2019年に登場した直噴仕様2.5ℓ水平対向:FB25D型の特徴をエンジニアに訊いてみた。
FB25は、フォレスターやアウトバックなどに搭載(現在は日本仕様は搭載モデルはなし)されるスバルの主力エンジンである。
エンジンの熱効率を上げることは、エンジニアにとっての永遠の課題。同じ仕事をさせるにしても、一滴でも燃料消費量を少なくするために、古来さまざまな手段が図られてきた。その手段のひとつが「圧縮比を上げる」。マツダSKYACTIVが膾炙したように、幾何学的圧縮比(=容積比)を高めることで一般的なレシプロエンジンでは膨張比が高められ、燃焼からより多くの運動エネルギーを得ることができる。
2019年に登場した北米仕様フォレスターに搭載されるFB25型水平対向エンジンも、12.0まで圧縮比を高めてきた。ちなみに従来型:FB25B型は10.3。圧縮比を著しく高めることができた要因のひとつが、直噴技術である。
効率が高まるならどんどん圧縮比を高めればいいじゃないかと思うのは自然な考え。ところがそうするとガソリンエンジンを燃料とするオットーサイクルではノッキングが生じてしまい燃焼効率どころではなくなってしまう。ノッキングが起こる主たる原因が、熱。圧縮行程で燃焼室内の混合気を高温高圧とし、火花点火させて適正なタイミングで燃焼させるのがガソリンを燃料とするオットーサイクルのねらいだが、圧縮比を高めていくほど燃焼室内のガス温度が高まることで、火花点火を待たずに自着火を始めてしまうのだ。効率ががた落ちになってしまうのみならず、下手をすれば機械的な損傷にもつながってしまうため、これが非常によろしくない。