カ月でもコペンが上回っている。
ホンダS660 vs ダイハツ(トヨタ)・コペン販売数の推移
コペンは、2019年10月にトヨタから「コペンGR SPORT」として販売が開始された。全国のトヨタ・ディーラーで売られる販売力はやはり大きい。
コペンを「ダイハツ+トヨタ」として合計すると、こういうグラフになる。
S660が販売終了になったら、マイクロスポーツ、とくにクーペ・マイクロスポーツはコペンだけになる。
デビューから2021年3月までの販売台数を合計するとこうなる。
ホンダS660:3万2983台
ダイハツ(トヨタ)コペン:3万5278台
歴代マイクロスポーツの生産台数をまとめておくと
ホンダ・ビート(1991年〜2012年):3万3892台
スズキ・カプチーノ(1991年〜1998年):2万6583台
マツダ・オートザムAZ-1(1992年〜1995年):4409台
初代コペン(2002年~2012年):6万6444台(輸出仕様の1.3ℓ車を含めて)
ホンダS660:3万2983台
2代目ダイハツ(トヨタ)コペン:3万5278台